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「1000円の積み立てでも節税効果ヤバいです」知らないと必ず後悔する起業直後の節税7選

今回は、起業直後に必ずやるべき重要なことについて解説します。これを知らないと、本来収めなくてもいいはずの税金を納めることになってしまったり、最悪の場合、倒産の道に進んでいく可能性もあります。新たに事業を開始した経営者や個人事業主の方は手遅れになる前に参考にしていただき、黒字化への道を進んでいただきたいと思います。

知っておくべき税金計算

税金は売上から経費を引いた利益に対して計算されます。したがって、領収書や請求書などの書類を保管し、正確に収入と経費を追跡することが重要です。資料がなければ、売上や経費の計算ができず、適切な税金を計算することができません。

さらに、売上、粗利(売上から原価を引いたもの)、固定費(売上に関係なく毎月発生する費用)を把握することは事業運営のために必要です。これらの数値を理解し、管理することで、企業は損益分岐点(売上が固定費をカバーし、利益が出始める点)を把握できます。

例えば、固定費が500万円、売上が1000万円、粗利が500万円の場合、粗利率は50%となります。この場合、固定費÷粗利率で損益分岐点を計算でき、これが最低限の売上目標となります。この事例で言うと500万÷ 50%この1000万が損益分岐点売上高ということです。

最低限の売上目標を決めるという意味でも売上は絶対に把握する必要があります。特に粗利率が何パーセントなのか、固定費がいくらなのか、これはぜひ把握しておいていただきたいです。


借金の元本返済額

企業がする借金の元本返済額は、固定費とは別にお金として出ていきます。しかし、この金額は通常の経費としては扱われません。損益分岐点を計算するときには、借金の返済額を加えて再計算する必要があります。それにより、「資金繰りがプラスになる売上高」または「収支がゼロになる売上高」を知ることができます。

また、経費の中にお金が出ていかない経費「減価償却費」があります。これは、資産(たとえば機器や建物)の価値が時間とともに減少することを反映した費用です。減価償却費は現金が直接出ていくものではないため、キャッシュフローを考慮した収支計算では、この費用を固定費から引く必要があります。

キャッシュフローがプラマイゼロになる売上高の計算
(固定費-減価償却費+借金の元本返済額)÷粗利率=大体の収支分岐点

つまり、企業の健全な運営を考えるときには、固定費から減価償却費を引き、借金の元本返済額を加えた数字を基にして、「キャッシュフローがプラマイゼロになる売上高」を計算しましょう。資金繰りがマイナスにならないように、適切な売上目標を設定することが求められます。

企業直後すぐにやるべきこと7選

1.青色申告

青色申告とは税金の申告方法の一つで、もう一つの白色申告と比較して税制上の優遇措置があります。以下に青色申告のメリットを解説します。

メリット1:3ヶ月以内
青色申告を行うには、税務署に「青色申告の承認申請書」を提出する必要があります。法人の場合、設立後3ヶ月以内に申請書を提出すると、その設立初年度から青色申告が可能になります。一方、個人事業主の場合は、青色申告を希望する年の3月15日までに届け出る必要があります。その年に事業を開始した場合、1月16 日以降に事業を開始した方は事業を開始して から2ヶ月以内に提出する 必要があります。

メリット2:損失の繰り越し
青色申告の最大のメリットは、「損失の繰越」が可能であることです。例えば、ある年に1000万円の赤字が出たとします。次の年に500万円の利益が出た場合でも、前年の損失と相殺されるため、実質的な利益はまだマイナス500万円となります。そのため、税金は発生しません。さらに、その翌年も残った損失分が利益から差し引かれ、税金が軽減されます。個人事業主の場合、この損失繰越は3年間可能で、法人の場合はさらに長い10年間可能となっています。これにより、事業の初期段階での赤字を、将来の利益によって補填することが可能になメリット

メリット3:少額減価償却資産
少額減価償却資産制度を利用することで、30万円までは一括で経費として落とすことができます。例えば25万円のパソコンを購入した時、減価償却という処理をせず一括で全額経費で落とすことが可能です。これは1年間で累計300万まで使うことができますので、300万円を一気に経費で落とすこともできます。
累計で300万を超えると、たとえ20万でも固定資産として計上しなくてはいけません。
今年の税金を減らせるということになりますので、物理的には使っていただいた方が有利だと思います。

メリット4:所得控除
青色申告を行う個人事業主は、所得控除という制度を活用できます。具体的には、所得控除額として65万円を申告できます。たとえば、住民税と合わせて税率が50%の人の場合、この控除により最大で32万5千円の税金を節約できます。ただし、この控除を受けるためには、正確な帳簿を維持する必要があります。

メリット5:家族への給与を払える
青色申告では、家族(例えば奥さん)が事業を手伝う場合、その労働に対する給与を支払うことが可能です。この給与は経費として計上できるため、所得税の節税につながります。ただし、支払える給与額は、仕事内容に応じた適正な額でなければならない点に注意が必要です。

2.小規模企業共済

小規模企業共済について解説します。これは、毎月定められた掛金を納め、その額が全額所得控除となる制度です。掛金は月額1,000円から70,000円まで自由に設定でき、その金額は事業をやめる際に戻ってきます。加えて、かけた年数によって、掛金額が増加する可能性もあります。

加入資格は、商業、サービス業以外の事業を行っている個人事業主や、従業員5人以下の中小企業が対象となります。また、それ以外の事業者は、従業員が20人以下であれば加入可能です。たとえば、会社設立直後で資金が厳しくても、最初は少額から始め、利益が出てきたら金額を増やすことが可能です。

また、小規模企業共済の特徴的な節税メリットとして、貸付制度があります。積み立てた金額の約70%から90%を借り入れることができます。例えば、月7万円、年間80万円を積み立てた場合、約80%の68万2000円を借り入れることができます。

この貸付制度を利用した場合、実際に手元から出て行くのは168,000円です。しかし、この168,000円に対して得られる節税効果は大きく、仮に所得税と住民税の最高税率が合計55%の場合には、なんと節税額は462,000円に達します。

つまり、節税によるリターンは元の出金額を大きく超え、利回りは275%にもなります。このように、小規模企業共済は、節税効果が大きく、資金の積み立てと組み合わせることで大きなメリットを享受できます。加入資格のある方は、ぜひこの制度を活用してみてください。

3.経費の領収書の保管

多くの方が、特に事業が小さい時や事業開始前にかかった経費の領収書を捨ててしまう傾向があります。しかし、これは大変もったいない行為です。なぜなら、領収書を捨ててしまうとその分の経費計上ができず、必要以上に所得が大きく見えてしまい、結果的に税金が増えてしまうからです。

したがって、事業開始前からの領収書や請求書は、発生した場合はきちんと保管しておくことをお勧めします。

また、領収書を受け取る際の注意点として、事業用とプライベートの経費をしっかりと分けることが重要です。特に個人事業主の方々は、すべてを経費として計上しようとする傾向がありますが、本来経費に該当しないものまで計上してしまうと問題が生じます。例えば、ペットフードの代金など、関係ないものは経費になりません。

事業用の財布とプライベート用の財布を分けることで、事業でどれだけ儲かったか、プライベートの出費と混同せずに把握することができます。このように、経費とプライベートをきれいに分けて管理することで、事業の利益を明確に把握し、適正な経費計上が可能になります。

4.役員報酬の決定

法人で事業を営む場合、役員報酬は厳密に設定する必要があります。一度決定した額は、1年間毎月同額を支払う必要があります。報酬額の変更は決算後にのみ可能で、初期設立時には3ヶ月以内に役員報酬を決定しなければなりません。もし4ヶ月経過してしまうと、その分は経費として計上できなくなります。

役員報酬の設定額については、理論的には経営者の任意で設定することが可能です。ただし、最低限、経営者が生活できるだけの額は設定することを推奨します。なぜなら、もし経営者が自身の生活費を補うために会社の資金を引き出すと、それは会社からの貸付金とみなされ、経営者の信用度を下げる可能性があるからです。会社の資金を私的に流用すると、銀行からの評価が下がる可能性があります。

ただし、経営者が個人的に十分な貯金を持っていて、会社の利益を出すことを優先したい場合、役員報酬を低めに設定することも可能です。逆に、役員報酬を高く設定すると、その会社に資金を貸す側からは、貸した金が経営者の報酬として消え、返ってこないと見られる可能性もあります。

利益が出ない場合は、役員報酬を控えめにし、利益が出始めたら適正な報酬を設定すると良いでしょう。理想的には、経営者が望む報酬を取得し、それ以上の利益を上げることを目指すべきです。

5.税理士選び

法人の場合は顧問税理士をつけることが一般的ですが、個人の場合は必ずしも必要ではありません。特に規模が小さい会社では、税理士への報酬支払いが、自己申告による間違いから生じる追加税金よりも大きくなる可能性があります。小規模な会社であれば、自分で税金申告を行うことも一考の価値があります。

一方で、自身の事業が忙しくて税務処理に手が回らない場合、税理士に頼むことも有効です。多くの税理士事務所では、比較的安価に税務処理を代行してくれます。たとえ報告に誤りがあったとしても、それによる延滞税は大きな額にはならないことが多いです。手間を考えると、安価な税理士に申告だけでも行ってもらうのも良い選択かもしれません。ただし、これは規模が小さい時の話です。

会社の規模が大きくなり、きちんと利益を生み出す事業となった場合は、数字の管理をしっかりと行うことが重要になります。そのような状況では、税理士の助けを借りて、会社が利益を持続的に生み出せる状態を維持することが必要となります。

6.ビジネスモデル

ビジネスモデルの選定は、特に新規企業の場合、失敗につながり易いので注意が必要です。斬新なアイデアは需要がない、または利益を出すことが困難なため、誰も実践していない場合が多く、それを採用すると失敗する可能性が高いです。

また、コロナ時代の「事業再構築補助金」を取るために新規事業を始める方が多くいましたが、適当に事業を始めるとしっかりとしたビジネスモデルがなく、結果的に失敗する可能性が高いです。さらに補助金は、使った額の一定割合しかもらえないため、全体のコストを上回るリスクを負うことになります。

7.共同経営

同経営においては、横並びで経営を進めることは失敗する確率が高いです。例えば、友人と会社を設立し、株を50%ずつ持つというパターンですが、方向性の違いやお金の問題で絶縁状態になる事例が多いです。共同経営を行う場合は、上下関係を決めることが推奨されます。全く同列で進めると、方向性の差異により問題が生じやすく、失敗する可能性が高いです。

まとめ

企業直後にやるべきことについてお伝えさせていただきました。一番重要なのは独立起業して事業を始めたのであれば、プライベート用と事業用の財布であったり、お金の使い方をきっちり分けることです。これをしないと企業で儲かったのか、いくら利益が出たのかわからなくなってしまいます。会社を成長させていくために細かいところからきっちりやっていただきたいなと思います。

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