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日曜夜の戦中記

書けない、と思ってこわくなったときはとりあえず書け、私。

床の上で泣いて目を腫らしたら、あとはもう冷やして明日に備えるだけだよ、私。

ゆるす、ゆるさないのを決めるのは私だよ、私。

「言葉なんていらない」という概念を表す言葉が存在する世の中だ、「言葉にしなきゃわかんないよ!」という台詞と「言葉より大切なものがある」という台詞が混在する世間だ、言葉にできない瞬間の蓄積でできた世界だ。言葉がうるさくて言葉に殺されて、それでも言葉に救われてきた人生だ。

本当に救われた時、私は言葉を必要としなくなるのだろうか、でも救いを求めるためには、言葉が必要なんじゃないか。

書くんだよ、書くんだ、私はずっと吐露がしたかったんでしょう、吐露をして、でもちゃんとそれをととのえて、かたちにして、残しておきたいんでしょう、私の言葉に触れてくれたひとたちに、少しでも救われてほしいんでしょう。

言葉は薬でもあり毒でもあるんだって、ほんとにそうだね、あなたのためを思ってという枕詞で始まる薬が、私にとっては毒だったりした。だからこの世に完璧な毒は存在しない。完璧な人生が存在しな、以下略。

書くんだよ、書くんだ、キャリアバリバリ築いていくのが幸せなのか、結婚して子供を持つのが幸せなのか、小説と穏やかにかつ過激に心中するのが幸せなのか、私にはわからないんだよ、わからないってことを書くんだよ。

私は作家だ、書くんだよ、サクセスストーリーでもない、自己啓発でもない、暗闇の中にいる時のもがきを、苦しみを、それでも必死に生きようとしていることを、書き残すんだよ。

痛々しいって笑っていいよ、痛くなるのは私だけだ、安心して心配ないから、あなたは痛くならないから。

全国のサザエさん症候群で入院中の皆さんへ、点滴引っこ抜いて病室を抜け出して、真夜中の真ん中で待ちあわせて人生を語りましょうぜ

なんて

2021.10.10

眠れない夜のための詩を、そっとつくります。