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初夏の祈祷
卯の花腐しの朝で6月を迎える。
午後は日闌けて気温がぐんぐん上がった。
雨上がりの晴れた空の、なんともいえない透明感と、溜め込んだ光の全てを放つような、純粋で溌剌としたあの初夏のクオリア。
花屋に目を向けるともう向日葵が並んでいて、「もう夏かあ」と季節の移り変わりを感じる。
夏が生まれていることに人が気づくのは、いつだって少し遅い。
紫陽花の色彩、半袖のシャツに袖を通す、氷菓を買うとか、ささやかながらも鮮烈な一瞬たちが教えてくれているのに、私たちはうだる暑さと猛々しい陽射しでしか夏の始まりを感じることができない。
私たちが冷やし中華をすするよりもずっと早く、もう夏は始まっているのに。
あちらこちらで開催される沖縄フェア
百貨店の屋上で飲む麦酒
金曜ロードショーのジブリ祭り
透明な壜から勢いよく溢れる曹達
indigo la Endのような一夜
かき氷をスプーンみたいなストローでちまちま食べる
こんなにも楽しみがたくさん詰まっているのだから、五感を研ぎ澄まして精一杯生きなくてはいけない。
気怠くも感性がきらめくこの季節。
どうか、健やかで倖せな日々になりますように。
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