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富山市(中心市街地)のオススメ名建築10選【建築巡礼01】

富山市は富山県の県庁所在地で、市町村合併に伴い、富山県の面積の約1/3を占めています。
戦災で街のほとんどが焼失したことも手伝って、その中心部には現代建築が集中しています。
実は現代建築好きの方にはコンパクトに色々見て回れる街なのです。
この富山市の建築のうち、富山駅から歩いていける中心市街地のオススメを紹介します。
(タイトルの写真は富山城ですが、残念、10選外です💦)


1)富山国際会議場/槇総合計画事務所/1999年

外観 ガラスのカーテンウォールが象徴的

シャープな箱の中に、緩衝材として挿入された木製の格子が温かみを与えており、全体として非常に好感のもてる建物です。
古くからの再開発地区に位置しており、正面に富山城を臨む、独特のロケーションにありながら、ほどよい自己主張をしています。
すぐ近くには同じ槇事務所による富山市民プラザ(1989年)があります。どちらも白派の建物で同じ設計者による建物なのに、こんなにアプローチが違うかと驚きます。ぜひともこの二つを見比べていただきたい!

2)グランドプラザ/日本設計/2007年

アトリウム 冬場のLEDツリーは冬の風物詩

富山市の中心市街地ではこの20数年、ずっと、細々と再開発が進んでいます。今思えば、この建築ができる前は本当に人通りがなかったような気が…。そう考えれば、中心市街地の起爆剤的な建築物と言えます。
元々の路地に隣接地から敷地を足し、そこに設けたガラス張りの屋内広場。悪く言えばそれだけです。しかし、積雪の多い富山では、冬季間にも有効に利用できる大規模屋外集客スペースはほとんどなく、当時、非常に画期的な建築でした。
床から迫り上がるステージや倉庫もあり、暖房や植栽も全て動かすことができるので、レイアウトも自由自在。隣接する百貨店とも相まって利用され、種々のイベントが随時開催されています。

3)富山市庁舎/日本設計/1992年

外観 大屋根の上の展望台は独特の存在感

2つの庁舎をハの字型に配し、その間に大屋根を設けたアトリウムを設置しています。プランとしては非常に明快です。
陸屋根と大屋根と展望塔、カーテンウォールと黄緑の壁面タイルという一見相容れない要素が、不思議にまとまりを見せています。
庁舎全体の中央部分にアトリウムがあり、その南側ガラス面から、桜の名所である松川越しの自然光が差し込み、庁舎全体の一体感が醸成されています。

4)富山県庁舎本館/大熊喜邦、富山県営繕(臨時庁舎建築課)/1935年

外観 2階に上っていく車寄せのあるアールデコ様式

本庁舎としては日本で6番目に古い庁舎だそうです。
派手さはないものの、レリーフやボーダータイルや扉など、歴史を感じさせる重厚なディテールがそこかしこに見ることができます。
正面に立った時の威厳ある佇まいはなかなかなものです。
別館がいくつも建てられ、現在必要とされる機能が十分に満たせない状況とはなっていますが、時代の証人として、代えられるもののない遺産と思います。

5)富山電気ビル/富永襄吉/1936年

外観 要塞のような軍艦のような佇まい

富山市は空襲に遭っているために、近代建築物がほとんどないので、非常に貴重な建築物(これだけ大規模なものであれば、あとは前述の富山県庁くらい?)。戦後はGHQに接収されたとのことです。
増築を重ねていったため、プラン的にはかなり無理がある箇所はありますが、ディテールには目を見張るものも多く、外観も軍艦みたいだなあと思っていたら、「埠頭に浮かぶ軍艦」と称されたこともあるそうです。
ドラマ「不毛地帯」でのロケ地ともなりました。

6)高志の国文学館/シーラカンスアンドアソシエイツ/2012年

南側エントランス 大きな庇とガラスとアルミのボックス

旧知事公館の再整備により生まれた建築です。
公館を屋敷、展示室を蔵、廊下などを土間に見立てた空間構成と、アルミの鋳物パネルや和紙など地元の素材を意識したところが特徴でしょうか。
大きなガラス面から旧公館やその庭を眺めることのできるロビーが非常に心地よいです。
ロビーでは藤子不二雄先生など富山県ゆかりの作者の作品も読むことができます。

7)富山市立芝園小学校 芝園中学校/シーラカンスK&H・清水建設・三四五建築研究所JV/2008年

外観 ボリュームを分節しながらの緩やかな連続

小学校の統合と中学校の建て替えに伴って建設されました。 
細長い敷地に対し、手前からコミュニティ施設、小学校、中学校が配され、奥の神通川まで流れるように連なった建築です。
小学校・中学校中央にそれぞれ吹き抜けがあり、それぞれで一体感を醸しつつも、バッファゾーンを設けることにより、建物全体としても一体感が生まれています。
こんな学校で勉強してみたかった^_^

8)富山駅/(駅舎建築)内藤廣+川口 衞/2015年

外観 バスターミナルの曲線と駅舎の直線の対比

北陸新幹線の開通に合わせて、駅舎を高架化して建て直された駅舎です。道路や路面電車、歩行者も地上レベルで南北を往来することができるようになり、街が一体化しました。
床や路面電車の駅の壁に色ガラスが散りばめられていたり、木質系の壁の仕上げとしていたり、(狙っているかわかりませんが)木立を縫って電車が入ってくるかのように、ホームの柱が木の幹のような造形となっていたり、ところどころに富山らしさを感じられる工夫が見て取れます。
駅前のバスターミナルや広場も併せて、富山の玄関口として素晴らしい整備がなされたと感じています。

9)富山キラリ/隈研吾建築都市設計事務所・RIA・三四五建築研究所JV/2015年

吹抜 回転しながら続く吹抜けと隈さん得意のルーバー

もう、めちゃくちゃ紹介されてますね。
富山市ガラス美術館、富山市立図書館、富山第一銀行などの複合ビルで、ランダムなアルミのルーバーっぽい外観と、写真のような吹抜けが特徴的な建築です。
建て替え前の図書館も吹抜けで他の層との一体感が感じられましたが、さらに程よい遮断と連続の感じられる吹抜けとなりました。
この吹抜け横の閲覧スペースで読書するのがとても贅沢に感じます。

10)富岩運河環水公園/仙田満+環境デザイン研究所他/1999年~

天門橋の最上階からの見下ろし

最後はちょっとだけ変化球。公園ですが、建築群と言っても良いのかな?
とやま都市MIRAI計画のシンボルゾーンであり、富山と岩瀬を結ぶ運河を核公園の中に天門橋(展望塔+橋)、スターバックス(一時期に有名になったアレです)、野鳥観察舎等があり、水辺の多様な安らぎ空間を演出しています。
また、富山市総合体育館、サンフォルテ、とやま自遊館が建ち並び、このレンガ調の外壁に対して周辺の建物も調和を図っており、景観的にもこの周辺の鍵となる公園といえます。
さらには牛島閘門や富山県美術館、レストランまであり、ここから繋がる富岩運河環水公園の向こうには中島閘門まであります。
元々は富山の市街地の真ん中を流れていた神通川の流れを変えるための土砂を供給する目的もあってできた運河の跡地なのです。
富山の過去、未来を感じることのできる公園ですね。

いかがでしたでしょうか。
富山の中心市街地の名建築オススメ10選でした。
ざっくりと行程を見てみると、上記の10か所の外観を見て歩くだけなら1時間半強で行けそうです。
それぞれの建築を見たい時間を加えて、建築メインで散歩してみていただけると、今までと違う富山市が見えてくると思いますよ^^



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