欧州4ヶ国 トレーニングに関する特徴
イングランド、ドイツ、ポルトガル、スペインの欧州4ヶ国の育成年代(U12~U16)において、各国のトレーニング傾向や特徴に関する調査報告がされている。
対象はそれぞれの国のトップリーグに属しているクラブのアカデミー合計16クラブで、内容として「練習時間内で判断が必要なトレーニングセッションと判断の必要無いセッションがどのくらいの割合で行われているか」を示したものとなっている。
まずこの調査におけるトレーニングセッションのカテゴライズは以下の通り
「判断を伴うトレーニングセッション」
・敵選手ありの少数グループでの技術的もしくは戦術的なドリル形式
・単一方向性のゲーム(例:2vs1)
・スモールサイドゲーム
・ポゼッション形式
・状況再現性トレーニング(ゴール1つ)
「判断を伴わないトレーニングセッション」
・W-upやコンディション系のフィットネストレーニング
・敵選手なしの個人、グループでのドリル形式
・ゲーム状況から切り取られた技術戦術的トレーニング(パターントレーニング、シャドートレーニング等)
また、「その他」として飲水の時間やトレーニングセッションの説明、グリッドの作成などにかかった時間も算出されている。
結果
練習時間は各国ほぼ同じで、平均して88±6分。
・イングランド
判断を伴うトレーニングセッション→ 56±8%
判断を伴わないトレーニングセッション→ 26±8%
その他→ 18±2%
・ドイツ
判断を伴うトレーニングセッション→ 57±10%
判断を伴わないトレーニングセッション→ 26±9%
その他→ 17±3%
・ポルトガル
判断を伴うトレーニングセッション→ 68±9%
判断を伴わないトレーニングセッション→ 14±8%
その他→ 17±4%
・スペイン
判断を伴うトレーニングセッション→ 67±10%
判断を伴わないトレーニングセッション→ 15±9%
その他→ 17±3%
少し細かく見ていくと、ポルトガルとスペインのチームはイングランドやドイツのチームと比較して、スモールサイドゲームに多くの時間を充てているという結果となっている(イングランド:27±17%、ドイツ:32±12%、ポルトガル:40±18%、スペイン:37±10%)。
それ以外の特徴として、イングランドの指導者は他の3ヶ国と比べて技術系のドリル形式のセッションを11~16%ほど多く採り入れており、ドイツの指導者はフィットネス系のトレーニングに10~14%多くの時間を割いていると報告されている。
ドイツサッカー連盟(DFB)は「判断を伴うトレーニングセッション」の割合が低いことに危機感を抱いたようで、DFBアカデミーの責任者は『この間(ま)を詰めることが重要だ』とコメントしている。判断を伴わないトレーニングでは、認知能力及び試合に特徴的な状況下でのプレー能力の強化が適切に行われないという点が懸念されるからである。
ナショナルチームが好調なポルトガル、相変わらず継続的にタレントを輩出しているスペイン、近年育成年代でもクラブや代表チームで結果を残している印象があるイングランドに対して、若干勢いが下火になってきている感があるドイツ。
最近では指導者養成を筆頭に育成改革を進めることが発表されたが、こういったトレーニング構造の見直しもされていくんだろうなと思うし、どのように発信していくのかも興味深い。育成大国復権のためにDFBがどう動いてくるのか注目したい。
(出典:https://www.dfb-akademie.de/studie/unterscheidet-sich-das-training-in-europaeischen-laendern/-/id-15000183)
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