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スポーツツーリズム×複業:土佐町での経営企画職ビジネスマンの新たな挑戦

フルタイムの会社員として過ごしながらも、私にはずっと温め続けていた想いがありました。それは、スポーツと旅行を掛け合わせた新しい形の観光、『スポーツツーリズム』に関わること。しかし、忙しい日常の中で、なかなか実現には日々が過ぎていました。
ところが、ある幸運な出会いをきっかけに、その想いが現実のものとなり、『複業』という形でこの刺激的な領域に飛び込むことができました。
この記事では、私が実際に体験している『複業』の楽しさと、その魅力に気づいた瞬間を皆さんと共有したいと思います。もし、あなたも新しい挑戦に興味があるなら、ぜひ一歩踏み出すきっかけにしていただければ幸いです。


1. スポーツコミッションとは

スポーツコミッションとは、スポーツを通じて地域を活性化するための組織です。簡単に言うと、「スポーツを使ったまちづくり」の推進役です。

地域の自治体や企業、大学などが連携して、地域に根ざしたスポーツイベントの開催や、スポーツを軸とした観光(スポーツツーリズム)の推進、さらには地域住民の健康増進を目指します。これらの取り組みによって、地域の経済を活性化し、新たな魅力を創り出すことを目的としています。

現在、日本国内には約200の地域スポーツコミッションが設立されており、それぞれが地域の特性を活かした活動を展開しています。

(出典)スポーツ庁
(出典)スポーツ庁

2. 自己紹介

少し自己紹介をしておきます。

はじめまして。1974年生まれ、神奈川県茅ケ崎市在住の50歳です。
現在は、人財業界で約20年の経験を積み、スイス本社のThe Adecco Groupで国内のChief Strategy Officerとして、経営戦略を担当しています。

学生時代から大切にしている価値観は「応援し合う」ということ。若い頃から「教育」と「スポーツ」を心の中心に置き続け、これが現在の仕事や活動に大きな影響を与えています。
2017年にウィンブルドンで現地テント泊で当日券を手に入れ、フェデラーをセンターコートで観戦するという、個人的には転換点となる体験をしたことにより、

2017年7月7日 ウインブルドン準々決勝センターコートにて

「日本に、日本人に、テニスの観戦文化を!そのためには、旅行のように気軽にテニス観戦を!」

というテニスツーリズムの創出への個人的な活動を2018年からスタートしました。(ここの具体的な説明は今回は割愛します)

3. 複業開始への背景ときっかけ

テニスツーリズムはまだ世の中にほとんど存在しない分野です。最初は、スポーツビジネスの勉強をオンラインサロンで行い、スポーツビジネス産業展に参加してアイデアを練ることから始めました。

しかし、より深く「ツーリズム」を理解するために、2023年4月に「日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)」に個人賛助会員として入会しました。
JSTAの総会やイベントに参加し、ネットワークを広げていく中で、各地の地域スポーツコミッションについても独自に調べ始めました。興味を持ったスポーツコミッションには、直接連絡を取って話を聞くことも多く、時には「ボランティアでいいから関わりたい」とお願いしたこともあります笑。

そのような活動の中で、高知県の「土佐町スポーツコミッション(土佐町SC)」の採用情報に偶然出会ったのです。この土佐町SCは、民間出身の事務局長が推進している組織であり、スポーツ庁の資料を通じてその存在は知っていましたが、その時の柔軟な採用手法を見たときには非常に驚かされました。

特に、「リモート可」「パートタイム可」という先進的な採用方式は、フルタイムで働いている私にとって、複業として参画しやすい環境でした。さらに、「プロジェクト統括」という役割は、経営企画が専門の私のスキルを活かせるものであり、非常に魅力的に感じました。

こうして、2024年1月から「複業」として「スポーツコミッション」の仕事をスタートさせることが決まりました。この過程での出会いや経験が、私の新たな挑戦への扉を開く大きなきっかけとなりました。

4. 土佐町スポーツコミッションについて

土佐町は、高知県北部の山間部に位置し、「四国のまんなか」です。(この仕事に関わるまで、位置すら知りませんでした…)
そして、西日本一の貯水量を誇る「四国の水がめ」早明浦ダムを擁する自然豊かな小さな町です。人口は約3,600人と少ないながらも、吉野川の源流域に位置する美しい風景と豊かな自然資源に恵まれています

近年では、毎年多くの移住者がこの町に新しい生活を求め、地域に新たな活気をもたらしています。令和2年度にはSDGs未来都市に選定され、「誰一人取り残さない持続可能な土佐町づくり」を掲げて取り組みを進めています。

このような土佐町で、2021年4月に設立されたのが、土佐町スポーツコミッションです。この組織は、土佐町の豊かな自然環境、特にさめうら湖を活用したスポーツやアウトドアアクティビティを推進し、地域の活性化を目指しています。スポーツコミッションは、カヌーやSUPを中心とした湖面アクティビティの提供や、キャンプ施設の運営、さらには地域住民が気軽に参加できるコミュニティスポーツの振興を行っていました。

そのような背景の中、私はプロジェクト統括として、2023年度にスポーツ庁に「スポまち!長官賞2023」として表彰された「スポーツ・健康まちづくり推進プロジェクト」において包括的な事業展開を推進するミッションに着任しました。

5. とにかく未知の領域が楽しい

複業を始めてから半年が経ちましたが、私が感じている最大の魅力は、「未知の領域に足を踏み入れる楽しさ」です。
「スポーツ」「旅行(ツーリズム)」、そして「コミュニティ」という軸は、まさに私がやりたいことの核心にあります。
しかし、それに加えて、この複業を通じて日々新しい発見があり、これまで経験したことのない世界に触れることができています。

  • 場所が変われば、視点が変わる

よく言われることですが、異なる「場所」って大切ですね。
初めて土佐町に足を踏み入れ、Googleマップを頼りに棚田まで行った時。その時の、どこでも聞こえてくる沢の音、そして車から降りた時にビックリした空気の美味しさに、心が踊りました。
地区を自転車で回ってる時に道で立ち話をしていたおばあちゃんに話しかけたら(そんなことも地元じゃやらない)町の歴史を教えてくる。
湖の裏山を朝食前に散歩していたら、冬でも木の実や植物の花を見つけることができる。

普段の経営戦略の仕事では「未来志向」などと言ったりしてるわけですが、この時には「ギアを落とす」というキーワードが自分の中に浮かんできたりもしました。

  • 旅行、観光、文化、移住、産業、教育、、、

スポーツツーリズムとは、「スポーツ」×「ツーリズム」なわけですが、スポーツコミッションとなると、まさに「まちづくり」。
それは単にスポーツと旅行を結びつけるだけではなく、その背後にある地域全体の文脈を理解し、活かしていくことが求められます。
土佐町での活動を通じて、ただの観光地としてではなく、そこに住む人々の生活や文化、産業の繋がりを深く知る機会が増えました。
基幹産業である農業、畜産業、林業について。
そして観光関連では、宿泊がどうなっているのか、飲食業がどうなっているのか。
関係人口のことを考えれば、まずは町の人口動態について、移住施策について、そして子供・教育にも繋がっていく。

まちづくりはカバーすべき範囲がホントに広い!普段は経営企画として経営における様々な機能の知識はカバーしますが、それも基本的には一つの業界に限った話だと気づかされます。
やればやるほど、知らなきゃいけないことが増えていって、知的欲求が満たされていく感覚を味わっています。

  • まちづくり、そして行政

さらに、まちづくりに関わる中で、行政との連携が必要になる場面が多々でてきます。それは、民間事業としての感覚だけでなく、行政としての感覚を理解するということにも繋がっていきます。
仕事の進め方にも違いがあります。
役場が進めている住民向けのコミュニケーションにも興味が沸いてきます。広報誌の位置づけや記載内容、LINEなどの媒体の活用。
自分が住んでる茅ヶ崎市のことも全然理解していないなぁと、まちづくりを通じて、自分の町への意識も高まってくる。

この「わからないことだらけ」の状況こそが、私にとって新たな学びの場となっています。

  • そして、どんどん繋がりが広がっていく

さらに、この複業を通じて、これまでの職業人生では出会うことのなかった多様な人々と繋がることができました。
まずは当然ながら町の皆さん。役場の皆さん(茅ヶ崎市役所の知り合いなんて一人もいません)、移住促進の活動をしている方、高校の魅力化プロジェクトを推進している方、町の観光や振興に取り組んでいる方、地域おこし協力隊として移住してきた方、ハンガリー出身の元カヌースプリント世界チャンピオンなど、多様な方が「町」にはいらっしゃいます。
そして、全国各地で同じ想いで取り組んでいる地域スポーツコミッションの皆さん、まちづくりに取り組む行政の皆さん、コミュニティに取り組む皆さん、観光領域の皆さん。

みんな、これまでのフルタイムの仕事では出会えなかった人です。こういう方の中には、不思議と共通のテーマが多くあったりして、ご縁を感じます。

6. 複業って、どう?

なんか楽しそうなのは分かったけど、そもそも「複業」って、ちょっとまだよく分からないという方も多いと思います。

そこで、まず「副業」の状況について調べてみたところ、パーソル総合研究所が2023年にとても参考になるレポートを発行していました。

まず、「企業の副業容認状況」としては、60.9%が「全面的に容認」もしくは「条件付きで容認」のようです。想像以上に容認率が高い印象ですし、2018年と比べても10ptも増加しているようです。

しかしながら、「正社員の副業実施状況」となると、現在副業をしている人は7.0%と、2018年の10.7%からなんと減少傾向。「副業を行っていない正社員の副業意向」についても減少傾向のようです。

この「副業を行っていない理由」にも、本業の忙しさや、プライベートの忙しさなど、「時間の捻出」に関する課題が上位にあげられていました。
もちろんこれは私もあったのですが、私がやってみて実感したのは、時間の捻出よりも「生活リズムの変更」が意外と大変でした。夜の時間の使い方、普通に晩酌しちゃうと仕事に気持ちが入らない、土日にしていたテニスや読書などの生活スタイルが変わる、など。これまでずっと過ごしてきてしまったスタイルなので。。。

そう考えると、やはり「副業」ではなくて、「複業」としての位置づけとマインドが重要だろうなぁと思います。

7. まとめ(スポーツコミッション複業に興味がある方へ)

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

フルタイムの仕事をしながら、情熱を持てるスポーツツーリズムの世界に「複業」として関わることで、私自身、予想以上に新しい世界が広がりました。この経験を通じて得た楽しさや学びを、少しでも多くの方と共有し、同じように感じていただけたら嬉しいです。

もしこの記事を読んで、「スポーツコミッションでの複業に興味が湧いた」「自分も新しい挑戦をしてみたい!」と思った方がいれば、その気持ちを大切に、ぜひ一歩を踏み出してみてください。新しい道を歩むことで、これまで想像もできなかったような可能性が広がるかもしれません。

また、私の経験から、複業に踏み出す際に役立つアドバイスやサポートを提供できればと思います。質問や相談があれば、ぜひ気軽にご連絡ください。これから、スポーツコミッションを対象とした複業促進のコミュニティも設立し、同じ志を持つ方々と情報を共有し合える場を作る計画を進めています。あなたもこのコミュニティの一員として、新しい挑戦を一緒に楽しみませんか?

これからも土佐町での活動やスポーツツーリズムに関する情報を発信していきますので、ぜひ定期的にチェックしてみてください。一緒に学び、成長し、そして新しい未来を切り拓いていきましょう!

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