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工場を五感で楽しむ「ファクハク」とは? 〜静岡初のオープンファクトリーイベント、いよいよ開催〜

静岡初のオープンファクトリーイベント「ファクハク」が、いよいよ開催されます。

オープンファクトリーとは、製造業に関わる企業の協力のもと、ものづくりの現場を公開し、来場者に工場を見学・体験してもらう取り組みのこと。

プレイベントの様子

静岡の誇れるものづくりを、もっと発信していこう!
地元の人々にものづくりの魅力を、もっと知ってもらおう!

そんな熱い想いのもとに開催されるファクハクは、11月17日から11月19日までの3日間、静岡各地の工場で行われます

今回、静岡みんなの広報取材班は、リハーサルを行った3社を伺ってひと足先にものづくりの魅力を体験してきました。

▼プレイベントの様子はこちら▼

まるで特撮映画のような工場へ

最初に伺ったのは村田ボーリング技研株式会社

同社は溶射の技術を得意とする工場です。溶射とは簡単にいえば、金属などを粒子状にして吹き付けて素材の表面に皮膜をつくり、素材の強度を上げること。

たとえば、金属の機械でも何年も使っていると部品がすり減って弱ってきてしまいます。そんな部分に溶射をすれば、部品を再生、強化することができるのです。

和やかな雰囲気の会社説明を経て、いざ工場に潜入!

溶射の工程は主に三つ。金属を〈切る〉〈盛る〉〈削る〉です。

最初の現場では、溶射する部分を旋盤や刃物を使って処置部分を均していました。この工程を経ることで、溶射した際の素材がなじみやすくなるそうです。料理でたとえると「下ごしらえ」といったところでしょうか。

なんと、一人ひとりが専用の刃物セットを持っているとのこと。職人魂を感じます。

続いてメインの工程、金属を吹き付ける現場を見学します。

飛び散る火花に、見学者から歓声が上がります。溶射の際には強い光が出るためゴーグルを装着していますが、それでもなお目に焼き付くような強い熱を感じます。

溶射の様子

作業を見た後は、職人さんの使っていた溶射ガンを持って記念撮影

炎、熱、ガン——まるで特撮映画のような工場見学でした。

村田ボーリング技研の工場見学には、スペシャルコースが用意されています(17日午前中のみ)。

3時間かけてじっくり、みっちり工場を見学できるチャンスです。ある程度ものづくりに精通している方や体力に自信のある方は申し込んでみては?

村田ボーリング技研の見学は、ファクハクツアー「若手職人が活躍する工場探訪コース」でもお楽しみいただけます。


世界を驚かせた100年の木

次に伺ったのは青木農園

同農園では、青島みかん、太田ポンカン、はるみ、スルガ甘夏(スルガエレガント)といった柑橘類を栽培しています。その歴史は150年に及びます

当時みかんは、その美味しさと手間暇から、「オレンジ色のダイヤ」と呼ばれ、高額で取引されていたそうです。

パネルクイズを通してみかんの知識をつけたところで、収穫時期前(取材時)だったことから摘果(てきか)の体験をさせていただきました。

摘果とは幼かったり傷んだりしている実を取り除く作業を指します。これをすることで、残った実が大きく美味しく育つのです。

鋏と籠を持ち、みかんの木をじっくりと観察しながら摘果する実を探します。清水のまちを見下ろせる農園には、気持ちの良い風が吹いていました。

摘果体験の様子

摘果したみかんはお土産に。青すぎて食べるには適しませんが、搾り汁を料理にかけたり、お風呂に浮かべたりして楽しむことができます。

今回は見られませんでしたが、少し山を登った場所には樹齢100年のみかんの木があるそうです。ここのみかんでつくられた「100年樹夏みかんマーマレード」は、2022年、英国世界マーマレードアワードの金賞を受賞しています。

マーマレードの瓶は、太陽にかざすとオレンジ色に光っていました。

ファクハク当日は、こちらのマーマレードに加えポンカンジュースの購入、みかんの予約申し込みができます。売り切れないといいのですが……。

青木農園の見学は、ファクハクツアー「マグロの循環を知るコース」でもお楽しみいただけます。みかんとマグロのつながり。とても気になりますね。


魔除けの小鬼づくり

最後は長澤瓦商店によるワークショップに参加しました。

同社の主な事業は瓦の販売・施工ですが、瓦文化を広めるとともに、駿府城にも用いられた「清水瓦」を現在の技術で復刻する取り組みにも力を入れています。

鬼瓦

瓦は約1400年前、中国から伝来した4人の瓦博士と1人の宮大工によって伝えられた技術です。

昔は茅葺き屋根がメジャーでしたが、とても火に弱く、火事で延焼することが多くありました。一方で瓦屋根は耐火性が高く、延焼しにくいことから防災の目的で広まっていったといいます。

鬼瓦職人(通称:鬼師)の長澤玲奈さん

瓦が広まったもう一つの理由は、風を通しやすいので夏は涼しく、保温性があるので冬は暖かいからだそうです。瓦は四季のある日本に適した屋根材だったのですね。

そんな瓦にまつわるお話に、参加者から「知らなかった!」と声が上がりました。

瓦を身近に感じられるようになったら、いよいよワークショップです。ワークショップでは瓦の原料である粘土を使った小鬼をつくります。

笑顔を運ぶ小鬼のだいちゃん

瓦屋根の端などに設置される装飾用の鬼瓦をモチーフとした、その名も「笑顔を運ぶ小鬼のだいちゃん」です。

粘土を型に入れて頭部をつくり、体をつけていきます。小学生以来の粘土工作に悪戦苦闘しましたが、苦労しただけ愛着が湧くというものです。所要時間は一時間ほどでした。

当日は小鬼づくりに加え、瓦でオリジナルアロマストーンづくりや、瓦小物・瓦アクセサリー・アロマオイルの物販もあるそうです。

私たちはまだ“本当の工場”を知らない

静岡みんなの広報取材班がファクハクの開催を知ったのは2023年の3月。

山崎製作所を取材させていただいたことがきっかけです。山崎社長が「静岡でオープンファクトリーをやろうと思っている」とおっしゃっいました。

「オープンファクトリー」というものを知らなかった私たちは、勧められるがままにファクハクのプレイベントに参加しました。

このイベントは秋の本イベントに向けてのリハーサルであり、コンテンツもスタッフの立ち回りも調整中でしたが、伺った工場はどこも刺激的で、仕事を忘れて楽しんでしまいました。

工場で働くのは、ものづくりへの熱い情熱を持ち、技術や伝統に真摯に向き合う職人さんたちばかり。その迫力に圧倒され、いっぺんに魅了されてしまいました。

山崎社長はインタビューの中でこのようにおっしゃいました。

職人たちが磨いてきた熟練の技術、洗練された作業場というのは、人の心を動かす力を持っているはずです。

静岡みんなの広報取材班も、心を動かされてしまったようです。私たちは広報パートナーとして、ともにファクハクを盛り上げていくことを決めました。

山崎社長を中心に集まった有志たちの取り組みは、地元のメディアや学生を巻き込み、今なお拡大しています。

当初7社だった参加企業も、半年で3倍以上の25社にも増え、「オープンファクトリー」と検索すれば「ファクハク」についてのニュースが上位にくるほどです。

この一大イベントを、ぜひみなさんの目で・耳で・肌で感じてください。

▼参加申し込みは下記のサイトの「参加企業一覧」から▼

▼どんな工場が参加しているか詳しく知りたい方はこちら▼


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