【私の感傷的百物語】第二十九話 隙間
隙間が怖いのです。常に、ではありませんが、時々、隙間がものすごく恐ろしく感じる時があるのです。
例えば、夜、部屋で一人でいる時に、ふと見ると、扉がわずかに開いています。そのわずかなスペースに、心臓がドキリとしてしまいます。少ししか見えないほうが、かえって恐怖を煽るのでしょう。隙間から何がやって来るか。誰かの目が覗くか、何かが横切るか、指だけがじわじわと伸びてくるか……。考えないように、考えないように、と思うほど、強烈なイメージが目の前に現れ、耐えきれずに僕は、慌てて扉を完全