コンサル人材のスタートアップ転職について
本noteは現役コンサルタントのアーリーステージ(seed~A)スタートアップ転職を前提として書きます。レイターステージへの転職は全く違い、このnoteではカバーしません。
最近色んなコンサルの人とスタートアップ転職について話す機会が多いのですが、かなり情報の非対称性があると感じているので、思っていることを書きだします。
ここに記載されているのは、ほぼ橋爪の偏見です。ご了承ください。
スタートアップって魅力的な転職先ですか?
大金を求めるならCxO/Co-founderになるしかない。
結論ファースト:
スタートアップから創出されるリターンは、極端にCxO/Co-founderに寄っています。メンバーとしてジョインし、一生遊んで暮らせる額を稼ぐのはほぼ不可能と考えて良いでしょう。
細かい話:
アーリーステージスタートアップの金銭的報酬はCash+SOによって構成されるのですが、Cash部分については戦略コンサルに在籍している人から見ると報酬が下がるケースがほとんどです。
MBBで働いていてアソシエイト~マネージャーレベルだと年収が1000~2500万円近くあると思いますが、給料は半分程度になってしまうことを前提として考えたほうが良いでしょう。
SO部分については入社ポジションによりますが、どの企業も「事業を作れる人のほうが多くSOをもらえる」という点は共通してます。入社タイミングによりますが、メンバーレベルだと付与時で0%~0.5%、CxOレベルだと0.2~1.5%程度が多いでしょうか。(詳しくはこの記事を読んでみてください:https://note.com/visionarybase/n/n915045653617)
ものすごく運の良いケースを想定します。
メンバーとして入社時0.2%付与され、dilution後上場時に0.1%のSOを保有していた場合、1000億で上場しても手元に残るお金は8000万円ほどです。
この人が運よく、入社した会社がその5年後に上場し、1000億で上場できたとすると、年間1600万円のcashが手元に残ることになります。
もちろんこれは大金ではありますが、一生遊んで暮らしていけるようなお金ではありません。
コンサルに在籍している超優秀層であれば、30代前半にはパートナーも目指せると思うので、5年でうまくいってcash 8000万円はそこまで魅力的ではないと思います(特に失敗確率を考えると)。より安定的に稼ぎたいのであれば、PEファンドに転職して、VP以上を目指したしたほうが効率的かと思います。
もちろん今後1兆円規模のIPOが出てきたら稼げる額はメンバーでも一桁違うと思いますが、今の日本のスタートアップの現状としてはこんなものかと思います。
ホワイトな職場を求めるならアーリーステージはやめたほうがいい。
結論ファースト:
アーリーステージは基本的にきついです(労働時間的にも、メンタル的にも)。Jammは現状かなりホワイトですが、いつ大変になるか分かりません。ホワイトを求めるなら他をあたりましょう。
細かい話:
弊社の場合、固定残業45時間分が給与に含まれる労働条件になっており、現状まだメンバーはほとんど残業はしていませんが、将来的に月80時間近い残業になる可能性は常にあります。毎日労働時間が9時~22時(1時間休憩を含む)になる月もあってもおかしくない、と考えていただいたほうが良いです。
アーリーステージは基本的につぶれるリスクがあり、いざつぶれそうになると会社にプレッシャーがかかるのでブラックになりがちです。逆に上手くいきだして、いきなりグロースしても、かなり業務がきつくなります。
よって、うまくいっても、つぶれかけても、業務がきつくなる瞬間は発生します。
それに加えて、精神的なストレスも大きいです。人間関係の問題や、ランウェイがどんどん迫ってくる緊迫感。マイルストーンを達成しないとつぶれる、というプレッシャーに打ち勝ち続けないといけません。コンサルのプレッシャーとはだいぶ違う種類のストレスですね。アーリーステージを楽しむには、それなりに強いメンタルも必要かと思います。
一発当てたいです!コンサルからいきなりCxOになれますか?
不可能ではないですが、数年前と違ってかなり難しくなっています。
結論ファースト:
数年前はかなり事例が多かったのですが、最近はスタートアップエコシステムの成熟度が進んでいることもあり、コンサルから直接CxOになるケースは少なくなっています。
細かい話:
2~3年の時間を「1サイクル」と定義するとコンサルからCxOまでは現在では1~2サイクル程度の下積みが必要になってきており、3サイクル目でCxOというのがスタンダードになってきている印象があります(もちろん例外はあります)。
具体的なキャリアの一例として、
・コンサル→BizDev→Product Owner→COO
・コンサル→Chief of Staff→Head of Growth→COO
・コンサル→メガベンチャーPdM→Head of Product→CPO
のような進行はナチュラルなキャリアパスのように思います。
4~5年前は0~1サイクルでコンサルからCxOになれたんですが、今はかなり難しくなってます。
原因として、日本のスタートアップ人材の層が厚くなっています。近年ではスタートアップIPO数も増え、「IPOしたスタートアップでCxO・執行役員やってました」という人が増えており、そういう経歴の人とコンサルのマネージャーを比較した時に、スタートアップとして前者の方を採用する確率が高い状況です。
原因として、ここ数年でコンサルから直接マネージャーや執行役員になって機能しなかったケースが多かったらしく、実際周りでもそのような意見のCEOも多いです。
乱暴に一言でまとめると、コンサル出身者はスタートアップで機能することをproveしないといけない立場にあるということです。
アメリカは更にエコシステムが進んでおり、今の大型スタートアップCxOはex-CEOやex-CxO経歴が当たり前になってきてます(Rippling COOや、Stripe CBOもこのパターン)。
自分は今後日本のスタートアップも、このようにCxOまでキャリアが長期化してくることを予想します。
戦略とか経営企画とか、かっこいいことしたいっす。いいポジションないですか?
死ぬほど泥臭いことの連続です。営業ができないといる意味ないです。
結論ファースト:
コンサルから直接アーリーステージのスタートアップに入社する場合、いかにインサイトを出せるかにかかってます。インサイトは基本的に営業からしか生まれないので、営業する気のない人はアーリーステージスタートアップにいる意味がないです。
細かい話:
アーリーステージスタートアップの仕事は大きく以下に分かれます。
・コーポレート系(経理、法務、人事労務等)
・事業開発系(営業、Growth、BizDev等)
・プロダクト系(PdM、エンジニア等)
・その他(資金調達等)
新卒コンサル入社でマネージャーをやっていても、上記のどれもできません。一番近いのはBizDevですかね。
インサイトが営業から生まれるという話ですが、「何かを売りつける」ではなく「どこかの企業の問題を解決する」ことが求められ、営業から出た発見をプロダクトチームとコミュニケーションし、PMFに向けて自社のサービスの質を向上し続けることが求められます。
日本の教育の悪いところだと思うのですが、「泥臭い仕事をしない人の方が偉い」「勉強ができれば泥臭い仕事をしなくていい」みたいな風潮を感じます。
「学閥のある大企業で出世できず、ずっと泥臭い仕事をさせられた… 東大さえ出ていたら…」みたいなネガティブトークを一世代前の大人がよく語っていたからでしょうか。
アーリーステージスタートアップには泥臭い仕事しかないです。それが「楽しそう!」と感じない人は向いてないので、大企業かメガベンチャーでマネージャー職転職を目指しましょう。
自分はいけている!今日CxOになっても結果を出せる!
そう思うのであれば、自分で起業しましょう。
一人で起業がきついのであれば早くco-founderを探して起業しましょう。
起業は全員に平等に与えられている権利です。「俺ならできる!」と思った日が吉日です。
最後に:JammではChief of Staffを募集してます!
ここまで読んでいただきありがとうございます。
Chief of StaffはスタートアップCxO・起業家に近づくために最適なファーストステップです。
SeedステージからSeries AのPMFに向けての生々しい活動を、間近で見て、自分でドライブできるポジションです。
少しJammについて宣伝:
毎年大型のSeries Aは100件程度しかありません(大手10VC x 年間10件)。
Jammは珍しく100億円を超える大型ファンド3社からpre-seed時点で出資を受けているスタートアップです。問題なく事業を進められ、既存VCに継続してサポートいただければ、順調にSeries Aも実施できるという非常に恵まれた環境です(もちろんお約束はできませんし、これから入社いただく方のパフォーマンスにかかっております)。
果たして、このnoteを読んだコンサル在籍者が「Jammに入社したい」と思うことなんてあるのか、甚だ心配ではありますが…
ご興味がある方がいましたら、careers@jamm-pay.jpまでご連絡ください。
Let's get Jammin'!
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