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全国紙の存在意義の低下と専門紙の存在感の向上

新聞、読んでいる人はどれくらいいるでしょうか。

かつてはインテリの読む新聞として朝日新聞の購読者数の減少が止まりません。

私が受験生だった20年前は「天声人語」を読まずに受験はできない、と言われていたぐらいです。

しかし、時代は変わり朝日だけでなく、読売、毎日といった全国紙はどこも購読者数を減らしています。

どうやら私と同じ40代の場合、購読者は約1割になっているようです。50代でも3割弱のようですから、早晩新聞社事業規模を大幅縮小することは間違いないでしょう。

実際、現在でも新聞社は「不動産業」と揶揄されているぐらいです。

おそらく20年後には現在の紙媒体の形での新聞はほとんど存在しないでしょう。

朝日新聞電子版、全記事有料化

そうした流れの中、朝日新聞は全記事有料化となりました。

電子記事を主軸にして、大手ニュースサイトからの有料版に舵を切ったと見えます。

おそらくは、ニュースサイトへの記事の配信料と有料記事収益の二つが主軸とするのが新聞社の思惑でしょう。

しかし、正直なんの特徴もないニュース記事(あるいは一方的な視点と糾弾)しか載っていない有料版の朝日新聞電子版を契約する人がどれだけ増えるかは未知数です。

現在の時点でも無料の朝日新聞デジタルの登録者数は400万人に対し、有料版の登録者数は25万人であり、お金を払ってまで購読する人はごくわずかです。

破竹の快進撃の日経新聞電子版

そうした中で、有料会員数の数を伸ばしているのが日経電子版です。

2021年末の時点で朝刊と電子版の契約者数が合わせて260万人、そのうち80万人が電子版の有料会員です。

しかもこの有料版は月額4277円と、電子版の購読料としてはかなり高額です。

もちろん、相応の価値を感じる人が多いからではありますが、他のサブスクリプションサービスと比較するとかなり高額な部類です。

こうしたことからも、専門的な内容に特化したニュースに価値を見出す人が多いことがわかります。

全国紙の存在意義の低下

私自身は地方紙を購読しています。

地方紙と聞いて、全国紙しか読んだことのない人はしっかりとニュースを取り扱っていないと思う方もいるかもしれません。

しかし、実際には通信社(共同通信、時事通信など)のニュースが転載されているため、全国のニュースを知ることにそれほど不便は感じません。

もちろん、地方紙も減少傾向にありますが、全国紙の方がより顕著なのは間違いないようです。

それよりも地方紙の特徴であり、最大の強みはその地域記事の充実度です。

地域の行事やイベントなどの一覧が詳しく載っていますし、歴史的建造物の保存活動や商業地の再開発などのニュースを知るためにはもっとも適した媒体です。

SNSなどでささやかれる裏を取っていないうわさとは異なり、正確な地域情報をしる手段として地方紙は非常に有効です。

こうした点において、ネット上の情報では代替できない価値を示せているのかもしれません。

「広く浅く」と「狭く深く」の二極化

これは新聞だけではなく、多くの分野で進む考え方だと私は考えています。

「広く浅く」調べたい場合はネットなどのオンラインベースでの情報収集となり、そうしたものにはコストを払わない(払う価値を見出さない)という流れは今後ますます強まるでしょう。

それとは対照的に、「深く狭く」知りたい場合は専門的なものや地域的な繋がりにコストを支払うことに抵抗がない、ということです。

この流れは、教育業界でも同様です。

授業などの動画は無料で見ることができるし、逆に費用のかかる個別管理型の学習塾は人気を博す、という具合です。

外食産業では、格安チェーンと高級個人店などです。

横ぐしを通して見ると、自分の関わる業界だけの流れではなく、社会全体の動きの結果であると考えることができます。

こうした社会の二極化をきちんと理解し、それに抵抗するのではなく、柔軟に適応することがこれからの時代には必要なスキルなのかもしれません。



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