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私の感傷的百物語

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昔、自費出版した本を一話ずつリメイクしています。
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#百物語

【私の感傷的百物語】第三十二話 蜘蛛の巣天井

我が実家の隣は、車一台がやっと通れる程度の下り坂になっています。この道に沿って何軒か家が…

後藤師珠馬
2か月前
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【私の感傷的百物語】第三十一話 開かずの間

「開かずの間」という言葉にそそられます。長い間閉ざされている場所には、果たして何があるか…

後藤師珠馬
4か月前
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【私の感傷的百物語】第三十話 黒い球体

子供の頃、実家で黒い球体を見たことがありました。ちょうど僕がトイレへ行こうと、一階の畳敷…

後藤師珠馬
4か月前
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【私の感傷的百物語】第二十九話 隙間

隙間が怖いのです。常に、ではありませんが、時々、隙間がものすごく恐ろしく感じる時があるの…

後藤師珠馬
5か月前
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【私の感傷的百物語】第二十八話 雨漏り

「仄(ほの)暗い水の底から」という恐怖映画があります。離婚調停中の母と娘に、水に関わる様…

後藤師珠馬
5か月前
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【私の感傷的百物語】第二十七話 クラスメイトの諍(いさか)い

高校時代の話です。授業の後、教科書を忘れたことを思い出し、教室へと戻りました。入り口のド…

後藤師珠馬
6か月前
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【私の感傷的百物語】第二十六話 夜桜

夜桜は美しいものです。この美しい花が咲き誇った樹の下を歩くのは、春における至上のよろこびと言っても良いでしょう。思えば、花見の宴会にしても、観光地の並木にしても、日本において眺めるだけでこれほど多くの人の心を動かす花というのは、桜の他に見当たりません。 その一方で、桜には絶えず「死」の影が暗い闇を落としています。いえ、むしろその影があるからこそ、桜の美しさは際立つのでしょう。梶井基次郎は「桜の下には死体が埋まっている」と感じ、坂口安吾は桜の下で山賊に女を絞め殺させました。

【私の感傷的百物語】第二十五話 霧

映画化もされた人気ホラーゲーム、「サイレントヒル」。湖畔の霧に包まれた町で、主人公に未曾…

後藤師珠馬
9か月前
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【私の感傷的百物語】第二十四話 学校のトイレ

小学校、中学校、高校と、校舎にあるトイレを利用したことが一度もない、という人はまずいない…

後藤師珠馬
9か月前
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【私の感傷的百物語】第二十三話 豚の胎児を埋めに行く

高校時代、自然科学部に所属していた僕は、一応の「部室」である生物準備室に入り浸っていまし…

後藤師珠馬
9か月前
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【私の感傷的百物語】第二十二話 ネクロフィリア

だいぶ前に、心理学ゲームの本を読んだ時、その娯楽性の強い本から、僕は「ネクロフィリア度上…

後藤師珠馬
10か月前
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【私の感傷的百物語】第二十一話 天井裏の毛物

僕の実家の一階と二階の間、つまり一階の天井裏には、よく獣が忍び込んできます。初めてその気…

後藤師珠馬
10か月前
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【私の感傷的百物語】第二十話 ザトウムシ

これまでにも何度か、釣りにまつわる怖かった体験をご紹介しましたが、これも釣りの話です。た…

後藤師珠馬
11か月前
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【私の感傷的百物語】第十九話 踊る骸骨

骸骨は踊ります。洋の東西を問わず、踊ります。なぜかは分かりませんが、踊るのです。 大学時代の恩師に、T先生という方がいます。先生は古代インドの仏教哲学が専門で、僕は水産学専攻の学生であるにも関わらず、その知識と人柄に惹かれ、担当されている講義にはすべて出席しました。 その中に「生と死の文化史」というテーマの講義があり、授業用テキストの冒頭には「一休骸骨」という絵が掲載されていました。骸骨が、扇子を持って踊っています。これは一休さんでお馴染みの一休宗純の法話にまつわるもので