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私の感傷的百物語

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昔、自費出版した本を一話ずつリメイクしています。
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記事一覧

【私の感傷的百物語】第三十五話 蛾

蛾。巨大な「ガ」です。 山間部の町で、時に驚愕する大きさの蛾と出くわすことがあります。僕…

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【私の感傷的百物語】第三十四話 電車怪談考

電車とは、本来ならば怪談とは縁遠い乗り物ではないでしょうか。もしも自動車ならば、目的のコ…

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【私の感傷的百物語】第三十三話 黒瀬

沼津市を流れる狩野川に、「黒瀬」と呼ばれる場所があります。沼津警察署の前辺りにあって、文…

後藤師珠馬
2週間前
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【番外編】沼津のお化けたち

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【番外編】「しゅのばん」のこと

「しゅのばん」というお化けをご存じでしょうか。 福島県に伝わる鬼のような顔の怪物です。 …

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【私の感傷的百物語】第三十二話 蜘蛛の巣天井

我が実家の隣は、車一台がやっと通れる程度の下り坂になっています。この道に沿って何軒か家が…

後藤師珠馬
2か月前
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【私の感傷的百物語】第三十一話 開かずの間

「開かずの間」という言葉にそそられます。長い間閉ざされている場所には、果たして何があるか。開けてはいけないはずなのですが、どうしても開けてみたい。我が国における神代の物語の中にすら「してはいけない」と言われたことを我慢できず、結局、禁を破ってしまうシーンがあるのですから、まして神の身にあらざる人間は、その禁忌を破るという誘惑に(実行する、しないは別として)常に苛(さいな)まれているのではないでしょうか。 実は我が家にも、開かずの間のような場所が存在していました。それは、もと

【私の感傷的百物語】第三十話 黒い球体

子供の頃、実家で黒い球体を見たことがありました。ちょうど僕がトイレへ行こうと、一階の畳敷…

後藤師珠馬
5か月前
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【私の感傷的百物語】第二十九話 隙間

隙間が怖いのです。常に、ではありませんが、時々、隙間がものすごく恐ろしく感じる時があるの…

後藤師珠馬
6か月前
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【私の感傷的百物語】第二十八話 雨漏り

「仄(ほの)暗い水の底から」という恐怖映画があります。離婚調停中の母と娘に、水に関わる様…

後藤師珠馬
6か月前
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【私の感傷的百物語】第二十七話 クラスメイトの諍(いさか)い

高校時代の話です。授業の後、教科書を忘れたことを思い出し、教室へと戻りました。入り口のド…

後藤師珠馬
6か月前
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【私の感傷的百物語】第二十六話 夜桜

夜桜は美しいものです。この美しい花が咲き誇った樹の下を歩くのは、春における至上のよろこび…

後藤師珠馬
7か月前
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【私の感傷的百物語】第二十五話 霧

映画化もされた人気ホラーゲーム、「サイレントヒル」。湖畔の霧に包まれた町で、主人公に未曾…

後藤師珠馬
9か月前
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【私の感傷的百物語】第二十四話 学校のトイレ

小学校、中学校、高校と、校舎にあるトイレを利用したことが一度もない、という人はまずいないと思ういます。それなのに、なぜ学校のトイレというのはあんなに怖いのでしょうか。トイレの花子さん、便所からの手、ハンカチの色を質問してくる声、等々……。学校トイレの怪奇は、枚挙にいとまがありません。 そもそもトイレというのは、寝室と同様に人間が最も無防備になる場所ですから、そこを襲われたらどうしよう、という想像がはたらくのは、もっともなことだと思います。加えて、学校のトイレでは「仕切られた