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餃子のオーシャン【俺はマグロ餃子なんて認めない】

「餃子の王将とかかっていて面白い」と思ってもらえるかなと。
良かれと思ってタイトルつけました。
貴方のためにです。
いかがですか。

王の二面性

生で食べた時と火を通した時で美味しさに大きく差がある魚第一位が発表された(要出典)。
マグロだ。
もちろん美味しいのは生。
その美味さは老若男女問わず圧倒的な支持を誇る。

しかし火が入ると一転、勝手に没落していく。
赤身だと最悪。尋常じゃないくらいパサつく。
脂が乗っている部位を焼いても、
(わざわざ肉と同じ土俵で戦わせることないじゃん...)
という味になる。

曲者

これは周知の事実のはずなのに、買い物中の俺の目にまた好き好んでマグロを弱体化させる商品が飛び込んできた。

商品名が長いが、つまりマグロ餃子なのである


やってくれたな。
よりによって芯まで火を通す料理だ。

...でも仕方ないか。
40年やってれば「マグロは刺身が一番だよね」という人を鼻で笑うようになる。
でも次の40年で大衆が逆張りし始めるとまた刺身が一番スタンスに回帰していくんでしょ。
俺は知ってるんだから。

買った

頭の片隅でそんなことを思いつつ、味はもちろんどんな形でマグロが入っているのか気になる。
この餃子という、マグロとしてはかなり変化球の調理法を「最高傑作」と言い張る自信にすぐ手が伸びた。
捻くれと素直さは共生できるのだ。

ちなみに裏面
肉をマグロに置き換えた餃子だ

焼く

調理法もいつもの餃子だ

あ、でも焼いてるうちからすごい魚の匂いする。
不思議な感覚。見れば餃子、目を離せば焼き魚。

完成&食べる

焼け具合バラバラすぎる
思い出したが俺は料理下手だった

いただきまーす!

タネはこれ以上ないくらいミンチになっていて
普通の餃子と見分けがつかない

...

美味いなこれ。

...
美味いぞこれは!!

前言を大撤回。
自分で指示して積み上げてきた座布団を一撃で持って行かせる歌丸師匠の如く。

確かに魚。
魚だが完全に餃子。
餃子だが確かに魚。
それくらい両者が個性を殺さず支え合っている。

物足りなさが全然ない。
けど繊細な魚の味がしっかりする。
当然どこもパサついてない。
完全に力と技の風車が回っている。

リピート決定

俺の中の餃子界にパラダイムシフトが起きた。
食べまくってたら魚の風味が馴染んできて「特別なもの」感が早速消滅。
「初めまして?何言ってるんですか。貴方の食べてきた餃子って私のことでしょ?」
しっかり火を通したそのマグロ餃子の姿は、もはや変化球ではなくなっていた。

あと今までの俺、料理のセンスなさすぎじゃない?
マグロパサパサにしながらもこれにたどり着く可能性あったわけじゃんか。
勝手にマグロを弱らせといて何が「生が一番」だ。
40年も生きてない若造は結論を出すのに焦ってすぐ諦めるから困る。

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