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タブレットの故障を想定していないシステムを構築したICT無能者の罪は重い


タブレットの故障

徳島県の県立高校と中等教育学校で令和3年度に生徒に配布したタブレットの故障が相次いでいる、というニュースが話題になっていました。

このニュースに関して気になることもあり、少し調べてみたことをまとめたいと思います。

中華タブレットの正体

今回、故障が相次いでいるのは中国製のタブレットPC、いわゆる中華タブレットと呼ばれるものです。

そして徳島県で採用していたのはWindowsタブレットで、CHUWI社のU Bookである、ということです。

しかしこのタブレットに関しては配布当初から苦情が多いようです。

上のリンクは徳島県の県民目安箱というページです。

ここでも件のPCの苦情が書かれています。

さらに調べると、このPCは技適の認証を受けていない状態だったことも明らかになっています。

筐体のスペック(特にCPUのCeleron N4120 1.10GHz4コア4スレッド)からしても、実用性が高いモデルではなく(個人的にはゴミに近い印象を受けますが)、一般競争入札で安かろう悪かろうを掴まされた可能性が高いと言えます。

とはいえ、コロナ禍におけるGIGA元年での話であれば、納入業者や台数確保を優先したと考えれば許される範囲かもしれません。

問題は数年後の運用

ICTの端末は基本的に使い捨てです。特に学校や自治体で一世購入をするような廉価モデルは間違いなくそうした利用をする前提で設計されています。

これは経年劣化だけでなく、技術の進歩、データ量の増加、セキュリティ確保、OSの更新対応などを考慮すれば当然であり、3年持てば文句無し、ということです。

もし5年以上を想定したいのならばiPadなどのApple製品をApple Care込みで購入するか、国産モデルをサポート付きで利用するしかありません。

今回のケースでは暑さによってバッテリーが膨張したものが全体の17%、3000台弱も存在したということです。

しかし、この数や比率自体は決して驚くことではありません。

体感的にもこの比率は市販品でも想定される故障率です。

無名中華タブレットの廉価バッテリならば当然想定される話であり、導入時点から見通しを立てるべきだったのではないでしょうか。

特定の機種をそろえて一斉配布すれば必ず起きる現象

結局のところ、行政や学校が生徒分の端末を一斉に配布する、そのために機種をそろえて、同じ時期に発注をかける、という条件付けの上に、競争入札を行えば必然的にこうした故障は頻発するということです。

さらに、タブレットPCは過熱するCPUやモニタ部分とバッテリが隣接しており、バッテリの劣化が起きやすい(しかも冷却ファンも無い)廉価な機種となれば、現実的な使用可能期間は2~3年と見て間違いありません。

つまり、導入段階から3年後には次の端末の準備をしなければならないことが分かっていたのです。(私レベルの知識でさえもその程度の予測は十分にできます。)

さらに言えば、一斉配布や貸し出し型の場合、保守やサポートが手厚い代理店(その分割高です)を通さずに長期間(5年以上)運用することは不可能だと言えます。

BYODと汎用ソフトの活用を選択肢に

一斉に端末を渡したり貸し出したりすればその保守点検にお金と時間を取られます。

一方でアフターサービスを重視すれば単年度予算で通らない可能性が高く、また端末を高級化しても同様です。

結局のところ、学校ごとに必要スペックを設定し、それを超えるものはどれでも可能、という環境を設定するのが最もコスパに優れるでしょう。

その場合、通信に関しては学校内に共用Wifiを使うか、通信費を組み込んだ形の授業料や諸費にしてポケットWifiを渡すかでしょう。

いずれにしても自治体や学校側が全てを管理している状態を維持することは難しく、早晩BYOD(Bring Your Own Device)の活用など、低価格で維持可能なシステムへと移行する可能性は高いかもしれません。

問題が起こっている徳島県のスタイル、それと似たタイプのICTシステムの設計、構築を行った人は大いに反省すべきです。

加えてそうした提案を知識不足や経験値の不足を理由に採用した行政、議会も不勉強を恥じてほしいところです。


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