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なくしたくないもの 第2話
「あの太鼓のステージ良かったね!」
お母さんが笑顔で言った。
「そうだね」
つまらないと思っていたけど私はなんとなく話を合わせた。するとなんとお母さんが、
「燿と朋花も太鼓やってみる?」
なんて言ったものだから驚いた。
そこでさっき、やる側の方が楽しいと思ったことと、踊っていた人達が生き生きしていた理由が気になったことを思い出して、そっち側に飛び込んでみるのもいいのかなという考えが頭をよぎった。
何よりも、私のパフォーマンスでオーディエンスを魅了したい
そんな気持ちが密かに芽生えていた。
半分本気半分冗談で、
「うん、やってみたいかも。お姉ちゃんもやろ!」
とお母さんと朋花に言った。お母さんはニッコリして、
「じゃあ、見学を何回かして決めてみて」
と言った。お姉ちゃんも乗り気な様子で、
「うん、やってみたい!」
とお母さんに言っていた。
私は、お母さんが笑ってくれた。その事が小さかった私にはとても嬉しかった。
私が太鼓に入ったらもっと笑ってくれるかな
純粋にそう思って、太鼓に入ってたくさんのオーディエンスの前で踊る妄想をするくらい、太鼓をする気持ちに傾きつつあった。
なんか、わくわくする
希望的な未来が待っている気がした
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