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読書ログ 『あの~~~、1円でも多くお金を残すにはどうしたらいいですか?』


どんな本?

元国税調査官の著者が、よく言われるものの実は理解できていないような税の疑問に形式で答えていく本。ラフな会話を通じて自分の生活に関係の深い税制の基本を理解できる内容になっている。

平易な言葉での説明に加え、質問者のキャラクターも工夫されており、とっつきにくい内容を楽しみながら学ぶことができる。QAの内容も痒い所に手が届く内容になっており、自分のような税金のことをほとんど理解していない人にとっての入門書としておすすめ。

自分は大学生の時に友達が「扶養を外れてしまうからこれ以上バイトできない」と言っている理由がわからず、それどころか今もよくわかっていないレベルだったのだが、この本のおかげで完璧に理解することができた。この本で基礎固めできたおかげでお金のことを考えるのが少し楽しくなったし、今まで諦めていた難しめの本も読んでみようかと思えた。

筆者はこの手の相談を多く受けているからか、知識のない読者がつまづくポイントをしっかり先回りして教えてくれるので、読後にほぼモヤモヤが残らなかった。過去読んだマネー本の中でもかなりおすすめの部類に入る。

おすすめ度

★★★★☆(わかりやすいし、読んでいて飽きない)

こんな人におすすめ

  • 30代に突入した人

  • お金のことよくわかってないな〜と思ってる人

  • ライフイベント(結婚や出産)が起きた人

所得の壁

「所得の壁」は「税金」と「社会保険」の2側面で考える。所得税節税のためには、「子や配偶者の収入を、本人に所得税が発生しない水準に抑える」「子や配偶者の収入を、世帯主の所得税控除が適用される(≒扶養を外れない)水準に抑える」「子や配偶者の収入を、世帯主の社会保険に入れる(≒扶養を外れない)水準に抑える」が主な論点
以下はよくある「壁」の例。

  • 税金

    • 「年収103万円の壁」

      • 本人に所得税がかかり始める壁。基礎控除48万円と給与所得控除55万円を足すと103万円になるので、ここまでは税金がかからない。ただし、学生であれば「勤労学生控除」が27万円認められているため壁は130万円になる。

      • 家族が世帯主の「扶養控除」から外れる壁。家族の年収が103万円を超えるとその人は扶養から外れるため、扶養控除が適用されなくなる。扶養控除は、16歳以上19歳未満の子供(一般の扶養親族)は一人当たり38万円、19歳以上23歳未満の子供(特定扶養親族)は一人当たり63万円が所得から控除される。※ちなみにこの金額は手取りではなく額面

      • したがって、学生の子供は収入130万円までは自信に所得税がかからないものの、103万円を超えると親の税金が高くなってトータルで損をするので、103万円以内に収める方が得

    • 「年収150万円の壁」

      • 配偶者控除が38万円から減額され始める壁。扶養控除とは異なり、配偶者は年収150万円までは控除額が38万円のままなので(配偶者控除+配偶者特別控除)、控除額の観点で見れば、配偶者は年収150万円を目安にアルバイトやパートをするとよい
        ※103万円を超えると本人への所得税は発生する点に注意(ただし小額なので気にしなくてもOK)
        ※一方社会保険で別の壁が存在するため、150万円まで稼いでいいと一概には言えない

  • 社会保険

    • 「年収130万円の壁」

      • 世帯主の社会保険の扶養を外れる壁。扶養家族を外れるとその人は社会保険料を自己負担しなければならなくなり、年間保険料として約18万円程度支出が増えることになってしまう

    • 「年収106万円の壁」

      • 従業員101人以上(2024年10月以降は51人以上)の会社で、アルバイトでも社会保険への加入が必要になってしまう壁。週の所定労働時間20時間以上、月給8.8万円(≒年106万円)等一定の条件を満たしたアルバイト・パートは、勤務先が社会保険に加入させる義務を持つため、裏を返せば世帯主の社会保険から外れなければならなくなる

      • したがって、配偶者は配偶者控除があるとはいえ、社会保険を考えると130万円、パート先の規模が大きければ106万円を壁ととらえて年収をコントロールする必要がある

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