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なくしたくないもの 第1話

ドンドン、カッ『イヤササ!』ドンドン

20人以上の男女が旗を振ったり、大小の太鼓を叩いて踊っている                                                        

「ねー、お姉ちゃん、あんなの見てもつまんないよね?何が面白いんだろーね」

お母さんに連れられて行った大きなホールに、活気のある掛け声と大きな大きな太鼓の音が響く。

当時小学三年生の私は、目の前で行われているパフォーマンスに大勢のオーディエンスが釘付けになっている理由がよく分からなかった。何が素晴らしいとか、何に感動する点があるとか、、、

つまらなくて2歳上のお姉ちゃんと2人で喋ったり、じゃれてふざけあったりしていた。

すると、隣にいた厳ついおじいさんから「コラ、集中して観なさい!」と睨まれた。

他人から怒られるのってなんかムカつく

そう思ったけれど、また怒られるのは嫌で大人しく観ることにした。眉間に皺を寄せながらステージをみつめる。

あー、つまらないつまらないつまらない

結局それは変わらなかった、ホント何が面白いんだろ?こういうのは、やる方が絶対楽しい、パフォーマンスする側の方が絶対楽しいのに

気持ちは最悪だったけど観ていてたった1つ分かったことは、ステージに立つ一人一人がとても生き生きしていたこと。

私はきっとその時羨ましいと感じたんだと思う


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