「強さとは何か」Lineage リネージュ昔話003
「すべてを自分でやりたがり、すべてを自分の手柄にしたがる人は、偉大なリーダーにはなれない。」
リネージュ(というかMMORPG)のプレイにおいて、自分が大きな影響を受けたプレイヤーを紹介してみます。
第2回は虎鉄さん(虎徹さんも同一人物。JP2カノープスRefRain血盟・JP4アークトゥルスRefRain血盟およびRefRainMax血盟の君主=リーダー)です。同時期に同じサーバーでリネージュをプレイされていた方であれば、その名前を見たことがある方は少なくないはずです。
当時はそれなりに有名であったクラン(=チームのようなもの。ギルドと呼ぶゲームが多いでしょうか。)、RefRain血盟のリーダーでした(画像の鎌のエンブレムは、RefRain血盟ではなくRendir同盟のものです。Rendir同盟はカノープスサーバーにおいて、最初に全ての城を取ることに成功した同盟で、RefRain血盟もそこに属していました。)。
カノープスサーバーだけではなく、アークトゥルスサーバーでも城主になったことがあります(私が知らないだけで、まだ他のサーバーでもあるかもしれません。)。
また虎鉄さん本人が関与していたかは知りませんが、リネージュ2でも複数のサーバーでRefRainの名前を冠する血盟が城主となっていたはずです(仮にここには虎鉄さん本人が関与していなかったとしても、それは虎鉄というプレイヤーの影響力の大きさを、より強く感じさせる出来事だと思っています。)。
プレイヤー紹介の前に、ここでリネージュのゲーム性に触れさせてください。
まずリネージュというゲームにはクリアというものがありません。つまりゲームの目標というものは、各プレイヤーが自由に決めることができます。
そうはいっても開発・運営者が想定しているユーザーの目標は、おそらく以下のようなところだと思います。
1.城主になる
リネージュにはいくつかの城があります。ユーザー間で攻城戦と呼ばれる戦いを行い、その勝者となった1つの血盟が各城の城主となります。)
2.竜などの強力なボスキャラクターを倒す
リネージュには設定上4竜と呼ばれる竜がいます。私がこのゲームを始めた当時は地竜アンタラスのみが実装されていましたが、順にすべての竜が実装されていきました。その他にも弱いものから強いものまで、様々なボスがいます。
3.難易度の高い狩場にいく
私が始めた当時でいうと竜の渓谷のダンジョン、通称DVC(ドラゴンバレーケイブの略)の6Fが最高難易度の狩場でした。当時はパーティープレイでもそこで狩りができる人は少数で、1人で狩りをできるのはごく一部のトッププレイヤーのみでした。
4.キャラクターを強くする
これは上記1~3を達成するための手段かもしれません。逆にキャラクターを強くするために2や3を行いたいということもあるでしょう(城主になれば税収が手に入るので、ゲーム内通貨を目当てに1を目標にする方も少数ながらいらっしゃったかもしれません。)。
この中で1の「城主になる」だけは、自らのキャラクターの強さがほとんど関係ありません。
なぜならリネージュの戦争とは質と数であり、時が経つにつれて数がより強く影響するものだったからです(サーバーオープンから日が経っていないうちは、トッププレイヤーとそれ以外のプレイヤーの力の差が大きいです。そのためトッププレイヤーはまさに一騎当千といえる強さを発揮します。しかし時間が経つにつれて、キャラや装備の成長が頭打ちになってきます。そうすると数がよりモノをいうようになるのです。)。
自分1人がどれほど強くなろうとも、城主になることはできないのです。
本題に戻りまして、今回紹介する虎鉄さんは、とにかく弱いです(失礼)。よく死にます。少なくとも先ほど挙げた目標のうち「キャラクターを強くする」からはほど遠いです。
彼がリーダーだったRefRain血盟でも、色々な狩場に皆で行きましたが、やっぱりすぐ死にます。
それは君主がリネージュ内で最も弱いクラスということもありましたが、彼は装備を買うよりも前に血盟の運営費(例えばアジトを借りるにもお金がかかります。)などにゲーム内通貨を使っていました。そのため装備もあまり良いとは言えなかったせいかもしれません。
……いやキャラも装備も弱いにしても、死にすぎなぐらいに死んでいた気がしますね。
しかし目標の1に挙げた「城主になる」に関していえば、彼は最強の一角だったと思います。
このゲームの複数のサーバーで城主になったことがあるという人が、果たしてどれだけいるのでしょうか。「城主クランの一員だった」ではなく、「城主クランを率いるリーダーだった」という人です。
冒頭の「すべてを自分でやりたがり、すべてを自分の手柄にしたがる人は、偉大なリーダーにはなれない。」は、虎鉄さんの言葉ではなく、アメリカの鉄鋼王と呼ばれたアンドリュー・カーネギーの言葉です。
虎鉄さん自身がそれに類する考えを述べていたわけでもありませんが、彼のプレイスタイルは、この言葉を体現しています。
彼は間違いなくリネージュというゲーム内において、偉大なリーダーでした。彼の周りには優れたプレイヤーが集まり、彼は自身がリーダーを務めるRefRain血盟のメンバーを誇りに、大切に思っていました。
そしてRefRain血盟のメンバーもまた虎徹さんに対して「盛り立てていきたい」「頭上に王冠を輝かせたい」という想いを持っていたと、私は感じています(王冠は城主の比喩表現ではなく、リネージュでは城主クランのリーダーの頭上に王冠のようなエフェクトが表示されます。)。
クラン員の勧誘などもすごく丁寧でした。実は私も彼の勧誘を受け、RefRain血盟に所属していたことがあります。クランに入る前から、たびたび丁寧にメッセージを送ってくれました。かといって強引に勧誘するようなところはありません。
特に有名なプレイヤーでもない、私のようなプレイヤーを1人勧誘するために、何度もゲーム内でメッセージを送り続けるようなマメな人は、なかなか珍しかったと思います。
彼自身がリーダーのため、この表現が適格かはわかりませんが、滅私奉公の人といっても良いかもしれません。
ゲーム内通貨であるアデナの使い方、ゲームをプレイする際の時間の使い方、すべてが自らのキャラクターよりもRefRain血盟というクランを優先していたように思えます。
また私が知る限り、多くの有名クランのリーダーはほかにメインキャラクターを持っていて、そのキャラクターのLVや装備が強いという人が多かったです(君主をどれだけ育てても、戦闘力で比較するとほかのクラスには見劣りします。しかし君主以外のクラスは血盟のリーダーになれません。そのため勝ちに拘るプレイヤーほど、リーダー用と戦闘用でキャラクターを分けている人が多かったのです。)。もしくは君主というクラスにしては強いという人もいました。
しかし、繰り返しになってしまい、色んな意味で申し訳ないですが、虎鉄さんはとにかく弱いです。すぐ死にます。毎日のように死んでいました。虎鉄のほかに強いキャラクターを持っているといったことも、もちろんありません。
それでもRefRain血盟という素晴らしいクランを作り上げ、1度ならず城主の地位を得た虎鉄さんは、やはりリネージュプレイヤーとしてゲーム内での成功を収めたといって間違いないでしょう。
彼はクランを作り、それを運営するということに、リネージュプレイヤーとしてのエネルギー・時間を注ぎました。
それは私のプレイスタイルとは全く異なるものでしたが、「こういう遊び方や強さもあるのだな。」と思わせてくれるに充分なものでした。
リネージュはスキルを高めてプレイヤーが強くなっていくゲームではありません(そういった部分が皆無なわけではありませんが、囲碁・将棋や格闘ゲーム・FPSなどに比べると、プレイヤースキルの重要度は格段に低いです。)。
ドラクエやFFなどのコンシューマーRPGと同じように、どれほどプレイを重ねても基本的にはゲーム内のキャラクターが強くなるだけです。
しかし彼のような強さは、きっとゲームの外にでても発揮される強さなのではないでしょうか。
締めくくりに。
私のゲーマーとしてのプレイスタイルはいつも効率重視。リネージュでは効率よくキャラを強くすること。またいつか書くかもしれませんが、いわゆる「普通」ではない方法も用いてキャラクターを強くしていました。
そんな私は今では個人事業主です。私のプレイスタイルは仕事においても「効率よくキャラクターを強くする」のまま。自分の知識を増やし、事務処理速度を速め、装備(デジタルデバイスやWebサービス)をより良いものに変え、効率化を進めるばかりです。
事務所には何人かのスタッフもいますが、虎鉄さんのような偉大なリーダー(=経営者)になることはできそうもありません。
しかし私はリネージュ風にいうとペアハン(2人でペアを組んで狩りをすること)で新しい何かを始めようとしています。この何かは少し(かなり?)停滞させてしまいましたが、私は目標を設定し効率よく何かをすることが得意だと自負しています。そして私の相棒となる人は、私以上にそれが得意です。
いつかリネージュのFI(忘れられた島)でペアハンをしたときのように、この新しい何かをきっと上手く成し遂げたいと思っています。
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