【私の感傷的百物語】第三十話 黒い球体
子供の頃、実家で黒い球体を見たことがありました。ちょうど僕がトイレへ行こうと、一階の畳敷きの部屋に差し掛かった時のことです。突然、野球ボールくらいの大きさをした真っ黒い塊が、視界の上からすごいスピードで現れたのです。いきなりのことに驚いた僕は、必死にその姿を目で追いかけました。球体は自分の周囲をあちこちと飛び回った後、部屋の出入り口へと向かい、そこで障子と障子の隙間にスルリと入り込んで、消えてしまいました。
その後、水木しげるの妖怪図鑑に「黒玉」という妖怪が載っているのを見