2022.8① Weekly Music Log ~ao、秋山黄色、the chef cooks me、NewJeans、編集者「林士平」さんの話~

架空対談方式で、主にその週の新譜を中心に、音楽についてゆるく書く週刊記事。

Playlist ※毎週、最新の曲に更新されます

――今週もよろしくお願いします。

お願いいたします。

――今週はどんな感じですか?

あまり統一感はないですね。
毎週何を紹介しようかなと考えているんですけど、テーマが出来ればそれで、うまく出来なければ、できるだけ過去に紹介していないアーティストを紹介するみたいな感じで選曲している気がします。

――なるほど。となると、今回は後者ということですね。

そういうことです。

――では1曲目から行きましょう。

ao「チェンジ」です。

――16歳ということで、新鋭のシンガーソングライターと言っていいでしょうか。Spotifyの「RADAR:Early Noise 2022」にも選出されています。

自分がこのアーティストを知ったのは、「RADAR:Early Noise 2022」だったと思います。
前作の「リップル」を聴いてびっくりした記憶があります。こりゃまた凄いシンガーソングライターが出てきたなと。
以下の記事にも書いてある通り、個性がしっかり感じられるボーカリゼーションとリズムセンスがとても気に入りました。

――そんな前作を踏まえて今作は、東宝初Youtube映画の主題歌であり、Yaffleプロデュースですね。

Youtube映画がどういうものだかあまり分かっていませんが、そういうチャレンジに起用するにふさわしいアーティストですよね。
そして、Yaffleプロデュース、最高でした。

――どんなところが良かったですか?

そんなに聴き込んだわけではないので、おぼろげな記憶と印象なのですが、前作を聴いたときは個性はありつつも、メロディの運び方や音の鳴り方には、日本のポップスの雰囲気を感じていました。
なので、そういうイメージで聴き始めたのですが、この曲は入りから、歪んだギターのリフから始まって、まじかそういう感じなのかと。
そこに、aoのフロウでボーカルが乗ってくると、これは凄い。日本語詞でありながら、良い意味で、全然日本のポップスらしくなく、リズムに重点が置かれたような、この研ぎ澄まされたようなバンドサウンドは、本当にカッコ良いと思いました。

――Yaffleのアイデアなんですかね?

どうなんでしょうね。でも、aoのポテンシャルを抜群に引き出した楽曲にはなったと思います。この先もaoはばりばり活躍していくでしょうね。

――難点は、若干検索しづらいところでしょうか笑

それはありますね、自分の過去ツイートを遡るのも難儀でした笑

――では次の曲に行きましょう。次は何でしょうか?

秋山黄色「ソーイングボックス」です。

――こちらは男性のシンガーソングライターですね。

ここで紹介するのは初めてなようです。好きなんですよね。秋山黄色。
根本は邦ロックの部類だと思うんですが、既存の邦ロックの枠には収まらないようなアレンジに仕上げてくるので、邦ロックにもまだまだ可能性があるよなぁとこのアーティストを聴く度に思います。
これを書く上で調べて知りましたが、TVアニメ「けいおん!」に影響されベースを始めたんですね、なんか良いです。

――原体験が、いわゆる王道の音楽とは違った切り口なところも音楽性に影響しているんですかね。

もしかしたら、あるかもですね。この自由さは面白いです。

――この曲はどうだったでしょうか?

ヴァース部分などは、らしいなと思って聴いていました。それだけでも良かったのですが、驚いたのはフック。こう持ってくるとは思いもよらず。
遊び心ある軽快な展開から一転、壮大に音を鳴らす。カッコいいですね。

――確かにフックは雰囲気がガラッと変わります。

ビートもガラッと変わりますからね。こういう持って行き方もあるのかーと思いました。
このアーティストもアイデアが尽きず、次から次へと面白い曲を出してくれるので、これからも楽しみです。

――続いての曲は何でしょうか?

the chef cooks me「ARROW」です。

――2003年に結成されたベテランバンドですね。なかなかに紆余曲折あったキャリアで、現在は、シモリョー1人となっているようです。

メンバー周りは色々あるようで、良く分かっていないのですが、とにかくグッドミュージックを一貫してやっているバンドであることは間違いないと思っています。

――今作は、【「人の心をポジティブに射抜いてエンパワーメント出来るようなポップソングを!」という思いが込められた、さわやかなナンバー】とあります。

もうこのバンドと言えば、というような楽曲になっていると思います。
このブラスの使い方は、真打ち登場という気がします。ここまでブラスがしっくりくるバンドって、そう多くないと思っています。
本人のコメントの通り「真正面からハートを射抜」く曲になっていると思います。自分は射抜かれました。そういう強度がある楽曲です。

――こういうベテランバンドもしっかりフックアップされると嬉しいですよね。

そう思います。久しぶりに名前を見て、変わらず良い音楽やっていて、とても嬉しかったです。

――では、今週の最後の曲をお願いいたします。

NewJeans「Attention」です。

――なんだか、相当なムーブメントになっているようですね。

そうなんですよね、ただ自分はあまり追えていない。。。最初に気付いたのは、宇野惟正さんのこのツイートでした。

その後の動きについては、とりあえず、以下の記事に、チャート面での記録が色々書かれています。少なくとも、最近デビューしたガールグループの中ではトップの記録を出したようですし、アジア以外も含んだ地域でも人気となっているようです。

――とりあえず凄そうということは分かりますが、どんなグループでしょうか?

すみません、正直ちゃんと調べられていないのですが、以下の記事に基本情報はまとまっているようでした。
特殊なUIで結構読みづらいのですが、グループ名には「人々が日々愛用し、いつ着ても飽きないジーンズのように、時代のアイコンになる」という抱負が込められているということで、Y2Kのような雰囲気とその時代のR&Bを彷彿とさせるサウンドで勝負してきたというのは、なるほどなぁと思っているところです。

――最先端の音楽っていう感じではないですよね。

そうですね、意識しているんでしょうね。そこでは勝負しないと。
そして、そのスタンスが完全にリスナーを虜にしているということなのだと思います。
確かなクオリティですし、2022年の流れ的にも、今求められているのはこういうある種の"ゆとり"がある音楽なのかもしれません。

――流石、HYBEというところでしょうか。

そうなんですかね。この間適当にテレビ見ていたら、HYBEって日本でもオーディション番組やっているんですね
随分と凝った仕組みしていましたし、仕掛け方がやっぱり上手いんだなと思いました。

――ここから先にどういう仕掛けをしていくのかも楽しみですね。

そうですね。そのうちもう少しまとまった記事も出るでしょうから、チェックしたいと思います。

――それでは、最後におまけをお願いします。

今回は音楽から少し離れて漫画の話をしようと思います。

――ほー、珍しいですね。漫画読むんですか?

そんなに読む方でもないと思いますが、週刊少年ジャンプは毎週読んでいるのと、ジャンプ+の話題作は追っかけているぐらいです。

――漫画もめちゃくちゃ色々ありますからね。

そうですね、でもコンテンツという括り方をすると、やはり音楽とも似通っている部分も多くて面白いなと思うことも多いです。

――それで漫画の何の話ですか?

最近たまたまその話を友人としたのと、以下の記事を読んだというのもあり、編集者の「林士平」さんに関する話をしようかと思います。

――林士平さん、最近色々な所で名前を見ますよね。

自分が知ったのは、チェンソーマンの担当編集者というところからでしたが、そこから最近流行っているジャンプ+の漫画、大体この人が担当なんじゃないか?ってぐらいで、ヒット作を担当している気がします。

――Wikipediaを見てみると、担当作品リスト凄いですね。

以下となっています。全部は全然読めてないですが、チェンソーマン・SPY×FAMILYってだけで今のメインストリームの端と端をやっている気がしますし、上の記事の「宇宙の卵」もこの方でした。かなり面白かったです。

『チェンソーマン』・『SPY×FAMILY』・『HEART GEAR』・『ダンダダン』・『神のまにまに』・『全部ぶっ壊す』・『彼岸此岸のものどもよ』・『アンテン様の腹の中』・『宇宙の卵』担当中。

過去立ち上げ作品は『青の祓魔師』・『この音とまれ!』・『ファイアパンチ』・『怪物事変』・『左ききのエレン』・『地獄楽』・『カッコカワイイ宣言!』・『ルックバック』[13]・『貧乏神が!』[14]・『ドリキャン!!』・『ムーンランド』・『彼女と彼』[15]・『いいよね!米澤先生』・『BLACK TORCH』・『終極エンゲージ』[3]。

過去担当作品は『ブルードラゴンST』[16]・『特異体質系女子の話』・『TISTA』・『月華美刃』・『終末のハーレム』・『冒険王ビィト』・『Mr.Clice』[17]・『ワンダーラビットガール』[18]・『ギャグマンガ日和』[19]・『FANTASMA』[20]。

――いわゆる編集者からはちょっと外れた仕事もされているようですね。

そうですね。漫画ネーム作成サービスの「World Maker」を作って、テック系の媒体でも多く取り上げられていた記憶があります。
視点が面白いし、これだけの担当を持ちながら、自分でアイデアをサービスインまで持って行くって、色々と凄いなこの方と思います。

――そこで、あえて林士平さんを今回取り上げたのは何故でしょうか?

改めていくつかの記事を読んだ程度なので、大分浅い理解かもしれませんが、とにかくこの方がやっていることって、世の流れに流されずに、本質的なことを愚直にやって、最高の成果を出すってことなんじゃないかと思っています。それがめちゃくちゃ良いなと思ったので、まとめてみたいと思った次第です。

――なるほど。具体的にいいますと?

大きく三つあります。
一つ目は、圧倒的なインプットを推奨するし、自分自身も圧倒的にインプットをしていること。
ローリングストーンでチェンソーマン特集が過去に行われていて、そこに林士平さんのインタビューが載っています。
是非読んでみてほしいのですが、そこで積読の量は1000冊は越えると言っていますし、それでいて、漫画はもちろん、映画も色々インプットしていると。さらには音楽も大量に聴くらしく、Spotifyの「Early Noise」はチェックしているみたいです。
この方には、1日48時間ぐらいあるんですかね。。。ご家庭もあるようでして、一体どういう日々を送られているのか聴いてみたいです。

――凄まじいインプット量ですね。。。「Early Noise」チェックするだけでも、結構大変だと思います。

事実自分はチェック出来てないですからね。。。
インプットに関しては、色んなところで発言されていますが、例えば以下でもインプットの重要性を語っていました。

林さんも番組内で「インプットする日々に当たり前を置いてほしい」と発言されていましたが、連載作家にとってインプットはやはり重要ですね。

林:若い作家さんや新人の方には同じことを言うようにしています。(成功している)作家は、大抵インプットを膨大にされていますし、ほとんど何も観ていないと言っている作家さんも、そう言っているだけで実際にはたくさん観ているんですよ。

――インプットはやはり重要なのですね。

最近多少の揺り戻しがあるような気がしますが、ここ数年はアウトプット礼賛の流れが強かったと個人的には捉えています。とりあえずアウトプットしようとすれば、インプットも付いてくると。
それ自体は間違いではないと思いますが、こうやってとにかく大量にインプットをして、そこからアウトプットを出していくというやり方ももちろんあると。こちらのほうが地味で大変だし、時間もかかると思いますが、本質的だと自分は思っています。だからこそ、自分もインプットをかなり大事にしていますし。
アウトプットとかアイデアって、結局既存の"何か"と"何か"を組み合わせているだけだと思うので、まずその"何か"が自分の中になければいけないと思えば、インプットは大事って考え方になりますよね。

――なるほど。ちなみに二つ目はなんでしょうか?

長い時間をかけるということです。
ローリングストーンのインタビューにあったのですが、林士平さんは付き合いの長い作家さんが多いそうです。
「チェンソーマン」の藤本タツキも10年レベルだそうですし、「ダンダダン」の龍さんも10年弱、「SPY×FAMILY」の遠藤さんは10年強だそうです。
インスタントなやり取りやコンテンツが求められがちな中で、こうやって長く関係性を築いて、結果として大ヒット作品を世に送り出すというのが、とても良いなと思いました。やはり最近の流れだと短い期間での結果を求められるきらいもありそうですので。

――社会としては、これがあるべき姿ですよね。

そう思います。こうやって長く付き合うことを想定しているからこそ、インプットについての話もたくさんできて、作品に対する考え方やスタンスというのがすり合わされていくのだろうとも思います。

――そうですね。最後の三つ目は何でしょうか?

以下の記事のタイトルが「バズはMP、HPは増えない」でして、感覚的に分かるかと思いますが、バズに対してしっかりと距離を取っているところですね。

――二つ目とも通ずるような話ですね。

そうですね。有料記事なのですが、言っていることは至極真っ当です。目次にもありますが、「“バズ”は副次的要素。作品の生存条件にはならない」と。
バズらないから売れないわけではないし、バズることは目的ではなく、ちゃんと純粋な作品の面白さを重視しているとおっしゃっています。

――かくあるべしというお話だと思います。

本当にそう思います。きっと多くの方はそう思いつつも、結果が出ずに「悪魔に魂を売る」行動に出てしまうのかもしれませんが、林士平さんはこのやり方で圧倒的に結果を出してますからね。もうぐうの音も出ません。
やはり、まずはこのスタンスを諦めずに、やっていくことが重要なのだと思いました。

――諸々の考え方がすべて繋がっているなと感じました。

そういうところが、結果に結びついているんでしょうね。
この方のお話は、漫画に限らずコンテンツ全般に言える話だろうと思い、取り上げてみました。
今後も林士平さんには注目していこうと思います。

――今週はこんなところですかね。

はい、そうですね。今週もお読みいただき、ありがとうございました。

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