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老健でのSTの動き方

いつも私の情報発信を見て下さる皆様、

ツイートを見て頂く度に大変励みになっています。

この場をお借りしてとても感謝しています。いつもどうもありがとうございます。

twitterでSTの事、評価、臨床の進め方や、嚥下障害、老健の事を中心に情報発信を行っています。私で良いのだろうか・・回答へ答えになっているだろうか・・不安になるのですがDMでのお問い合わせ頂きどうもありがとうございます。とても有難い事に学生さんからベテラン勢、多職種の方といった幅広い層からDMでご質問、ご相談を受けるようになりました。本当にどうもありがとうございます。

特にその中で「病院と介入の仕方が異なり、老健でのSTの働き方に悩みます・・」といった声を聞くようになりました。

私も未だ模索途中です。

以前よりは老健に興味を示して下さる学生さんやSTさんが徐々にみられるようになった印象を持ちます。しかし、養成校の座学や実習で老健に関して教わる機会が少なく、漠然としたイメージにつながってしまっているのでは・・と思いました。

老健で働いてみたいけどどうなんだろう・・不安だな・・老健には興味ある。病院みたいに単位史上主義なの?ノルマはあるの?  生活期って携わった事ないけどリハビリはしてるの?様々な思いを抱えている方の少しでもヒントになればと思い、noteに纏める事にしました。

それでは本題に入りますが、

(1)老健でSTに求められる事

STへ嚥下の需要が高く、嚥下のコーディネーター的役割を求められます。主に食事形態の管理や評価をし、ST的な視点のアドバイスが多職種から日々の現場でお願いされる事もしばしばです。

きっと回復期や急性期のSTさんが見たら「え?!」と驚かれる方もいると思います。ガッカリされる方もいるかもしれません。老健では年々ADLの重症化に伴い、特養化している老健が増えています。病院のように必ずしも機能回復する方ばかりではなく、緩やかな機能回復から機能維持になる方が多くいらっしゃいます。状態によって発症から日が浅く、回復期段階の方や若年層も増えており、芳しい機能回復する方も中にはいます。

病院だとSTが中心に動く事が多かったのですが、嚥下機能だけで判断が難しく、1人で抱え込んでしまう案件も多くあります(これは私がそうでした・・)。どうせ誰も考えてくれないし・・STの事なんか理解してくれるわけと・・引っ込み思案や受け入れにくい方もいると思います。何が正解なの?STの癖に判断出来ないって恥ずかしい、信頼して貰えないんじゃ・・という声はとても分かります。ですが心の中にしまったままでは何も進みません。嚥下を理解して頂く為にもST的な視点を持ちながらも、多職種の視点も聞いた上で総合的な視点で捉え、チームでアプローチする姿勢が大事になります。時には辛辣な言葉を投げかけられる事もありましたが、多職種と一緒に考える事で狭まった視野が広くなり、肩の力が抜けました。(嚥下訓練に関してはリハビリの介入の仕方でお話します。)

(2)リハビリの介入の仕方

老健でSTはどう介入したら良いか悩まれる方が多いのではないでしょうか。

基本はPTOTが担当しているけど・・STが入れる人っているの?STはどのタイミングで介入の相談したらいいの?

入職されてからSTにどんな人を積極的に入って欲しいとお願いされる場所もあるのですが、STが元々居る所が少ないのが現状です。お願いされた場合はお願いされた方々を中心に、徐々に開拓していく事が理想的です。

何も振られなかった・・さてどうしよう・・という方へ

介入の仕方の一つとしてご紹介していきます。

施設に必ず医師はいるのですが、残念ながら病院のように医師の指示がある所ばかりではありません。今回はリハビリ科内にどう話を持ち掛けたら良いかという点でお話します。


入居前の段階で相談員さんからご家族からSTの介入を受けたいと強い希望が聞かれたと相談を受ける事があります。また、入居時のご家族様との契約、初期評価時に担当PTOTさんからSTの介入を相談される場合もあります。私の所はないな・・という方も相談員さんにST希望の方がいたらSTへ情報を流して頂ける嬉しいですと自分で発信してみても良いと思います。通所も併設されている施設でしたら通所のスタッフさんにも発信してみるのも一つです。

短期集中リハビリテーション加算の方の中にご家族またはご本人から急性期や回復期でSTが介入していて老健でも直接嚥下訓練を希望、言語療法を継続して欲しいとお願いされる事があります。


短期集中リハビリテーション加算とは入所または退院、退所間もない者に対し、早急かつ集中的な介入の促進を目的として、ADLの維持や向上のためのリハビリテーションを実施します。3カ月間加算を取る事が出来ます。

その施設のタイプや状況によって短期集中リハビリテーションの介入の仕方が異なります。私が勤務する在宅復帰に力を注いでる施設ですと最大で週6日介入する事が出来ます。施設によっては回転率を上げる為に単位を求められる場所もあります。短期集中リハビリテーション加算を取れる方はほぼ全員週6回ノルマとしてお願いされる事もあります。

単位のノルマですが特に設けられていません。施設のタイプや方向性によっては単位至上主義になってしまう所があります。


1単位20分ですが、加算算定中に担当PTOTと一緒にSTも介入する事で機能回復が望めるケースもあります。個人的には廃用性症候群や脳血管疾患の方に多い印象です。(1)の時にも書きましたが、病院の回転率が速く、発症後して間もない段階で退院になられる方もいます(コロナ禍というのもありますが、回復期病院に入院して1~2か月ですぐに老健に退所されるケースもありました)。

回復期段階の方もいらっしゃるので加してし算定中に劇的な回復をされる方もおり、準回復期なのでは・・と錯覚してしまう時があります。

病院から退院される方の中に典型的な高次脳機能障害、失語症や運動障害性構音障害、嚥下障害のケースを見掛けます。日々の変化が早いので大変勉強になります。

施設でも直接嚥下訓練を継続して欲しいとご家族からの希望を受けます。誤嚥リスク承知の上でお楽しみレベルから1~2食経口摂取で介入する事があります。施設によっては嚥下訓練に関して積極的ではない場所もあり、安全下で着地してしまう方もいます。理由としては常に医療処置が難しい点を指摘される為、冷戦や長期戦になるケースもあります。上手い根回しが必要です。


もし担当PTOTさんや相談員さんから相談が無かったとしても入居時の食事評価のタイミングと同時にSTの介入出来そうな方を探します。食事評価のタイミングで「本当は介入した方が・・良いのでは・・」というケースに遭遇します。担当PTOTさんと相談をし、方向性によっては介入はせず、嚥下だけ確認をお願い出来たらと言われる事もあります。。状態が変わり、「今更で申し訳ありませんが・・一緒に介入をお願い出来ませんか?」と相談される場合もありました。めげずに種を撒く事が大事です。また、元々入居されている方に中にも明らかにSTが介入した方が望ましいケースもありましたので、躊躇う事無く担当PTOTさんへ相談を持ち掛けています。

短期集中リハビリテーション加算終了後のSTの継続を担当PTOTやご本人とご相談をします。ある程度目標を達成し、言語療法を終了にし、その後は運動療法のみにさせて頂いています。終了後も緩やかな変化が望める場合や加算算定後に活動量の低下に伴い、全身状態の機能低下が懸念される場合、進行性疾患に関しては継続して介入を行っています。

ここで問題なのが、加算終了後にリハビリの回数が少なくなってしまう事でSTの週1回の介入だけでは訓練効果が得られにくい点です。

ご本人の協力が得られ、適度に自主トレーニングをされている方は機能的に維持されやすい印象です。自主トレーニングはしていなくても普段から起きておられ、体を動かす機会がある方も限られた回数でも訓練効果も十分に得られると感じています。

少しでもリハビリ効果を得る為にフロアの方にもご協力頂きながら自主課題を導入しています。自分のペースで過ごされたい方や意欲が乏しい方もいる為全員には出来ませんが、出来る方を中心に行っています。また、施設のクラブ活動があり、少しでも活動時間を確保する為に、月に数回参加頂いています。

短期集中リハビリテーション加算算定から終了後の事をお話させて頂きました。さて、ここからは入居後から個別リハビリテーションとして週2~3回(老健のタイプによっても異なります)介入される場合のSTの介入の事をお話します。

ある程度維持出来る方もいるのですが・・ご家族側の事情や退去先が決まらない・・申し込みをした施設の待機待ちで長期入居化する利用者さんもいらっしゃいます。施設に長期入居される方の中に前半の方にもお話しましたが・・看取りレベルなのでは・・と思うような方も年々増えています。

週1回の介入だけで訓練効果を持続しにくく、もはやサービスになっているのでは不安に思うと思います。果たして介入する意味はあるのかと疑問を持たれるかもしれません。どうしてもこういった方の中にご家族に状況を説明していても状態が芳しくないから病院を打診して病院受診へすぐには行けないない事があります。また、いつもの事と捉えられ、状態の異変に気付いて頂けない事があります。

少しでもチーム全体で状態の変化を察知し、対策を共有する為にも、関わる事でSTとして出来る事はあります。機能回復だけがリハビリではなく、機能を維持する為に必要な事をサポートする事も私達の仕事です。

小さな変化ですが、機能面に捕われないその人の変化はあります。

嚥下障害のある方の中にみられる傾向があります。その人の状態に合った適切な訓練を選べていても、栄養状態が整っていないと中々訓練効果に繋がらない場合があります。

嚥下機能に視点が向きやすく、嚥下機能への訓練になりやすいのですが栄養からのアプローチにも意識を向けていく事も大事です。

口からの栄養によって嚥下機能の改善が見られる事があります。積極的に訓練を実施するのではく、その方の負担を極力減らして介入する事もあります。

STの必要性がある方をピックアップしていても、1人でST業務をこなしてもまだ余裕がある方もいると思います。

必要性のある方が多い場所もあり、適切な量をこなして頂きたいので無理には推奨しません。余裕がある方限定ですが、ADLが自立の方の中にSTでも出来る運動療法を行える方がいます。PTOTさんと相談し、PTOTさんの監修の元でですが、独歩、杖、歩行器の方を中心にSTが担当となり、出来る範囲の中で行わせて頂いています。主に、歩行練習、下肢ストレッチ、筋力トレーニング、パワリハ、棒体操、アクティビティ等行っています。私は出来ませんが可動域訓練や平行棒を使用した訓練をされるSTさんもいるようです。今はコロナウイルス感染対策として行っていませんが集団体操の時を行っている時はSTも積極的に介入していました。

(3)経口維持加算

経口維持加算とは、入所者が認知機能や摂食、嚥下機能の低下により、食事の経口摂食が困難となった場合でも、口で食べる楽しみを得られるように、多職種共同での支援の充実と促進を図ることを目的としている加算です。
この経口維持加算には、二種類存在します。

多職種が共同して入所者の食事を観察したり、会議を行ったりする等して、経口による継続的な摂食を行えるように経口維持計画を作成し、実施した場合に加算される「経口維持加算(Ⅰ)」。


施設が協力歯科医療機関を定めた上で、会議や食事の観察に、医師や歯科医師、歯科衛生士、言語聴覚士の内からいずれか1名以上が加わった場合に追加で加算できる「経口維持加算(Ⅱ)」

算定要件を満たしているかの確認が必要ですが、要件を満たしている場合加算を取る事が出来ます。STの業務を慣れてからで良いかと思いますが数人から始めていっても良いと思います。


大きく3つに分けてお話させて頂きました。

現在報酬改正案も出ている為、今後の流れと共に変化していくと思います。あくまでも参考程度にして頂きながら、臨床のヒントになれば嬉しいです。

ここまで読んで頂きどうもありがとうございました。

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