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リーダーシップに自信を持つ5つのヒント

銀座コーチングスクール汐留校代表の本田です。

3月14日、気象庁により開花宣言がなされました。統計開始以来、最も早い開花宣言のようです。春は出会いと別れの時期で、長い学生生活を終え社会人となる人もいれば、新年度とともに一般職から管理職になる人も多い時期です。

一般的な出会いと別れとは、人との出会いと別れを指します。一方で、新社会人となる人や初めて管理職となる人にとっては、これまでとは違う新しい自分との出会いとも取ることができるのではないでしょうか。

毎年この時期になると、新任リーダーたちがコーチングを学びにいらっしゃいます。受講者それぞれにコーチングを学ぶ理由があるのですが、中でも管理職としての能力を向上したい、コミュニケーション能力を向上したいという理由が最も多い理由です。

「リーダーシップ」の誤解

コーチングを学ぶ新任リーダーたちの話しを聞いていると、リーダーシップのイメージについてこんなことをよく耳にします。

■「リーダーシップ」のイメージ
①部下をグイグイ引っ張る
②部下よりも有能である
③カリスマ性がある
④指導力が高い
⑤自己犠牲

かつての私も上記のようなことを思っていましたが、コーチングと出会ってから考えが変わりました。部下をグイグイ引っ張る必要はない、必ずしも部下より有能である必要もない、そして、カリスマ性などなくても良いと。

この記事では、会社組織の中で奮闘するリーダー、とりわけ、4月からリーダーとなる新任リーダー向けに、リーダーシップに自信を持つコツについてお伝えしたいと思います。

①部下をグイグイ引っ張らなくていい

自分にリーダーは向いていないと感じる方は、リーダーとはいつも力強く精力的に仕事に取組み、あらゆる問題を解決し、チーム全体、会社全体を力強く引っ張っていくヒーローのような存在、というイメージを抱くのかもしれません。

私(団塊ジュニア)が社会に出た当時は、確かにこのようなリーダーは存在していました。しかし、時代と共に働き方や価値観が大きく変わり、リーダーシップの意味も変わってきています。現代に求められているリーダーシップとは、部下自ら考え行動を起こし、主体的に仕事に取り組めるようサポートすることです。

今後、ますます少子高齢化が進み深刻な人手不足が予測される中では、チームに1人だけ突出して有能な人がいるよりも、チーム全体が平均的に成長を果たし目標達成できることの方が、メンバーにも会社にも有益なのです。

ですので、会社が新任リーダーに求めるのはヒーローになることではなく、メンバーを平均的に育成し、彼らを適正に評価し、チームを管理することです。部下をグイグイ引っ張るとか、部下の性格を変えることではありません。

このような背景からコーチングが注目され、多くの新任リーダーがコーチングにヒントを求めているのです。

②部下よりも有能である必要はない

新任リーダーの多くは、不慣れな上司という立場に不安を感じます。この不安を解消するために、全てにおいて部下に勝ろうと考える人も少なくありません。しかし、例えば、リーダーとなると同時にこれまでとは違う部署へ異動することになった場合、以前からそこで働く部下よりも勝ることは困難です。何よりも、こういう思考で業務に当たると心身ともに疲弊してしまい、健康を損ねる可能性が出てきます。

会社は、適材適所に人を配置します。なので、新任リーダーに対して、ヒーローのようになって欲しいとは考えていません。会社がリーダーに求めることは部下の育成と評価であり、チームの管理です。

■主なリーダーの役割
・チームの方向づけやゴール設定
・チームの計画や予算設定及び管理
・チーム内の情報共有
・チームメンバーへの仕事の割り振り
・メンバーとのコミュニケーション
・メンバーの評価
・メンバーの育成

会社があなたをリーダーにした理由は、有能であると判断したからです。もちろん、リーダーとして研鑽に努めなければならないことは言うまでもありませんが、会社が求めているのは部下よりも有能になることではなく、部下を有能な人財にすることです。

部下の成長を促すためにも、積極的に仕事を任せましょう。そして、大切なのは「部下を信頼する」「部下の味方をする」「部下の中に答えはある」ことを信じるリーダーマインドをしっかり持つことです。こうすることで部下との信頼関係が築かれ、チーム全体が活き活きとし、風通しの良い環職場境になっていくのです。

そして、あなた自身もリーダーとして成長するのです。

③カリスマ性など必要ない

私が新任リーダーとなった15年前は、カリスマ性のあるリーダーになりたいと思っていた時期がありました。今思うと、自信がなかったからだと思います。人気があれば部下は素直に言うことを聞いてくれて、余計な軋轢を生むこともないし、トラブルに巻き込まれることも無いだろうと考えていたからです。

しかし、カリスマ性のあるリーダーになりたいと思っていた間は部下との信頼関係は築けず、チームの業績も上向くことはありませんでした。なぜなら、ベクトルが完全に自分に向いていたからです。このことを、当時の部下たちは見破っていたのだと思います。

■尊敬されるリーダーとは
・部下の話に真摯に耳を傾ける
・部下に仕事を任せる
・トラブルが起きた時は責任を取る
・配慮とともに元気付ける
・部下の成長に配慮する
・裏表の無い性格
・状況判断が的確
・責任感が強い
・ビジョンを示してくれる
・軸がブレない

上記の「尊敬されるリーダーとは」は、私が運営するコーチングスクール内のクラス中にアンケートを取ったものを抜粋したものです。冒頭の「リーダーのイメージ①部下をグイグイ引っ張る」とは真逆であることがわかります。

現代の会社組織では、カリスマ性のあるリーダーは求めていません。なぜなら、部下が育たないからです。スーパーマンのようなリーダーがいると部下は依存してしまい、指示待ちするようになるでしょう。「主なリーダーの役割り」に記した通り、会社がリーダーに求めることは部下の育成と評価であり、チームの管理です。

新任リーダーとなった初年度の私はスーパーマンになろうとして失敗をしましたが、早いうちに自分の間違いを知ったことは大きな財産となりました。そして、自分を変えるためのヒントを、ビジネスコーチングに求めたのでした。

④指導しないリーダーシップ

コーチングを学びにいらっしゃるリーダーたちは、これまでイメージしていたリーダーとは随分違うことに気づくようになります。相手を動かすのではなく、相手の自発的な行動を促すことの大切を知るからです。

部下へ指導(アドバイス)することは時として大切ですが、常に指導していると部下の主体性を奪い成長の妨げになります。(緊急時を除き)部下の成長を願い、チームの活性化をはかりたいのであれば、コミュニケーション(コーチング)中心の指導しないリーダーシップを考える必要があります。

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上記はコーチングの仕組みを図解したものですが、この仕組みを利用することで指導しないリーダーシップを発揮することができます。

話す(部下)→聴く(リーダー)→質問する(リーダー)→考える(部下)を繰り返すことで、部下の思考が整理され気づきが生まれます。気づきが生まれるとやるべきこと(行動すべきこと)が明確になるため、主体的行動に結びつきます。そして、この時にリーダーは後押しをすることで、部下は安心して行動を起こせるのです。

部下は、自ら起こした主体的行動についてはリーダーに報連相する傾向にあるため、この時に再びコーチングの仕組みを使い次の行動を促し、部下とともにリーダー、そしてチーム全体の成長が促され目標を達成できるチームが出来上がっていきます。

⑤自己犠牲ではなく他者貢献

ここまで4つの方法について解説してきたので、リーダーは自己を犠牲にしてまで職務に当たらないといけないという感情は失せていると思いますが、念のため解説しておきたいと思います。

例えば、リーダーが辛そうに仕事をしていると、それを見た部下はリーダーは辛いものと感じるでしょう。リーダーがいつも休日を返上し休みなしで仕事をしていると、部下はリーダーにはなりたくないと思うでしょう。

会社がリーダーに期待することは、人材の育成と評価、そして管理であると冒頭で述べました。つまり、リーダーは次世代のリーダーを育成しなければなりません。だからこそ、コーチング型コミュニケーションを使い部下を自発的行動を起こせる人材に育て、仕事を任せ、成長を促し、リーダー自身の負担を軽減し、リーダーを目指す部下育成が求められます。

そのためにも、私のところで学ぶリーダーたちには、自己犠牲ではなく他者貢献という概念を持つようお伝えしています。

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7年ほど前に「嫌われる勇気」という著書(岸見一郎氏)がベストセラーとなり、アドラー心理学が注目されました。その時の私は、産業カウンセリングを学んでいたこともあり、興味深く何度も読んだことを覚えています。

アドラーは次のように語っています。

「人生は全体へと貢献することを意味する。人生の意味は貢献、他者への関心、協力である」

人は一人で生きていけません。会社組織の中では、特に言えることです。人は他者との繋がりの中で生きています。他者との繋がりのことをアドラーは共同体と表現するのですが、共同体の中に自分の居場所があると感じられることは、人間の持つ基本的欲求なのです。

しかし、共同体の一員であると感じることと、共同体の中心にいるということは全く意味が異なります。何度もお伝えしてきましたが、会社はヒーローは求めていません。役割を明確にするため役職がつきますが、部下を育成するにあたっては同じベンチに座り、同じ景色を見るような感覚が必要なのです。

チーム全体に同じベンチに座り、同じ景色をみるような感覚が醸成されると、共同体がうまく機能するようになります。すると、自己犠牲ではなく他者貢献のマインドが育まれ、互いにサポートし合う文化がチームに生まれます。メンバー一人ひとりが他者貢献マインドを持つようになると、飛躍的な成長を遂げるチームとなるでしょう。

そして、会社があなたをリーダーに任命した真の狙いは、このようなチーム(文化)を作ることと言えるでしょう。ですから、冒頭でお伝えした誤ったリーダーシップのイメージ(部下をグイグイ引っ張る、部下よりも有能である、カリスマ性がある、指導力が高い、自己犠牲)では無いと安心できるのではないでしょうか。

最後に

いつも最後まで読んでくださり、ありがとうございます。今回の記事が新任リーダーたちの一助となれば、ビジネスコーチとしてこれ以上に嬉しいことはありません。

新しい年度の始まりと同時にリーダーとなる時、不安の気持ちに苛まれることと思います。慣れればどうということはない、とアドバイスする上司もいることでしょう。しかし、自身を含め人は十人十色であり、相手には感情が伴います。何の知識も無く、何の理論も知らないままチャレンジするよりも、コーチング理論や心理学などの知識は持っていた方が良いと経験上私は思っています。

あなたがリーダーであることを心から楽しみ、やり甲斐を感じ、そして、あなたと接する部下がリーダーを目指すような文化が醸成されることを、心より応援しております。

銀座コーチングスクール汐留校
代表 本田 頌


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