[貴志祐介] 雀蜂
しょっさん、また読んでるよ、貴志祐介。久方ぶりの角川ホラーだったので、ジャケ買いして床の間に飾っていました。床の間ありませんけれど。
それ以前にこの小説、2013年なので 10年前の作品じゃないか。
スズメバチが苦手な私には、ただただ恐怖でしかないホラー小説でした。ミステリーかな、と思わせておきながらの急展開は、ホラーとしての役割を果たしていたと理解しました。
終わりの終わりまで、ただのミステリーだと思わせる内容が延々と続きます。なんだろうこれは、と思いつつも理解できずに話が進んでいきます。
主人公である安斎は、過去に刺されたことのあるスズメバチの巣くう雪山の山荘に閉じこめられます。始まりは、スズメバチと雪山であることのクローズドサークルです。
ただまぁ状況としては不思議な状態です。何故、スズメバチと一緒に閉じこめたのか。何故、山荘の中に巣を作ってまで、時間をかけて殺そうと仕向けたのか。
序盤、ミステリーと思わせながら、メインはスズメバチとの戦いです。いかに安全な場所を確保するか。外に出たあとは、なぜかスズメバチを根こそぎ退治しようと、一騎当千、戦いに向かいます。どうも理解ができません。妻にはめられた、そう思うところまではあったとしても、なぜスズメバチに立ち向かうのか。
しかもこのスズメバチたちは、二段構えです。キイロスズメバチからの、オオスズメバチです。ラスボス感は半端ないです。スズメバチをみただけでも卒倒しそうな私からすると、想像するだけで死に追いやられそうです。
しかし、それにしてもよく分からない。ただただスズメバチの恐怖を味わうためだけのホラー小説なのか。
そして、安斎の予想した通り、妻たちは戻ってきます。その妻たちをオオスズメバチの巣のある地下室に閉じこめ、安堵についた頃、しんでいる蜂に刺されて意識がもうろうとするのです。ああ、なるほど、そういうことか。
と思ったら。
場はまったく逆転します。妻たちと刑事たちの会話に繋がります。そして、この自身が安斎ではなく、自分を安斎だと信じて疑わない精神異常者だったというオチに繋がります。これはさすがに予想だにしない展開です。
刑事から妻への聴取により、明らかになるその異常性と、この物語の内容。たしかにホラーです。ホラーでした。ミステリだと思ったらホラー。
分かるか、そんなこと。
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