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リアル授業はモチベーションの維持装置

コロナの影響もあった、GIGAスクール構想が全国的に広がりICT端末やそれを利用した教育方法が爆発的に普及しました。

その流れと協調するように、大学入試そのものが問う学力も推薦や総合型選抜入学者の増加によって変化を見せています。

しかし、一般入試における学力を身につけるプロセス自体には大きな変化はないため、一般受験をターゲットとする層に関して言えば、いわゆる「受験勉強」に関しては大きな変化はないようです。

オンライン型の映像授業の普及

ここ十年において受験業界で大きく変化したのは映像授業の普及です。

それまでも映像授業は代ゼミや東進などの予備校では実施されていました。

しかし、それらはあくまでVHSやDVDなどのメディアを利用して、主に塾のブースなどで利用するという形式でした。

ところがブロードバンドの普及によって、各家庭において映像授業をオンデマンドで受講することが可能になりました。

さらにこの数年の4G回線の普及により、スマホなどの携帯端末を利用すれば場所を選ばずに視聴することまでできるようになりました。

また、コロナの影響で進んだのがオンラインでの個別指導というスタイルです。

塾や家庭教師は、個別に家庭に行かなくとも指導ができる、質問対応ができるようになったというわけです。

参考書の進化と参考書利用学習管理型塾の台頭

これに加えて進んだのが参考書の進化です。

オンラインやアプリ上で紙参考書と同じ内容が読み取れ、解いた問題のチェック機能までつき、解説動画のリンクもQRで読み取れる、といった進化は学習環境を大きく改善しました。

また、それに加えて参考書を利用した学習管理型の塾が誕生し、大きく普及しました。

武田塾をはじめとしたこうした学習管理型の塾はそうした参考書の機能や既存の動画授業を利用することで人件費やイニシャルコストを下げつつ、高い指導力を確保することも可能となることから、既存の大手予備校が校舎を出さないような地方の小都市にも進出しています。

学校の授業無しでも受験勉強は成立し得るか

以上のような状況からもわかるように、学校の授業の存在意義は低下しています。

より正確に言えば、いわゆる「進学校」の受験対策的な授業はその意義を失いつつある、とも言えます。

この流れはアクティブラーニングといった授業の隆盛と一斉授業の衰退傾向ともリンクしているように見えます。

ところが、一方で高校の内容においてはアクティブラーニングで賄いきれない部分が存在するのも事実です。

数学の場合、最低限の単元学習に関しての説明が無ければ、一般的な高校生は書籍だけでの理解は不可能です。

つまり、一斉授業を必要とする場面もまた必ず存在します。

ポイントを絞った授業が学習のモチベーションを維持

とはいえ、これまでのように範囲全体をくまなく授業する必要はありません。

学習の核になり、基礎の土台となる考え方や思考プロセスの説明を授業で行い、個別の問題解説は動画や書籍を利用することで時間の無駄遣いを指導者、学習者ともに防ぐことができるはずです

ここ数年で感じた授業を通しての生徒の学習への取り組みを見ると、学校の授業における導入や基本事項確認などはかなり学習意欲に影響を与えているようです。

やはり、多くの一般的なレベルの高校生において初めから手放しで自学をすることは難しく、一斉授業による誘導、アクティブ形式による演習、個人レベルでの演習の三段階に学習段階を切るほうが効果的のように感じています。

いかにシンプルに講義形式の授業をまとめて演習へと繋げるか、アクティブラーニングにおけるファシリテーションの前段階においても授業スキルを再構築が必要でしょう。

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