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銀行員と資格

税理士試験にトライ中のアラフォー銀行員です。

銀行員にとっては切り離せないのが資格。資格の取得が強く推奨されています。

私は某銀行で総合職として働いており、業務としてはほぼ一貫して法人営業をやってきていますが、資格で学んだことが業務に役立ったと感じたことはほとんどありません(それなのに私がなぜ税理士試験にトライしているかは、話が長くなるので割愛します。。)。

ちなみに私が持っている資格は以下のとおりです。

・簿記2級(3回目で合格)
・宅地建物取引士(3回目で合格)
・FP2級
・税理士科目(簿・財)合格
・銀行業務検定2級及び3級(財務・税務・法務。外為のみ3級だけ。法務2級だけ一回落ちた)
・証券外務員一種・二種
・生損保関連の資格(正式名称忘れました)

資格勉強中はいろんなことを覚えていても、業務の中では一切使わないため、学んだことはすぐに忘れていきます。資格で得た知識は本当に使わないです。「あればベター」「知っていたら良いね」程度のレベルです。

「隣の家からはみ出してきた木の枝を勝手に切っていいか?」など、宅建の民法の知識など不要です。資格で学んだ知識は、銀行員にとっては雑学の域を出ないような知識ばかりかなと思います。

唯一、簿記2級は決算書や試算表を深く理解するのに少し役立ったかなぐらいです。

基本的に「営業」をやっていく上では、網羅的に体系的に勉強する資格勉強は不要で、ピンポイントで必要な情報だけを必要に応じて学べば十分です。

前置きが長くなりましたが、このnoteでは以下2点に関して記載していきます。

・銀行で資格は必要か?
・私が銀行内で会ったことのある資格保有者

銀行で資格は必要か?

資格の取得が推奨されていますが、業務に役立つかと言うとほぼ役に立たないというのが実態です。取らなくても業務に支障はありません。

特に、法人営業の現場においては資格ゼロで全く問題ありません(行内ルールで取得必須とされている資格は除く)。

行内ルールを覚えることの方が重要

資格なんかよりはるかに重要なのは、行内ルールを覚えることです。事務に関するもの、稟議に関するもの、本部宛の報告に関するもの等々、たくさんの決まりがあります。

よく「銀行員の足腰(基礎)は事務だ」と言われます。外回りをやっていく中で銀行内部のルールを覚えていないと一つ一つの作業に時間を取られることになり、前向きな営業に時間を割くことができません。

伝票の記入箇所やどこにハンコを押すだとか、間違うと訂正印をもらうために再度お客さんのところに訪問して時間を食ったり、また、稟議関係だとデリバティブや私募債などは起案ルールが複雑で、慣れないと相当時間を取られます。

また、法人営業をやる上で非常に重要なスキルである融資判断における「財務分析」については、行内研修やOJTで十分です。銀行というのは総じて研修制度がしっかりしていますし、OJTで上司から何度も稟議を突き返されることで自然と身に付いていきます。

加えて数字をあげる上では、銀行サービスに関する知識も非常に重要です。例えばメジャーなものだとインターネットバンキング。振込時限がどうだとか手数料はどうだとか、他行との違いは何かなど。使い方の質問も受けることがちょくちょくあります(基本的にヘルプデスクとかを案内するんですけどね)。


専門部署であれば資格は役に立つ

一方で、専門部署であれば資格勉強が役に立つと思います。わかりやすいので言えば相続関係ですね。

銀行員では税務が絡む提案はそもそもできないのですが、知識があれば相続税のシミュレーションを勝手にしてみて、何かしらの提案によって収益に繋がりそうかどうかのアタリをつけることができます(実際の提案は提携している税理士を紹介するなどして行います)。

税理士試験の相続税法に合格していたらかなり役に立つと思います、そんな人は見たことがないですが。

一方で、営業現場では、1社に対して時間をかけて作り込んだ提案をするというような悠長な時間はなかなか取れません。如何にして顧客訪問数など手数を増やすかです。そのためには前述したように事務周りを固めることの方が重要です。

広く浅く知っておいて何かしらの取っ掛かりを掴んだら、本部の専門部署に投げる。それでOKです。餅は餅屋に任せておけということです。


資格と昇格の関係

営業現場では基本的に数字(=営業成績)をあげれば出世や昇格はできます。99対1くらいの割合で「数字」が重要です。

資格をほとんど持っていない上司はゴロゴロいますし、現場の叩き上げの上司だと、「資格勉強するくらいなら客への提案をもっと考えろ」と叱られることもあります。

ただ、人事評価を付ける上司や人事部にとっては、資格の有無というのは非常にわかりやすい指標になりますので、やはり資格取得が推奨されます。営業成績が同じような行員がいたら、勉強を頑張っている行員を優先して昇格させますよね。

また、資格を取得していると行きたい部署への希望を叶えるのには役に立ちます。そういう同僚をこれまでも見てきました。当然ですが、やりたい仕事に関連する資格を取っていれば本気度を見せることができますので。希望を一定程度は叶えてくれるということで、私が勤めている銀行の良さかもしれません。


銀行内で遭遇する有資格者(個人的見解)

私の15年以上に銀行員生活で、出会ったことのある有資格者をご紹介します。

1位(ごろごろ取得者がいる)
 銀行業務検定
 ⇒ほとんどの行員が何かしらの科目を持っています。科目としては財務、法務あたりが多いです。

2位(ちょくちょく見る資格)
 簿記2・3級
 FP2・3級
 ⇒簿記は法人部門、FPは個人部門に取得者が多いです。銀行業務検定に比べると数はだいぶ落ちますが、従業員の3分の1くらいは持っている印象です。

3位(しばしば見る資格)
 宅地建物取引士
 ⇒年配者に多い印象。

4位(あんまり見ない)
 証券アナリスト
 ⇒宅建士とは逆で、若手に多い印象。

5位(稀にみる資格)
 簿記1級
 中小企業診断士
 税理士科目合格者
 弁護士(但し法務部で、プロパーではなく中途採用だった人)
⇒この辺の資格はぐっと減ります。私は1~3人しか会ったことがありません。ちなみに税理士科目合格者は1人しか会ったことがありません。大学時代から勉強を続けていたという先輩で、あと1科目と言っていました。異動でいなくなってしまったのでその後どうなったかは知りませんが、10年以上前のことなのできっと官報合格しているかと。

6位(私は出会ったことがない)
 公認会計士
 税理士
 司法書士
 行政書士
 ⇒公認会計士などは銀行本体の決算業務を担う財務企画部とかにいると聞いていますが、現場を走り回っている私は出会ったことはありません。公認会計士の人たちも中途採用だと聞いています。実務経験を必要とする資格なので当たり前っちゃあ当たり前ですが(税理士と弁護士もそうですね)。


報奨金制度

他の銀行も同じだと思いますが、私が勤務する銀行では、資格試験に合格すると金一封がもらえます。

金額は資格の難易度に応じて定められており、私のところでは5,000~50,000円のレンジとなっています。それほど多くなく、受験費用プラスα程度です。

※ちなみに報奨金は、私の銀行では資格手当のように毎月の給料に上乗せされるような類のものではなく、1回こっきりの支給となります。また、現金ではなくギフトカードで支給されます。

0円(取得が必須)
 
証券外務員一種、二種
 生損保関連の資格

5,000円
 
銀行業務検定3級

10,000円
 
銀行業務検定2級
 簿記2級
 FP2級

30,000円
 
宅地建物取引士
 簿記1級
 証券アナリスト(確か二次合格)

50,000円
 
公認会計士(確か短答と論述両方合格で)
 税理士5科目合格(難易度に対し少な過ぎない???)


まとめ

まとめるとこんな感じです。

  • 銀行の法人営業担当に資格は不要。「知っていたらベター」という程度。ピンポイントで必要な情報だけを、必要に応じて学べば良い。

  • 網羅的に体系的に勉強する資格勉強は不要だが、本部の専門セクションであれば資格の知識は役に立つ。

  • そもそも高度な法務・税務が絡む提案は銀行からは行わないし行えないので、提携している士業の専門家を紹介する。

  • どうせ資格を取るのなら銀行を辞めてからも活きる可能性がある、「独占業務」がある資格がベター(弁護士、会計士、税理士、司法書士等)


しかし、最近ではYouTubeが非常に役に立ちますね。
ネットに落ちている情報というのは真偽が不明なものなどもたくさんありますが、実名・顔出しの士業YouTuber(弁護士、公認会計士、税理士、司法書士等)がどんどん登場していますし、情報の質が非常に高いと感じています。

経済動向だとか相場に関する情報についても様々な方々が非常にわかりやすく発信しています。お客さんと会話をするには、そういった情報の方が役立ちます。

質の高い情報が無料で拾えるというのは本当に有り難いことですね。


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