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インタビュアーの必読書「聞く力」

聞くことと、書くことが、私の仕事です。
書くだけの仕事もあるのですが、聞くをもっと突き詰めていきたいというのが、今の気持ち。

そんな中、この本を読みました。

阿川佐和子さんの「聞く力」。

週刊文春で対談を続けてきた阿川さんが、「聞くこと」について語った本です。自身の体験談を交えながら、時に脱線しながら。阿川さんらしい軽やかな語り口で、聞くとはどういうことなのか、たっぷり語られています。

「面白そうに聞く」「上っ面な受け答えをしない」「素朴な質問を大切に」など、この目次を読むだけでも、インタビューの極意が伝わります。

私の印象に残ったのは、「段取りをこなさない」という話。
これと、あれとあれを聞かなきゃいけない。あと〇分しか時間がない。
そうやって段取りに囚われていると、つい目の前の大事な話を聞き逃してしまいます。

これは、実際によくやってしまうこと。
もちろん、時間内に決められたことは聞かなければいけないのですが、それ以上に、本当に大切な言葉を逃さないようにしなければいけません。

段取りもすべて頭から飛ぶくらい、思わず入り込んで聞いているとき。やっぱりそれがいいインタビューなのだと思います。時間はないのに、つい、もっともっと深く聞いてしまうような。

人の話を聞くのは、決して簡単なことではありません。
インタビューは毎回、勝負に挑むような気持ちです。
でも、やるべきことはただ一つ。
目の前の人の話を、本当にひたすら、聞くことなのです。

ひたすらに耳を傾けていると、新たな質問が出てきます。
なぜそう思ったのだろう?それはどういうことだろう?そのとき、何を感じたのだろう?

それをまた一つひとつ、聞いていく。
深堀りしようとか、この人の新たな魅力を発見しようとか、インタビューのとき、そこまで考えていません。
ただ、聞きたいと思って聞いているだけ。
結果的に「聞かれて、初めて気づきました」「自分の棚卸しができました」とおっしゃっていただけたら、それはとても嬉しいことです。

聞くというのは、不思議な行為です。
ただ、ぼーっと目の前に居ればいいというのでもない。
相槌を打ちながら、感想を挟みながら、質問を重ねていく。
そのうちに、深いところへたどり着いて、涙が出そうになる。
その人にしか語ることのできない言葉に出会えたとき、私はその重みに、震えます。
そういう言葉を一つでも拾えたら、このインタビューに意味があったと、思えます。

聞くことで、誰かの役に立てるかもしれない。
その可能性を、最近感じています。
もっともっと、聞く力を磨いていきたいです。

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