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【題未定】レンズ沼:MFの魅力、AFの利点【エッセイ】

 先日、久々に写真を撮影に出かけることができた。最近は時間が取れなかったり、雨が続いていたりで1か月弱ほどきちんと撮影に行かない日が続いてしまった。

 写真を撮ることが自分の中では確立された趣味となりつつある。基本的に外出する際はカメラを持参しているし、植物や風景、街並みを写真に収めることが習慣化した。だからこそ、逆に写真を撮れない日が続くとややストレスを感じる。特にこの梅雨の時期はカメラをカバンに入れていたとしても、カバンから出すことがためらわれる。私のカメラは一応は防塵、防滴機能を備えてはいるが、防水ではないので雨の中で使うようなものではない。

 カメラを始めてからしばらくはMF、単焦点のレンズを多用していた。マニュアルでフォーカスをいじれる楽しさや、足で画角を工夫する面白さに夢中になっていた。それに加えて単焦点のレンズはF値が低いため非常に明るく映ることが特徴でもある。ピントを合わせてシャッターを切るだけでそれなりに「映える」写真が撮れるというのはなかなかに魅力的だった。

 ところがしばらくその撮影に慣れてくると、やはりと言うべきかMFでピントを合わせることが億劫になる場面が出てきた。動くものを撮影することはそう多くはないが、時間的にあまりじっくり撮影できないような場所でフォーカスリングを回して構えることに抵抗を感じることが複数回あったためかもしれない。そのため最近は必ずMFとAFの両方のレンズを持って出かけるようにしている。

 最近はまっているのは40-150mm、F4-5.6のAF望遠レンズと7.5mm、F2.8のMF超広角の魚眼の組み合わせだ。望遠レンズはいわゆるキットレンズのやや暗い仕様ではあるが、AFの使いやすさと被写界深度の深さもあって非常に使いやすいと感じている。こちらは遠くのものや景色の一部を切りとるような使い方だ。また魚眼はMFだが、基本的に無限遠でピントを合わせるためにあまりMFを意識しないで使えている。魚眼で近くのものをゆがめて撮るのも面白いが、個人的には魚眼は広い景色、水平線や海と空を広い視野で撮影する使い方を好んでいる。

 カメラという趣味においてレンズ沼という言葉はよく聞く。実際、カメラが同じでもレンズが違えば切り取る景色や絵作りは全く異なったものになる。上記以外にもいくつかレンズを所有しており、F1.1の50mmのMFレンズなどはボケ感が強い写真が撮れて非常に面白く、常用してはいないものの時折持ち出して撮影しており、手放せないレンズの一つだ。画角自体は40-150mmでも代用できるが、やはり表現できる空気感が全く異なったものになるのだ。

 不便だがすべてが自由にできるMFと、楽に使えるが自由が利かないAFのレンズというのはなかなかに面白い対比だろう。この二つを使い分けるという体験は私の中で自分がどういう状況か、何を優先するかということを再確認させてくれる。普段無意識にしか認識していない自分の優先順位を意識的に考えるという機会はカメラという趣味を通して得られる良い経験となっているのではないだろうか。

補足:文中のレンズの焦点距離はマイクロフォーサーズのものです。したがってフルフレーム換算での画角はこの数値を2倍したものになります。

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