見出し画像

南山城十一面観音巡礼 ~寿宝寺・大御堂観音寺~

南山城十一面観音巡礼~ この言葉はもう何年も前から気になっているところでしたが、とうとう実現する時が来ました。

ひと口に南山城といっても、公式サイト等で調べてみると対象となる寺院はあちらこちらに散らばっています。

そのため、まずは鉄道駅から近い寿宝寺と、国宝の十一面観音がある観音寺に行くことにしました

寿宝寺では昼と夜とで仏像の表情が変化する様子を見せていただき、観音寺では思いがけず国宝十一面観音を間近で拝むことができました。

■このnoteを書いている人:sho
日本の歴史・文化・自然・世界遺産、国宝、(続)100名城、日本遺産、建築、町並み、旧街道、映画、日本酒、折り畳み自転車などに興味があります。京都/奈良/横浜/鎌倉/江の島などなど…。
※プロフィールは下記リンク先を参照してください。

■寿宝寺拝観は予約が必須

一般に千手観音は手が42本で、1本の手が25の世界を救うとされていることから信仰上「千手」となります。

ここ寿宝寺の十一面観音像は、頭上に十一面の像をいただき、左右に五百本ずつ合計千本の手があることから大変貴重な仏像とされています。

■寿宝寺のほかに葛井寺ふじいでら (大阪府)、唐招提寺(奈良県)などに実際に千本の手がある仏像があります。

近鉄三山木駅

寿宝寺は近鉄三山木駅が最寄り駅であり、ここから徒歩5分くらいで到着します。

寿宝寺看板
寿宝寺入り口

鉄道の到着時刻の関係から午前11時に予約をしました。小さな寺院であり収蔵庫の管理の関係から予約は必須です。現地に到着すると既に先客がいたため、庭などを眺めながら暫く待ちます。

寿宝寺本堂

やがて順番が来たので、お寺の方の案内で収蔵庫に入ります。

■収蔵庫の中は別世界

寿宝寺 収蔵庫

収蔵庫の中には中央に本尊の十一面千手千顔観世音菩薩像(国指定重要文化財)と、左に降三世ごうざんぜ 明王像、右に金剛夜叉像が並んでいます。

寿宝寺 十一面千寿千顔観世音菩薩像 (現地パンフレットから引用)

この十一面観音は昼と夜とで表情が変わることで知られています。

昼は厳しい男性的な顔、夜は慈悲深い女性的な顔となりますが、お寺の方が扉を開け閉めしてその変化の様子を実際に見せてくれます

***

左右の手には衆生を救うための道具を持つものと、道具がないものとがありますが、道具を持たない手のひらには目が描かれています

かすれて薄くなっているものが多くありますが、じっくり自分の「目」を凝らして手のひらに描かれた「目」を探しました。

こうした見どころについてはお寺の方が説明してくれるので見逃す心配もありません。

鑑賞に要する時間は30分程度です。質素ですが美しく整備された庭や貴重な十一面観音を鑑賞し、心豊かな気持ちで寿宝寺を後にします。

■寿宝寺
所在地:京田辺市三山木塔ノ島20
電話:0774-65-3422
収蔵庫拝観は志納

■そうだ!観音寺に行こう!でもその前に

寿宝寺で十一面観音を拝観し心穏やかになったのもつかの間、お昼が近づきお腹もすいてきました。

せっかくの心穏やかな気分から徐々に現実世界に引き戻されてきました。これはもう何かを食べて物理的に欲求を満たすしか方法はありません。

三山木駅周辺には飲食店はあまり多くはありませんが、インターネットで調べたラーメン店に入ることにしました。

天然塩ラーメン

この店の元祖とされる天然塩ラーメンを食べてお腹を満たした後は、隣りにある三山木郵便局で風景印をいただきます。

三山木郵便局 風景印

京田辺市は「玉露」が特産であり「飯岡の茶畑」は日本遺産「日本茶800年の歴史散歩~京都・山城~」の構成文化財となっています。

三山木郵便局の風景印には、飯岡の茶畑の茶摘みの様子と先ほど拝観したばかりの寿宝寺の十一面観音とが見事に表現されています。

■観音寺へは歩いて

同志社大学の塔

三山木郵便局を出たら次の目的地である観音寺に向かいます。少し距離がありますが、ここは運動を兼ねて歩いて行くことにします。

丘の上に見える同社大学

同志社大学の見える道をひたすら歩くことおよそ30分、ようやく観音寺の伽藍が見えてきました。

観音寺の伽藍遠景

大御堂観音寺はのどかな田園風景の中にあり、春には周辺の田園地区でナノハナが美しく咲くそうです。

かつては33もの伽藍を備えていましたが、そのほとんどが火災で焼け落ち、今は再建された大御堂が残るのみとなりました。

観音寺の紅葉

■国宝十一面観音を間近で拝観

観音寺寺務所前
観音寺寺務所入り口

寺務所で呼び鈴を押すと内側から「本堂前で待っていてください」との返事がありました。参道を歩いて本堂に向かいます。

参道を歩いて観音寺本堂へ

紅葉を見ながら本堂の前に進みます。

観音寺本堂

本堂向かって左側に竹筒が見えるのがおわかりでしょうか

京田辺市で採取された竹が奈良東大寺の修二会(しゅにえ・お水取り)の籠松明(かごたいまつ)で使う竹として奉納されています。

この行事は「二月堂竹送り」といわれるもので毎年2月の中旬に行われます。

市内で伐採された竹はいったんここ観音寺に集められ、安全祈願をした後に東大寺に運ばれ、籠松明として使われます。

***

本堂前で暫く待っているとご住職が現れ本堂内に案内してくれました。ご住職からは、寺の歴史や十一面観音に関すること、徳川家康が「伊賀越え」の際にこの近くを通ったとの伝承があることなどの説明がありました。

また、「厨子の前へどうぞ」と促され「いいのかな」と思いつつも厨子の目の前に進みます。

この十一面観音は、南山城では一番古い天平時代の十一面観音で、昭和28年に国宝に指定されました。

ご住職のご好意によりこんなにも美しい国宝の仏像を間近で拝観することが出来ました。

***

般若絵心経とは、文字が読めない人のために般若心経を絵で表したもの。本堂の欄間にこの般若絵心経が掲げられています。

刺繍の般若絵心経

また、本堂内部の正面に向かって右側には刺繍の般若絵心経が飾ってあります。これは某有名カバン店の社長夫人が寄進したものだそうです。

■ご住職に感謝

観音寺で国宝十一面観音を拝観し、そろそろ次の行先が気になるところ。するとご住職から「この後はどうするのか」とお尋ねがありました。

「歩いて三山木駅に戻り鉄道で移動して一休寺に行くつもりです。」と答えると、観音寺から一休寺までタクシーで15分くらいなのでご住職がタクシーを呼んでくれるとのこと。

暫く寺務所前で待つと間もなくタクシーがやってきました。ご住職にきちんとお礼を言う時間もなく、タクシーが出発するとご住職が外に出てきました。

走り去るタクシーの中からあいさつをしましたが、果たしてご住職に届いてたかどうかわかりません。この場を借りてお礼を言いたいと思います。

■大御堂観音寺
所在地:京田辺市普賢寺下大門13
電話:0774-62-0668
本堂拝観:400円

■最後に

以前から気になっていた南山城十一面観音巡礼ですが、とりあえず2か所回りました。

そして今回の2か所では、昼と夜とでの仏像の表情の違いを体感したり、息が届くほどの距離で国宝の仏像を拝観したりと、これまでにない経験をすることができました。

駅からも近く私のように車の運転ができない人にもお勧めのところです。

南山城十一面観音巡礼、対象地はまだまだあります。行くのは大変そうですが今後が楽しみです。

■続きは下記リンク先を参照してください。

■SNSアカウント
■ウェブサイト「かまふち」
https://www.shonan-kamafuchi.com/
■ツイッター
https://twitter.com/sho_kamafuchi/
■インスタグラム
https://www.instagram.com/sho_kamafuchi/

この記事が参加している募集

#旅のフォトアルバム

38,665件

ありがとうございます!ホッピーを買おうと思います。