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コラム 創造 ”なぜBtoCなのか”


株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー)

 昨年から5回クラウドファンディングを実施し5回成功しました。その中の1回は目標金額の2271%になりました。3週間で4182人が購入しました。そのクラウドファンディング会社が主催するイベントが先日、原宿駅の近くで開催されました。全国から60社が出店しました。たくさん売れたプロジェクトや大きな金額になったプロジェクトなど特徴あるプロジェクトが選ばれたようです。私も出展することができました。
 なぜネットで生きているのにリアルイベントに参加したのかをお話しします。ネットではBtoCで製品を販売しています。しかし、私は知恵を売る事が仕事なので付加価値を稼がないといけないのです。製品を販売しても自社ブランドなので付加価値はあるのですが、利益のほとんどは作業から得られるものです。それでは面白くないので、開発した技術に興味を持つ企業を探していたのです。自社だけで製品を販売するよりも、この技術を色々な分野に応用すれば、さらに市場は広がります。そして、特許の使用料を得ることができます。また、作業せずに量産効果をだすことができます。これは大きな付加価値だと思っています。クラウドファンディングで多くの消費者に販売した商品はすでに勝利しています。その状態で技術に興味を持った企業と接触したいと思っていたのです。消費者にまで商品を届ける能力がある事を証明した後での交渉です。
 2日間のイベントでしたが一人で来客全員とお話ししました。やはり想定していたメーカーの方と話をすることができ予想が的中しました。
 ここで、BtoCが成功していなかったらどうなっていたでしょうか。たぶん誰も見向きもしないと思います。他者に技術の価値を理解してもらうには売上をつくる事が確実です。そのためには、発明家といえども製品の設計、製造、そして販売ができなければいけないのです。
これは日本においての話です。目ざとい国へ行けば特許公報を見ただけで価値を理解する人たちもいるかもしれません。しかし、ここは日本なのです。売上の証拠をつくらないと価値が認められないのです。
 イベント終了後、石川県に戻ったところ、面識の無い複数の企業から「その特許を借りたい」という連絡がありました。その企業もクラウドファンディングを実施したことがありイベント情報を知っていたようです。クラウドファンディングの業界では、相当インパクトがあるイベントだったようです。参加して良かったと思います。
 このようにBtoCができればBtoBのための営業がとても簡単にります。また、クラウドファンディングで販売する製品は原価30%以下にする事をお勧めします。20%はクラウドファンディングの手数料なので粗利は50%になります。もし小売店に直接卸す場合、原価30%、卸価格60%とすれば仕入の2倍で販売が可能です。小売店は小売価格の40%が粗利となり全て丸く収まります。 BtoCができればBtoBがあとで付いてくる可能性があります。Cまで商品を届けたくてBへ営業に行き話が止まる問題を解決することにもなります。

2022年10月21日発行

(出典:帝国データバンク 帝国ニュース北陸版)

ありがとうございます。起業以来、下請けと工賃仕事をせず自分で考えたものを世に出して生きてきました。その経験をノンフィクションとして書いています。