北大の「情報Ⅰ無配点問題」に関する識者の北大擁護論への批判
少し前に北海道大学が共通テストの情報Ⅰを、入試科目としては課すが配点を行わない、という問題について取り上げました。
この問題に対して、いろいろな立場の方が意見を述べられているようですので、東進講師である藤原氏の北大擁護論をまとめた上で、それに対して私の考えを書いていきたいと思います。
東進衛星予備校情報科講師、藤原進之介氏
氏の発言をまとめると以下のようになります。
北海道では高校の情報科教員が不足
北大は北海道をけん引するリーダー養成する機関
卒業後に道内に残る率を考えると、道内の高校生を入学させたい
(という意図が見える)情報を均等配分にすると学習環境的に道外の生徒が有利な結果になる
道内の生徒が不利にならないような配慮として無配点は合理性がある
令和7年度のみの時限的措置ならば適切である
というものです。
さすがは東進の講師を務められている方で、しっかりとした情報源や地域の声を吸い上げた上での分析でしょう。
北海道の教育現場の状況を知ったうえで、期限付きの制度という状況であれば致し方ない、というものです。
もちろん、情報科の指導者であるため、共通テストの情報科導入に関しては時代の流れであり、必修化を覆すのは不可能という立場であることをきちんと明示されています。
北海道だけが情報教員不足なのか
個人的には北海道の事情を詳しく知るわけではないので、どれほど情報科教員や指導者が不足しているのかは想像の域を出ません。
ただ、日本中の多くの道府県において情報教員でかつ、受験指導が可能である人はどれほどの数がいるのでしょうか。
おそらく各県ごとに数名、人口の多い県でも10名もいるのかどうか怪しいところでしょう。
実際多くの県では各学校に情報科教員が一人以下という状況が何年も続いているケースがあると聞きます。
こうした状況を放置したのは予算不足を言い訳に人員の確保や育成を怠った教育委員会の怠慢です。
北海道だけでなく、いくつもの過疎県においては同様の状況は発生しているはずです。
擁護論への反論
以前も書いたように、私自身はこうした北大の情報科や国大協の答申を軽視するやり方に疑問を感じています。
藤原氏の北大擁護論もなるほど、と思う部分はありますが、以下の点から北大の対応は現代的な対策ではないと考えています。
情報科の学習はオンラインで可能
教員の確保が難しいならば授業動画を作成すればよい
東進などの民間サービスを活用する道も考慮すべき
日本全国で4Gのつながらない地域はほとんどない
むしろ北大側が音頭を取って情報教育推進を行うべきだった
(道内出身者の育成を考えたいのであればなおさら)
さらに、今回の方針が他の道内国立大学が追従した場合、北海道の共通テスト会場では、解答拒否を行う受験生が続出し、何もせずに1時間を無為に過ごす試験を行うことになるということです。
今後の動きに注目したい
すでに北大同様の配点を徳島大学が実施することを発表しています。
こうした流れが全国的に続出した場合、共通テストの情報Ⅰの取り扱いがどうなっていくのか、非常に興味深くはあります。
もしかしたら、1年前になって急遽方針転換した英語外部試験の再来となるかどうか、注目していきたいところです。
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