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自分で髪を切ること、少しのアナキズム。

髪を自分で切り始めて早くも2年が経った。そのやり方と経緯を説明していこう。

まずセルフカットのメリットを列挙してみると
毎月の美容室代が浮く
予約が要らなくなる
会話をしなくて良くなる
場所を選ばなくなる
回数を重ねるほど技術が磨かれる
 などがある

セルフカットのやり方として僕はまず髪を濡らして逆立てる。超サイヤ人状態だ。(僕は短髪なので、短髪にするやり方を説明していく)

そこから全体的に逆立っている部分を切っていきバランスを整える。

全体を切り終えたら後ろ髪を切っていく。横と上部の後ろ髪なら引っ張って鏡から見えるようにして切り揃える。引っ張っても見えない部分は人差し指と中指で髪の束を挟み、頭から髪の毛を離して切り揃えるようにする。ここの作業は全く見えていないので感に頼るしかないが、何回もやれば大体どんな感じか見なくてもわかるようになる。

これで全体の長さを切る作業は大体終わりだ、水で髪を洗い流して軽くタオルドライをしたら髪をすく作業に入る。

ここで使うのがすきバサミ。僕は癖っ毛で髪が広がりやすいので人差し指と中指で髪の束を掴んで重いなと感じたら、手前と奥で2回すきバサミを入れる。横と後頭部は特に広がりやすいので、気持ち多めにハサミを入れる。ここを間違えるとハゲになるので慎重かつ大胆さが求められるパートでもある。

こうして全体をすき終えたなと思ったらもう一度髪を洗い流す。タオルドライをして鏡で全体のバランスを確認する。たいてい横が長いか空き切れていないので数回ハサミを入れることになる。そうしたら最後に前髪を切っていく。

僕は現在短髪にして前髪を作らないようにしているので、前髪を動かしやすいように短く切り、多めにすいている。前髪でも左右が長いと重く見えるのでほんの気持ち多めに入れる。ここが一番怖い作業だ。少しでも切りすぎるとハゲになる。

ここまで切り揃えたら大体完成で、体についた髪を落とすためにもシャワーを浴びる。タオルドライをして全体が悪くなければ完成と言ったところである。違和感がある場合はほんの少しハサミ入れる。たいていは後頭部の毛量の多さか癖っ毛で髪が横に広がっていることによる違和感だ。すきバサミを入れましょう。

こうして完成である。
説明すると長く面倒臭いように思えるが、慣れてくると15分もかからないで全体の工程が終わる。美容室に行って髪を切ってもらうことを考えると大幅な時間短縮だと言えるのではないだろうか。しかも、回数を重ねれば重ねるほど技術が上がり、見た目の満足度も上昇する。一度身につけた技術は裏切らないのである。

・・・

さて、ここからはどうしてセルフカットを始めたかをについて話していくが、そのためにも、まずは『ファイトクラブ』の名言をおさらいしておかなければならない。

「持っているものにお前は所有される」

これは消費社会の物質至上主義を皮肉った『ファイトクラブ』のキャラクター「タイラー・ダーデン」のセリフであるが、この言葉は実に示唆的だ。

僕はセルフカットをする前までは、「普通」に美容室にて毎月髪を切ってもらっていたわけだが、同じ美容室に同じ美容師と、ルーティン化されることで場所にとらわれる感覚がしていた。もちろん切ってもらう人を変える選択肢もあるだろうが、安心して切ってもらうとなると固定化したほうがいいはずだ。

しかし、そうなると生活圏が髪を切るというただそれだけのことで狭まってしまうことにならないか?という疑問がふつふつと湧いていた。それって結局場所に支配されているということにならないか?

だったら自分で切っちゃえ

タイラーは「持っているものにお前は所有される」と言ったが、他の尊敬する人たちはどうなのだろうと考えてみた。例えば僕はセックス・ピストルズが好きだ。パンクのアイコンと呼ばれるシド・ヴィシャスよりジョニー・ロットンの方が好きだ。荒さの中に知性を感じるのがたまらない。シャツにネクタイ締めてパンクとか最高すぎだよな。

話がずれたが、僕はそのようなパンクの人たちを想像した時に、この人たちが美容室に行ってちょこんと椅子に座って髪を切ってもらうところが想像できるだろうか考えた。

・・・まったく浮かばないのである。
つまり「パンクロッカー、美容室に行く」はもはや語義矛盾なのである。

ならば、パンクでありアナーキズムの精神を受け継ぐためには自分で髪を切るべしと思い至ったのであった。

さて、一度切ってみるとどうであろうか。これが意外にも悪くなかった。初めてにしては上出来といったところで、これなら続けられそうだと思った。

最初は後頭部を切るために合わせ鏡を使ったり、髪を切るためにケープをかけたりしていたが、動きづらかったり、とにかく時間がかかったために使わなくなった。最終的にはコームとハサミとすきバサミの3つのみになった。めちゃくちゃシンプルである。

そうして鏡を見てザックザックとハサミを入れていくわけである。
これが楽しい。僕は大体調整も兼ねて週一回は髪を切っているのだが、それが楽しみになっていたりもする。自分を使って工作をしている感覚になるのだ。それはメイクの楽しみがある人と似たようなものかもしれない。

結局のところ、何が言いたかったかというと、髪を切るのは趣味だし、僕の好きな人たちにも通じる何かがあってめちゃいいぞという話なのだ。

髪を切っている間は『ファイトクラブ』の生活と同じだし、ジョニー・ロットンやピート・ドハーティと同じ気持ちになれるのである。
・・・これが流行りの推し活というやつですか?

なんだかよくわからなくなってきたので今日はここまでにしよう。




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