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『汝、星のごとく』-凪良ゆう- を読んで


『汝、星のごとく』-凪良ゆう-


あらすじ
凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』は、瀬戸内の島を舞台に、高校生の暁海(あきみ)と転校生の櫂(かい)の心の成長を描いた物語です。孤独や欠落を抱える二人は互いに惹かれ合いながらもすれ違い、様々な試練を経て成長していきます。彼らの心に影を落とす家族や周囲の影響、島という閉鎖的な環境の中で繰り広げられる、生きることの自由と不自由、そして一つではない愛の形を繊細に描いた青春物語です。

感想

『汝、星のごとく』は、読む者の心にじわりと染み込む深い物語でした。

暁海と櫂、それぞれの視点から描かれる心の痛みや葛藤がリアルで、特に二人が共に過ごすシーンはとても美しく、そして儚いものでした。

彼らは自分の背負った重荷から逃れられずに苦しみながらも、互いに支え合う様子には胸が締め付けられます。

個人的に、島の閉鎖的な環境や親からの依存に苦しむ二人の描写がとても印象的でした。

特に櫂の人生が予想外に早く終わってしまう展開は、読んでいて衝撃的で、感情を抑えきれず涙しました。

最後のシーンは彼が安らかに眠る姿を想像し、悲しみと同時に安心感も感じました。

また、登場人物たちが自分の人生を選び取る過程が、"正しさ"や"幸せ"ではなく、"自分がそうしたいから"という理由であることがとても響きました。

人生の選択肢はいつも簡単ではなく、その不自由さやもどかしさを強く感じさせる作品です。


どんな人におすすめか

『汝、星のごとく』は、繊細で深い人間関係や成長物語が好きな方に特におすすめです。

人生の岐路に立ち、何かを選び取らなければならない状況にある方、孤独や悩みを抱えている方にとって、きっと心に響くものがあるでしょう。

また、凪良ゆうさんのファンはもちろん、彼女の描く美しい風景描写や儚い愛の物語に魅了されること間違いありません。

この作品は、心に残る一冊として長く読まれる作品だと思います。

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