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金沢大学角間キャンパスが追試験の会場に見る、共通テスト会場による受験格差


共通テスト、追試験会場

先日、大学入学共通テストの追試験会場に関する懸念を記事にしました。

能登半島地震の被災者対応に関して、石川県内に追試験の会場を設置するというニュースを受けて書いたのですが、その件について会場が発表されました。

金沢大学、角間キャンパス

こちらのニュースによれば追試験会場は金沢大学の角間キャンパスとのことです。

このニュースだけを見れば大歓迎のニュースのように感じます。

実際、関東、関西の一か所ずつの会場である当初予定からすればもちろん歓迎すべき内容であるのは間違いありません。

しかし、実際のところはどうなのでしょうか。

角間キャンパスの立地

国立大学の立地は比較的交通の便が良いところにあるというのが一般的な認識です。

例えば金沢大学と歴史的に似ている岡山大学の場合はどうでしょうか。

岡山大学の津島キャンパスはターミナル駅である岡山駅から徒歩30分、公共交通機関を利用すると15分程度の立地となっています。

比較的平野部に位置していることもあり、立地はかなり良いと言えるでしょう。

では私の地元、熊本大学の場合はどうでしょうか。

こちらも黒髪キャンパスは熊本市のメインターミナル、市街地中心部の手取本町から徒歩30分、バスで20分程度となっています。

一方で金沢大学の角間キャンパスはどうでしょうか。

金沢の中心市街地、香林坊からは徒歩1時間半、バスでも30分以上かかります。金沢駅からは徒歩2時間となっています。

加えて坂の上に立地しており、豪雪地帯でもあることから1月末の追試験の会場としては不安が残る会場ではあります。

(金沢大学、熊本大学、岡山大学は旧制高校で歴史的経緯が似ているため、どの大学も比較的市街地に近い場所に立地していました。しかし、金沢大学は平成初期に移転をしたため市街地からやや離れた場所に立地しています)

さらに以前の記事でも書いたように、そもそも被災地の能登半島から金沢までの交通手段や距離を考慮すると、果たしてこの会場が被災者に寄り添っているのかどうかは疑問が残ります。

私自身、現地の土地勘があるわけではないので断定は難しいのですが、どう考えても受験場としては厳しい環境であるように感じます。

代替地は他に無いのか

では代替地は他に考えられなかったのか、ということになりますがこれも難しいようです。

地図上で見ると、被災地に最も近い大学はかほく市にある石川県立看護大学です。

しかしここはGoogleマップで見る限りでもかなりの田舎で、公共交通機関も乏しく、宿泊先があるようにも見えないため、実際には候補としては難しいようです。

またあまり近い場合は被害が大きかったり、余震が続くケースも多く会場として設定しにくいこともあるのでしょう。

共通テストの会場における受験格差

今回の石川県の場合、地震被害による被災者対応という特殊な事例ですが、実際には全国的にこうした受験地における格差が共通テストには存在します。

以前の記事でも書きましたが、熊本県の場合は熊本市内にすべての受験会場が集まっているため、県内の高校生は宿泊を前提として受験する必要があります。

一方で福岡県の場合、福岡、北九州といった大都市だけでなく筑後、筑豊にも受験会場が分散しており、多くの受験生は自宅から受験会場に向かうことが可能となっています。

もちろん、離島の場合などは高等学校を会場として受験を行うケースは存在します(長崎、鹿児島など)が、九州の場合はそれ以外の県では受験会場が遠隔であるケースは少なくありません。

こうした格差に関して現在、文科省及び大学入試センターを是正するという方針を見せていません。

しかし、受験者が50万人という極めて大規模な試験を実施する以上、可能な限り公平な条件での受験が可能な措置を講じてほしいところです。

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