人身事故
月曜日は人身事故が多い。だから遅延しても始業時間に間に合うよう、一本早い電車に乗る。
遅延した時にかなしくなっていたのは4月までだった、「ただいま遅れが発生しており申し訳ありません」というアナウンスに「誰も悪くないよ」と答えていたのは5月までだった。段々「何でいまなの」と思うようになり、「遅延したので遅れます申し訳ありません」とメールをすることに疲れ果て、そして「私だって飛び降りたいのに」と思うようになった。
同時に、まだ何も残せていない死にたくない、と強く思う自分もいて、だからいつも黄色い線の遥か内側に立つ。ふっと飛び降りてしまわないように。
でも誰だって死にたくなかったんだと思う、死にたいというのは楽になりたいとニアリーイコールなのに、楽になりたいと死にたいがイコールで結ばれてしまう状態が問題なんだよ、どうかあなたもあの人も、どこかでちゃんと楽になっていてほしい。もうこんな世界のことなんて気にかけなくていいよ。
憂鬱を引きずりながら、絶望を無理やり飲み込みながら、いつまで平気なふりができるだろうか、私は黄色い線の内側で楽になれるだろうか考えている。1月半ばの月曜日。
眠れない夜のための詩を、そっとつくります。