関西の名門女子大学、神戸海星女子学院大学募集停止と恵泉女学園大学の共通点
関西の名門女子大学の一つである神戸海星女子学院大学が募集停止を発表しました。
先日も恵泉女学園大学の募集停止が発表されたばかりであり、名門女子大学の閉学が続いています。
なぜこの2大学がいち早く閉学か
女子大冬の時代というのは間違いありません。全国の女子大学で定員割れが続いているからです。
ところが、この2大学に関して言えばそこまで状況が悪い大学ではないのにかなり早い段階で閉学を決定したという印象があります。
個別の経営状況に関しては知る由もありませんが、立地だけで考えれば恵泉は都内、神戸海星女子も神戸市内にあり、決して人口の少ない地域ではありません。
この2大学と比較すると、地方都市の女子大学の多くは過疎と人口減少、地域経済の冷え込みで厳しい状況のところも多いはずです。
ところが都市部にあり、比較的立て直しの可能性の高いこれらの大学が先に閉学をするという状況はどういった理由からなのでしょうか。
良好な付属中高の存在
この2校に共通するのは、法人が運営する中学校、高校の募集状況や進学実績は良好であるということです。
恵泉女学園中学校の入試偏差値は四谷大塚で54、倍率は2倍を超えており5クラスの定員を充足しています。
また進学実績は早慶やMARCHを中心に首都圏の難関大学に多数の進学者を輩出しています。
英語教育などに定評がある学校でもあります。
一方、神戸海星女子学院中学校はさらに難関で入学偏差値は入りやすいA日程で49、B日程は60となっています。
倍率は2倍弱を維持しており、決して簡単に入れる学校ではありません。
進学実績は関西の国公立大学や関関同立を中心に進学者が多い印象で、海外体験などを重視したカリキュラムのようです。
つまり、これらの2大学は付属校の募集は比較的良好で、しかも進学実績も高いということです。
母体大学スルー減少
このように、付属校のレベルが高い場合に起こるのが母体大学をスルーする現象です。
これらの中高では進学意識や学力が高いため、よほどの理由がない限りは中高を卒業したのち、卒業生は他大学へ進学をします。
そのため、中高の存在が母体大学の学生募集に寄与しないことになります。
それどころか、こうした傾向の学校においては母体大学が法人の中でお荷物扱いされることさえあるようです。
今回の2大学の内情は不明ですが、明らかに付属学校からの母体大学への進学者がほとんどいない状況であったことは間違いありません。
こうした状況の結果、経営状況の悪い大学を閉学して資本や人的リソースを中高に集中しようとする方向性となったのではないでしょうか。
2013年募集停止の東京女学館大学でも全く同じ構図
実はこうした構図は2013年に募集停止、2017年に閉学、東京女学館大学でも見られたものです。
恵泉女学園と東京女学館の場合、母体大学の立地が中高に比べるとよくない、という付加的要素も存在します。
恵泉女学園中高は世田谷、大学は多摩市、東京女学館の場合、中高は広尾、大学は町田市とやや募集に不利な立地でもあったようです。
(神戸海星女子の場合は中高大ともに神戸市灘区と立地は良い)
そう考えると今後も、堅調な中高女子高と定員割れに近い女子大の組み合わせの閉学が続くことは予想されます。
この組み合わせで有名なところでは、白百合学園中高と白百合女子大、東洋英和女学院中学部高等部と東洋英和女学院大学などが存在します。
こういった大学が今後どのような動きを見せるのか、注視していきたいところです。