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副業のススメ

前回は、「成長実感という魔物」というタイトルで、note(https://note.com/shjfkd/n/n8ff32ba64177)を書きました。

「成長実感という魔物」の要約

「成長」には、成長が実感しやすい「ツール軸」と、成長が実感しづらい「再現性軸」が存在する
そして、この後者の成長が実感しづらい「再現性軸」によって、キャリア選択のミスを起こしてしまうことが多くある。という内容でした。

成長実感しやすい例(ツール軸)
成長実感しづらい例(再現性軸)=「魔物」

そして、今回は、この「再現性軸」をどう高めるかについて、綴りたいと思います。

副業は、「再現性軸」を高める一つの手段

「再現性軸」を高める手段は一つではありませんが、オススメの方法として、「副業」を上手く活用することで、良い成長ループを創出することができます。

まずは、Job総研の「2023年 副業・兼業の実態調査」(https://job-q.me/articles/14864)を見てみたいと思います。
副業に対してのイメージはポジティブ派が91%です。
副業している人は22%ですが、興味があるし今後もしてみたい人は86%。
興味がある理由の一番は「自由に使える資金を増やしたい」です。

株式会社ライボ Job総研調べ「2023年 副業・兼業の実態調査」
株式会社ライボ Job総研調べ「2023年 副業・兼業の実態調査」

こちらは、一般的な分布だとは思います。
個人的には「自由に使える資金を増やしたい」よりも、「自身のスキルを向上させたい」という理由で、「副業」にアプローチすることがオススメです(上手く回ると、結果として資金側には跳ね返ってきます)。

特に「再現性軸」を高める事に「副業」の活用ができると、自身の再現性を高める事や確かめる事に繋がります。
再現性の高まりは、相手にとってもレバレッジがかかるものであり、単純な「時給」での価値ではなくなります。そして、副業で再現性を高めることで、本業側にも良い影響を及ぼします。

「副業のススメ」の事例

Chatworkでの新卒採用で、具体的に説明します。
Chatworkは非常に高いレベルで新卒採用のCapabilityを保有しています。会社に紐づくものでもありますが、大半は担当者個人のスキルとして装填されます。

新卒採用の責任者に、『そのスキルを用いて「Chatworkの採用競合にならない企業」に対して、新卒採用のノウハウを試してみるような副業は、実行したら良い』と話すことがあります。

当然ながら、同じように出来る部分と、そうでない部分が出てきます。
「同じように出来る部分」は再現性を高める事が出来ますし、「そうでない部分」は、それを分析する事で再現性の幅(対応できる領域の広さ)に繋がります。更にその経験が、Chatworkの新卒採用にも大きく貢献する事になるため、享受できるメリットが大きくなります。

上記のように、本業ではツール軸+再現性軸の両軸を追い求め、その中でツール軸を厚めに思考し、再現性軸を「副業」で拡張するといった事ができるようになります。特に、副業先からするとリソース提供のみ(≒時給での仕事)をされるよりは、再現性を持って高い確率で成功に導いてくれる人(≒「同じような事をやったことがある人」「同じような景色を見た事がある人」)の価値は高く、時給換算では測れないので、一定の報酬にも繋がります。
但し、この再現性軸は、出し惜しみせずに、相手企業のスキルとして装填させる事が重要で、装填が進むにつれ、自身の価値は薄まっていきます。たとえそうなったとしても、更に高まった再現性を必要とする企業は、たくさん存在します。そして、新たに支援できる企業を探す事で、自身の再現性を更に高めるアプローチが出来ます。
この繰り返しで、一見、認識しづらい「再現性軸」を、客観的に認識し理解出来るようになります。また再現性軸を認識し、コントロール出来るようになると、キャリアの幅が一気に広がります。

自身の企業支援について

ちょうど、2年ほど支援させて頂いているFindyの山田社長が書いたnoteも参考に紹介します(この某上場企業のCOOが私です)

自身は、前職(SMS社)でハイグロースを経験し、その成功失敗の再現性を理解しながら、今現在、Chatworkでのグロースを行っています。さらに、このノウハウを数社に提供しています。

ビジネスモデルが違っていても、領域が違っていても、一定の「再現性」は存在しており、それが自身の再現性を更に高めるという良いループにもなるので、副業はそういった点でもオススメです。これは、経営というレイヤーでなくとも実現可能なため、「時給」で「作業」をする副業を選択するよりも、こういった再現性を高めるアプローチで副業を活用することで、結果としてビジネスパーソンとしての価値は高まり、また本業への良いフィードバックにもなります。

「副業」のはじめの一歩は、再現性の実験をさせてもらう事とはなるため、契約金額に拘らず無料で始める事も良いアプローチだと思います。
但し、ベースとなる成長を担保すべき時期(新卒入社から2、3年程の社員)には本業に集中することをオススメします。中途半端に副業に触れると、一種の「逃げ」的なものとなる可能性もあるため、危険が伴います。

企業支援のルール

一部だけ例外の企業も存在はしていますが、自身が支援させて頂く企業に関するルールがあります。そもそも価値提供できないと意味がないので、「必ず成果が出せる」すなわち「一定の再現性を持って対象企業をグロースさせることが出来る」企業のみとご一緒させて頂いています。その条件は以下の3つのみなのですが、意外と難易度はあるかなという印象です。

  1. (事業の対象とする・選定している)マーケットの筋が良いこと

  2. (そのマーケットでの)攻め方のストーリーがイメージできていること

  3. 社長、並びに経営陣が素直であること

1は所謂トレンドの話に近いかもしれません。事業領域が継続的に大きくなる・グロースするマーケットであればあるほど事業機会にも恵まれます。2は具体的な戦略がなくても、「こういうアプローチで勝ち切りたい」という意思でもOKです。結局この二つが合わさると、プロダクトアウト→マーケットインへの切り替え(戦略的アプローチへの切り替え)の効用が大きく、戦略やオペレーション、組織や人材面、多様なグロースの方法が存在し、その選定方法やプライオリティを支援することが可能なので自身としても幅が出せる(=価値提供できる)領域となります。ただ、1、2が満たされたとしても、3が存在しないと全く上手くいかいない事が過去の経験から分かってきました。上記のnote内でFindyの山田さんが記載している以下の部分がまさしくですね。なので、必ずご支援を決める前に社長とディナーに行ったり、ディスカッションを通して、それが可能かを見極めさせて頂いています。当然、これは一方的な話ではなく、お互いという前提です。現職のChatworkも最初は上場前に社外取締役から入らせて頂いているので、実は非常に近い概念なんですよね。

経験者から学ぶ際に大事なのはまず素直に受け止めることだと思っています。経験者とはいえ、自社のビジネスに取り組んできたわけではないので、完璧な回答が提示できるわけではありませんし、クライアントやユーザーの解像度は当然、自分たちの方が高いので、アドバイスを否定しがちです。経営幹部やマネジメント候補は元々優秀な人が多いので、余計にそうなる傾向があります。
しかしながら、経験したことがないからヒアリングしている前提に立てば、まず素直に聞いてみることが大事だと思っています。
その上で大事なのは自分がアドバイスを咀嚼した上で、自社に合っているところを取り込んでいく、逆に異なるところは捨てていく。この繰り返しこそがスピードのある成長を会社にも、経営者を目指す個人にももたらすと思っています。

スタートアップ経営7年目で気づいた、能力やスキルより大切なこと(山田CEO)
https://note.com/yuichiro826/n/n15a2765e7e11

最近は、こういった、ご支援の依頼が来るケースで一番多いのは、「ベンチャーキャピタル」「人材紹介会社」「知り合いの経営者からの紹介」が多く、「資金」や「人材」を提供できても最後の「グロース」という部分には難易度が多く存在していて、そのニーズが高く存在している結果だとは思っています。ちなみに、Chatworkが運営するCVCの出資先は、当然無償で機能提供しますので、現出資先の皆様は必要に応じて活用頂ければOKですし、出資に対して興味があるスタートアップの皆さんは是非、お声がけください!!

「再現性」について

前回・今回のnoteで、「再現性」という言葉が度々出てきているため、再度整理だけしておきます。

再現性には「成功の再現性」と「失敗の再現性」が存在していて、当然ながらチャレンジしている環境(≒グロース環境)においては、「失敗」の数が多くなります。
成功は意外と要因分析が難しく、失敗の方が「何故そうなったのか」を構造的に理解しやすい特徴があります。再現性という言葉を耳にすると「成功の再現性」側を意識する事が多いかと思います。しかし、経営や事業レイヤーになると、「失敗の再現性」=「同じ構造の失敗をしない」という価値が高まります。
全く違った領域の企業を支援する際には、その企業が戦っている領域を、事細かに理解することは時間的にも不可能ですし、する必要はありません。
例えば、その企業が行きつきたい先(目標)に対して、その手段が10通り存在するとした時に、失敗の再現性から、7つくらいを消してあげる事が出来ることに価値があります。残った3つは、その業界の詳細を知らないと判断できないことが含まれているケースが多分にあり、あとは対象会社にお任せします。ただ、10打数1安打の勝負をするよりも、3打数1安打の勝負をする方が、企業にとっては圧倒的に優位であり、手段の選択も容易になります。

世の中には、1打数1安打で勝負を決めてしまう「天才」も存在しています。しかし大半の人は、自分も含め殆どが凡人です。凡人であるからこそ、たくさんチャレンジして、そこから発生する失敗を構造化し、失敗の再現性を高め理解し、立つべきでない打席を特定し、成功確率をあげるというアプローチを取っていくのです。それ以外、天才に立ち向かう方法はないと思っています。
そして「失敗の再現性」は「成功の再現性」と表裏一体なのです。

次回は、「利益総額の最大化と利益率の最大化」について、書きたいと思います。(可能であれば1ヶ月以内に、、、)

2022年入社の新卒社員インタビューも公開しました
学生時代に個人事業主として事業を運営していた社員のインタビューです。「成長」や「再現性」についてもお話していますので、ぜひご一読ください。


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