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読書ログ 『「簡潔さ」は最強の戦略である』

どんな本?

 著者はアメリカの「アクシオス」というメディアの創業者。「簡潔さ」を武器にした記事で急拡大中。本書では彼らがビジネスで培った簡潔な作文技術 "Smart Simple" が学べる。

 著者の技術を総動員して執筆された本だけあって、他の多くの本が冗長に感じてしまうほど読みやすい。文章執筆時の実践例としても大いに参考になった。この技術を意識して作文するだけで、周りに大きな差をつけられると感じる。

重要なメッセージは?

  • 集中阻害要因が多い現代では、ほとんどの読み手は2~3行で読む気を失う
    (人が1つの記事や情報に費やす時間は平均26秒しかない

  • なのに、世の中のほとんどの情報は冗長なので最後まで読まれない

  • 本書のSmart Simpleの技術を身につけるだけで、影響力ある存在になれる。主な要素は以下の通り

    • まずは聞き手をイメージする。「どんな人たちか」「何を必要としているか」「何を望んでいるか」

    • 「絶対に伝えたいこと1つ」を1文で、「なぜそれがあなたにとって重要か」を1~2文で、冒頭に伝えて要点を明確にする。要点は相手に選ばせず自分で選ぶ。

    • 文章の頭に「アクシオム(基本要素)」を見出しにつけ、読み手の思考をわかりやすい文脈に落とし込む

    • 文章は人間らしく書く。文章は自然と、冗長で婉曲的で文章的でわかりにくいものになってしまう

  • 大事なスタンスは「簡潔さは自信、長さは恐怖心」、「短く、しかし浅くはしない」、「伝えたいことだけを伝える」「話すように書く」

  • 有意義な活動に集中し、他者と自分自身の時間を節約するイメージを持つ

なぜそれが重要か?

  • 威厳と影響力を持って情報を伝えることができるようになるから

  • スマートさと簡潔さを極めれば、他者の時間を尊重する人物として、有意義な発言をする人物として、一目置かれるようになるから

  • 物事をスマートに、短く表現できれば、思考を研ぎ澄まし、時間を節約し、雑音を跳ね除けることができるから

この本が提唱する武器

Smart Simpleの4つの原則

①「タイトル」で心をつかむ
②「リード文」で一番大事なことを伝える
③「なぜそれが重要か?」で文脈を示す
④「さらに知る」で詳細を伝える
→相手が望む以上のことを読ませない。さらに知りたいかどうかの判断は相手に委ねること。

印象的なプレゼンをするために

「このスピーチで皆さんが1つだけ覚えておくべきことがあるとすれば…」
これはとくに重要なことや、相手に覚えて帰ってもらいたいことを確実に知らせる素晴らしい方法である。
(中略)
要点は相手に選ばせるのではなく、あなたが選ぶのだ。

使えるアクシオムの基本形

・なぜそれが重要か?
・全体像
・背景
・ここまでの流れ
・注目のトピック
・詳細
・数字で見る
・人々の反応
・対極的な影響
・今後

この中でも「なぜそれが重要か」は最も強力。重要な理由は1~2文で書く。理由の型としては以下のようなものがある。
「何が変わるのか?」「何の兆候か?」「大局的にに見るとどうか?」

良いスピーチの仕組み

現状を示す
・その現状を、理想状態と対比する
現状と理想のあいだを行き来する
行動を呼びかける
・話者の考えを受け入れた場合に実現する理想郷を鮮明に描写して締める

Smart Simpleであるための指針

権威であれ →あなたは「信頼できる情報源」でなくてはならない
シンプルに →忙しい読み手の時間の尊重に徹する
人間らしく →親しみやすく、会話をするように書く
明快に   →クリアで歯切れの良い文章

もっと知る(感想・印象に残った部分)

マイクはどんなときでも役立つ秘訣を教えた。データの作成者に、「その情報に含まれる一番興味深いものは何か」と尋ねるように。

 アナリストをやっていると、「1スライド1メッセージ」「聞き手に分析させるようなスライドを作るな」とよく言われるので共感。これができないということは、自分自身が「何を一番伝えたいのか」「自分のプレゼンにおいて聴衆が最も知りたい結論はどこか」がわかっていない証拠。たくさんの情報を散りばめるのは、「伝える」という作業を放棄していることになる。

伝えたいことを理解してもらういちばんの近道は、「伝えたいことだけ」を伝えること。そこでやめる。
(中略)
本を書くにあたっても、「そこでやめ!」という思い切りが必要だ。ところが、誰もがこの点でつまづく。言葉を山ほど重ね、肝心なことを埋もれさせてしまう。あるいは伝えたいことをずばりと言わず、相手に推測させようとする。読者には、カッコつけるより親切であれ。

 もう永遠に唱え続けていたい教訓。経験上、伝えられていない時って大体この3パターン。

①そもそも伝えたいことがCrystal clearになっていない
②色んな話をしすぎて伝えたいことがぼやける
③必要以上にビビって婉曲した結果伝わらない

①は伝える前に必ず自問自答する。②はこの教訓を永遠に唱えることで打破。伝えたいこと以外伝えない。そして③。これは性格上避けられないが・・・率直になる度胸が必要!積極的に婉曲しない経験を積んで、「婉曲しなくても相手は怒らないんだ」と実感する経験を深める。できないときでもせめて、婉曲表現すらシンプルにする意識で。

人間に向けて「人間らしく」書く

シンプルにわかりやすく。
単刀直入に。
語りかけるつもりで。
もったいぶった言葉は使わない。
「相手がすでに知っていること」は話さない。
「わかりきったこと」は説明しない。

「格調高く書いた方がいい文章に見える」「率直に・断定的に言い過ぎるのは悪」みたいな考えが本当に最悪なんだと思う。だから長くなるし、曖昧になるし、読む気も失せていく。特に大企業に多い。これからの自分のActionで、そういう空気をぶっ壊していこう。

要点を1つか2つ知りたいだけなのに、序文やプレゼン、概要を読まないといけないのはなぜか?

 そう、読者はただ要点を知りたいだけなんだ。

「すべての第1文が守るべきルール」を心得ているのだ。その秘訣は「俺の知らないことを教えてくれ」だ。

この人これ知らないだろうな→この人にとってこれ重要だから知りたがるだろうな→まずそれを伝えよう→詳細はそのあと伝えよう みたいな流れにできると理想

『ハーバード・ビジネス・レビュー』は、マッキンゼーのあるパートナーが、新規採用者にこんな鉄則を教えていると述べている
ー資料として用意したスライドが20枚あるなら、使うのは2枚にすること。

 昔仕事ができる先輩に、「メモはA4 1枚までで。細かい情報はすべてAppendix(別紙)にして」と言われたのを思い出した。突き詰めれば、言いたいことは1つか2つしかない。説得の必要があるなら初めて、他のスライドを出せばいい。プレゼンで聴衆が覚えていることなんて、2〜3個くらいしかない、とはよく言ったものである

Next steps

以下の点を特に意識する。

  • 要点は相手が選ぶのではなく、自分で選ぶ

  • 伝えたいことだけを、人間らしい言葉で伝える

  • 婉曲しない度胸!率直に話す度胸!

普段からこんな話し方を実践してみる。

  • 言いたいことはこれ

  • なぜそれが重要かというと、こうだからだ

  • 全体像はこういうことだ

  • だから結論がこうなるんだ

  • Next stepとして、こういう行動を取ろう

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