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「伝説の血盟」Lineage リネージュ昔話012

 リネージュJP2カノープスサーバーの初期に、Tenteiという方がいました。
Legendという血盟の君主(リーダー)だった方です。
※画像右上の星のようなマークがLegendのエンブレムです。戦争中は味方と敵の頭上にエンブレムが表示されます。白地にRを左右対象にくり抜いたエンブレムがRefRain血盟のもの。そのリーダーであった虎鉄さんについては、他の記事で書かせていただきました。

 このTentei氏が、自らがリーダーを務めるLegend血盟のメンバー全員に宛てた手紙があります。私はその内容を思い出すと今でも熱い気持ちになります。
※リネージュには便箋というアイテムがあり、それを使ってゲーム内で手紙を書くことができました。
 なお、私自身はLegend血盟のメンバーではなかったのですが、中学生時代からの地元の友人が当時Legendに加入しており、画面越しにその手紙を見せてもらいました。

 まったく前情報なしに手紙の内容だけを書いても、何も伝わらないと思うので、少し説明させてください。

 当時のLegend血盟は、長きに渡ってケント城をその居城としていました。
 ケント城は元より防衛側に有利な構造ではありましたが、このLegend血盟が防衛することにより、まさに難攻不落の城となっておりました。
※トップ画像は、多数のクランが一挙にケント城を攻めた際のスクリーンショットです。この際もケント城はまったく危うげなく防衛されております。
攻め側が多すぎて、むしろ足の引っ張り合いになっている部分もありますが。

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 余談ですが、画面上部に写っているZidane氏というエルフが、また良い仕事をするのです。
 文字に色をつける機能(というかコード)を使用して、集中攻撃の対象をわかりやすく伝えています(これは「Core、FinalOffsetの順で集中攻撃せよ」という意味の指令になります。)。

 そのLegend血盟の幹部に、カイザードという人がいました。
 もちろんプレイヤーとしても強い方だったのですが、それだけではなく非常に面倒見の良い方でした。
 Legend血盟に入った初心者達に様々なことを教えたりしていたそうです。誠実な人柄で、人望もあったのではないでしょうか。

 そのカイザード氏が、あるときLegendを脱退し、Stormという血盟を立ち上げます。その目的はなんと「打倒Legend」
 まず冒頭に書いたTentei氏の手紙に先駆け、カイザード氏からLegendのメンバー全員に手紙が出されていました(Tentei氏の手紙はそれに対するリアクションのような形でした)。

 カイザード氏の手紙は、要約するとこのような内容だったと思います。
「ケント城の税収の一部が、Gumsin02やRickyMartinらに支払われている。私にはこのような行いを見過ごすことは到底できない。Tenteiの説得を試みたが、聞き入れられることはなかった。それゆえ私はLegendを倒すため、Storm血盟を立ち上げた。志ある者は私とともにLegendと闘ってほしい。」
※Gumsin02とRickyMartinは、当時Legend血盟に所属していた韓国人の有名プレイヤーでした。
リネージュは元々韓国のゲームであり、2人は韓国でもこのゲームの強豪プレイヤーであったため、知識・スキルともに極めて高い水準にありました。

 またカイザード氏は、Legendの同盟であったギラン城主「ポルナレフ血盟」に対しても、手紙を書いています。
 この手紙が血盟全体に対するものであったか、君主個人宛てであったか、そこは記憶が定かではありません。
 手紙の内容としては、Legendのメンバーあてのものと同様の内容に加え、「あなた方は同盟内で軽んじられている。その扱いに不満はないのか。もし不満を持っているのであれば、私とともに闘うつもりはないか。」といったことが書かれていました。

 これに対してポルナレフ軍団としては正式に回答をしていませんが、Polnareffさんから君主の地位を任されていた†やまもと†さんはこのように語っています。
「軽んじられていることぐらい、わかってるんだよ。今のポルナレフ軍団は数ばかり増えた烏合の衆だ。その評価は妥当だと思うよ。それでも人を増やして、育てていくしかないだろう?いつか力をつけて見返してやれば良い。そうでなければ、君主の地位をまかせてくれたPolnareffに申し訳が立たない。」
※「数ばかり増えた」と言っているポルナレフ軍団は、この当時150~200名程度までメンバーを増やしていました。当時のリネージュの仕様では1血盟の最大人数が40~50名程度だったため、それを超える人数になった場合は、複数の血盟に分けるしかなく4~5血盟が作られていました。なおLegend血盟も100名ほどの大所帯となっており、3血盟ほどに分かれていたはずです。

 どうしても前置きが長くなってしまいましたが、これを受けてTentei氏が書いた手紙が熱かったのです。
友人から画面越しに見せてもらっただけで、スクリーンショットがなかったため、思い出しながら書いています。そのため、原文とはやや異なる点があるかもしれないことをご了承ください。
※元Legend血盟員などで、原文をご存じの方がいればぜひ教えていただきたいです。

我がLegend血盟に所属する者達へ
 カイザードが去ったことは残念ではあるが、正直なところ楽しみでもある。
 彼がどの程度の力を蓄えているのか、どのような陣容で攻めて来るのか、それを考えると楽しみでならない。
 誰が来ようとも、私は闘いを避け、逃げるようなことはしない。
 Legendは伝説のクランである。

 これだけです。※クラン=血盟=チーム
 この自信に満ち溢れた文面。そしてカイザード氏から指摘を受けた、税収の使途については否定も肯定もしない点。
「私についてこい。正しさは戦場で証明して見せる。」とでも言わんばかりです。
 多少はロールプレイ(君主としての役割を演じていた部分)もあるのかもしれませんが、この文面はTentei氏が書くからこそ様になっていたのではないかと思います。

 後に当時を振り返って友人が書いたblogが残っていたので、許可を得た上でリンクを貼らせていただきます。
ちなみに彼はアークトゥルスサーバーに移動した後、Lawrenceという名前でプレイをしており、当時は同サーバー内ではそれなりに名の知れたプレイヤーでした。

 また私自身もリネージュに触れることがなくなってかなり経ってから、Tentei氏が復帰していたことがあり、その当時のblogのURLを友人のカイザードXXさんが教えてくれました。
 Tentei氏のblogは私も当時見た覚えがあるのですが、「なんかカノープスサーバー初期とキャラが違う……」と感じた記憶があります(私があの手紙から、勝手にTentei像を作り上げていただけかもしれません。)。
 よく言うと丸くなったとでも言うのでしょうか。
blogでは「数年前リネ現役だった頃だったらもっと上手に出来たのかな~。」などと書きながら、ケント城を再び手中に収めていたりします。


 ちなみに古参プレイヤーの方から、「Tenteiの名前の由来は、USサーバーに存在した日本人血盟Mirageの君主Tenteiの名前から。」と聞いたことがあります。
 私はUSサーバー時代からのプレイヤーではないため、MirageのTentei氏についてはまったく知らないのですが、それについて一部の方から「MirageのTenteiの名前を使うとは」という批判もあったと聞いています。
 私にとってはTenteiといえばLegend血盟の君主の名前です。しかしそのTentei氏に影響を与えた、Mirage血盟の君主はどのようなプレイヤーであったのか、ご存知の方がいればぜひお話を伺ってみたいものです。

 締めくくりに。

 子供を持つようになると、創作物に登場する親子関係に対して、まったく違った感じ方をするようになります。
 例えば、漫画家あずまきよひこ氏の「よつばと!」という作品があります。独り身だった頃の私はギャグ漫画として読んでいましたが、私の母は涙しながら読んでいたことがありました。今ならその気持ちがよくわかります。
 ちなみにこの作品に出てくる「とーちゃん」というキャラクターは、母子家庭に育った私に取っては理想の父親像です。
 (そんな話を友人にしたところ、「あれは父親がいた私に取っても理想の父親像ですよ。ファンタジーですね。」と語ってくれました。)

 もう1人、私にとって理想の父親像といえる、架空の人物がいます。
 それは銀河英雄伝説に登場する、ヤン=ウェンリーというキャラクターです。作中で彼には実子はいません(養子がいます)。
 そんな彼が作中でこのように語るシーンがあったはずです(手元に銀河英雄伝説がなく、うろ覚えで申し訳ありません。近々再読したいと思います。)。
「何も実の子を持つ必要はない。自分の意志や考えを継いでくれる者がいれば、それで良いんだ。」

 LegendのTenteiは、MirageのTenteiから影響を受けたプレイヤーの一人だったのでしょう。
ある意味では、MirageのTenteiの意志や考えを継ぐプレイヤーであったのかもしれません。
そしてまた、LegendのTenteiから影響を受けたプレイヤーも、きっと少なからずいたことでしょう。

 現実世界でも、誰かの考えを継ぎ、そして誰かに考えを継いでもらうことによって、人類の歴史が紡がれていきます。
 私は多くの人に何かを伝えるような立派な人間ではありませんが、せめて自分の子供ぐらいには、何かを伝えられるようにしたい。何を伝えられるだろうか。と、いつも考えています。


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