私の中の私

彼と別れた日

私の中に沢山の私が現れた


まず孤独な私

毎日余す全ての時間を費やした
彼の存在が突然消え
ひとりぼっちで心細く
悲しくて辛くて苦しい孤独な私
つい先日まで大好きだって言ってた
あの言葉も全部嘘だったの？
いつから嘘になってたの？


次に怒れる私が現れた

嫌なことがあるなら
なぜ一度でもちゃんと言わなかったんだ
向き合おうとしなかったんだ
私はどう思うか聞いたのに！
誤魔化して本当に思ったことを言わない彼が悪いんだ！
言ってくれたら直したのに！
勝手に決めて勝手に去っていった彼に
腹を立てる私


そこに嫌味な私が声をかける

良かったじゃん
別れられてさ
本当に彼の事好きだった？
実は嫌な所いっぱいあったんでしょ？
偏屈だし偉そうだし
私の考え否定してばっかりだし
もっと良い人いるよ


穏やかな私が顔を覗かす

そんなことないよ
彼は優しい人だった
私とは考え方が違うけど
私と違って誰にでも優しい人だった
彼は何にでも真剣に考えてたと思うよ


その後ろからうじうじ虫な私が現れる

やっぱりあの時あんなこと言ったから
あんな事言わなかったら
あんな事しなかったらさぁ
まだ仲良く一緒に居られたかも…
私が余計な事したからでしょ…
もう、あんな良い人には会えないかもだし…


うじうじ虫な私を押さえ付けて
陽気な私が飛び出る

もう、終わった事を気にしたって
しょうがないでしょ！
性格が合わなかったのは事実だしさ
また恋が出来るんだよ
きっと馬の合う人がいるよ
もっと人生楽しめばいいじゃない！


そこに夢見る私も出てくる

そうだよ！
もっとカッコよくて優しくてさぁ
経済力もあったりする！
私の事すごくすごーく大事にしてくれる
素敵な人と会えるかもしれないし！


悪魔な私が囁く

そうだよね、彼が好きなんじゃなくて
彼のステータスが気に入ってたんだよね？
これで仕事辞めて結婚して
楽出来るかもーとか思ってたんでしょ？
いい年して夢ばかりみて
そんな甘い考えだからこんな事になるのさ


真面目な私が悪魔な私の首を絞める

違う違う！
いつも私の傍にいて
私の事を最優先してくれる
一途な彼に惹かれたの
好きになった時には
なんの仕事かなんて知らなかったでしょ？
結婚を考えるなら生活力は気にはするけど、私だって育休以外はきちんと働く気だし、真面目で穏やかな彼となら普通の生活が送れるかもと思っただけよ


離れたとこから孤高の私が声を上げる

私は実は1人が結構好きなんだけどな
誰にも時間を奪われず縛られずに
誰にも気を使わず合わせることもせず
自由に過ごせるって最高でしょ
彼ばかり見てた時は
自分の時間もあまりなくて
窮屈だったじゃない


素直な私が横に座っている

そうね、みんなの気持ち分かるよ
大切だった彼が居なくなって
とても寂しくて悲しいね
彼には良い所も悪い所も沢山あった
ただ私とは上手く会わなかったのね
それに私は彼ばかりみて、
周りのこと大切に出来てた？
彼が居なくなっても私は本当に
孤独な訳じゃなかったでしょ？
思いやってくる優しい友達がそばに居た
話はしなくても大切な家族も支えてくれる
これからこと、みんなで考えよう



沢山の私をみて私は考える


私の中の本当の私


目を逸らした


気付かないふりした


沢山の私


彼ばかりみて
私、


私をちゃんと見てなかったね