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うすうす気づいてた

 石うす、わが町のあちこちに。
ほかに使いようもなく、玄関先にごろり。
もしかしたら、臼(うす)じゃないのかも、この石は。
(821文字)


火鉢でもなく水鉢か

だいだい、おなじカタチ、おおきさ。
まるくて、くりぬいた石が、ぽつり。水鉢に化けているような。


お餅をついていた石うすかしら?
うすうす気づいていたけれど。
お正月まえの、お餅つき。このあたり、100年前は田畑広がる農村だったから。
もう農家しゃなくなった、いらない石うすが、ほうりだされて。


石うす生活

もしかしたら、建て売り一戸建て購入の特典だったのかしら?
「いまなら石うすプレゼント」
「手水鉢や、つくばいに」
「水生植物そだてよう」


餅つき用ではないのかも。だって電気もちつき器が発売されたし。
うすうす石うす。
石材屋さんの営業か、町内会のおすすめか。同調臼力、発生か?



ふせった石うす

 町内会12月のもちつき大会。こがらし公園の集会所。もち米、吸水、おおきな蒸し器が湯気をはく。みんなでぺったんこ、交代でぺったんこ。


おもちだ、おもち。小さくまとめる、粉のうえ。
消化の助けに、大根おろし。きな粉やあんこも登場だ。
おもちは、できたて、やわやわ、あたたかい。

でも、疫病その他で、もちつきもなくなった。集会所の石うすは、どうなったのだろう。

家のまえの、ふせった石うす、伏せたまま。
もう出番なし。うすうす気づいてた。



これは水の鉢

にてるから、わからない。ウスなのか、鉢なのか。わからないのが、どんどん増える。

お菓子の機械工場にも、ころん。
石うすは、なにもすることないのかな?重たいし、へこみます。
さいきん、へこみがはげしいな。

植木鉢みたいに穴もあいてないし、こまったな、こまったな。
金魚鉢みたいに深さもないし、こまったな、こまったな。

石うす、いちばん困っています。


うすうす気づいていたけれど。



毎週日曜日は
「自由テーマ」の日

いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに


さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。

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