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ちくま文庫を読んで昔のイタリアについて考えてみる

久々に、ちくま学芸文庫の「ムッソリーニ」を読み返してみました。
元駐日イタリア大使、ロマノ・ヴルピッタさんのご著書です。


ロマノ・ヴルピッタ著「ムッソリーニ」



みなさんは、ムッソリーニについてどれだけご存じでしょうか。

だいたい、
「ヒトラーと組んで最後は吊るしあげられた傲慢でマヌケな独裁者」
といったイメージかと思われます。

しかし、この本を読んでみると、彼の色々な顔が見えてきます。そして、イタリアという国に対して、深い同情の気持ちが湧いてくるのです。



よくもまあ筑摩書房がこういう本出したねえ。



ちくま文庫といえばインテリでリベラルな本を出すイメージなんですが、何気に福田恒存や西部邁の文庫本も出したりしているので、多分ツンデレなんじゃないかと僕は思っているのです。


印象深いのは、彼の最期です。
クーデターに対しては国を混乱させないために、ファシスト党員たちに抵抗を禁じています。

そして1945年3月
『私に開かれた道は、死以外にない。それが正当だ。私は過ちを犯したのである。それを償おう。もし私のこの虚しい命に、何らかの価値があるのなら』

という言葉を遺しています。

多くの罪と功績を残しながら、大衆に望まれ、大衆を魅了し、そして大衆によって命を奪われたムッソリーニという人間は、イタリアだけでなく、近代という時代の写し鏡のように、自分には思えるのでした。


オマケ
①昭和3年に「ムッソリニ(ムッソリーニ)」という
 歌舞伎が演じられていたそうです。
 主演は二代目市川左團次。
 どんな内容だったのか……。
 ぜひ観てみたいですが……ムリだろうなあ。
②イタリアファシスト党の党歌は
 「ジョヴィネッツァ(若人よ)」。
 内容には賛否あるかもしれませんが、
 音楽に罪はありません。好きな曲です。
 メロディーは名曲「鉄腕アトム」の
 元ネタの一つではないかと勝手に考えています。

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