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【読了】本日は、お日柄もよく

果たして自分は、身を貫かれるような興奮に出逢ったことはあるだろうか、焦がれるように夢中になったことはあっただろうか。

読了後、そんな思いがざわざわと全身を巡った。

きっと無いのだろう。もしあるのならそもそもこんなしみったれた考えは過ぎらない。
毎日ボールを追いかけたあの頃でさえも、所詮は惰性と共に置き去りにしてしまった過去の遺物に過ぎない。もし僕が今でもそれに魅了されているというのなら、今も変わらずボールを追いかけているはずだ。
熱中するとは、きっとそういうことなんだろう。

ひたむきに、一身に奮闘し続けられる人間の尊さと気高さには一生手が届かない気さえしてしまう。
本作の主人公二ノ宮こと葉を知ると余計に。


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■恋愛×スピーチ×政治■
物語は結婚式場から始まる。新郎は長年片恋を寄せていた幼なじみ。

おめでとう、あっくん。幸せに、あっくん。さよなら、あっくん。(本文より引用)

恋をなくしたこの日、こと葉はある人物の披露宴スピーチに魅了され、スピーチライターを志す。
人物一人一人の思いやりと暖かさに、情熱と信念に血が沸き立つような高揚感を掻き立てられる物語。
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両親が君に与えてくれた体を大事に使いなさい。
そして、心は君自身が育てるんだ。(本文より引用)


私、あっくんがどうして恵理ちゃんと結婚したのか、今すっごくよくわかるよ。(本文より引用)


なんだろう、この気持ち。何かに似てる。
ああ、そうだ ー 誰かを好きになったとき、恋してしまった瞬間に似てるんだ。(本文より引用)


私、あの人が好きなんだ。
賢くて、強い。優しくて、潔い。そして、うんと大きい。(本文より引用)


今まで通りのドアを開けるのか、新しいドアを開けるのか。鍵は一人一人の手の中に。(本文より引用)