うまいこという
そう言えば、いいのか!
説明上手な人。たまに遭遇すると嬉しいものです。
トシとともに、説明の上手い人に遭遇する率が下がってきます。どんどんフレッシュな下の世代が入ってくる、この新陳代謝。
老いた自分のほうが、説明が上手いとは限らない。自分は、わかったふうにダンマリ。なにも言わなくなった。コトバも、やさしさや思いやりも減ってきた。ひとに対して。
隠居すると世間は狭く話し相手も、
いなくなる。ひとりでいると、ホントに誰とも話さない。
コトバの退化。話しかたを忘れる。言うべきこと。説明のしかた。
コトバがじぶんに、入ってこないし出ていきもしない。
うまいこという、説明上手な人。
そんなひとに会ったので、ご紹介いたします。
わたしは、目が悪く眼科のお世話になっています。
コンタクトレンズの定期検診も兼ねて。3ヶ月に1回。
数年前から、アレルギーが出てしまい、とうとう「目薬」を処方されました。
「目薬」は、1日に4回、さしてください
と、若い眼科スタッフのの女性。
「3ヶ月ぶんです。お大事に」
1日に4回ですか。
なんと目薬8本もある!
「わかりました。ありがとうございます」
帰宅して、さぁ点眼。
1日に4回ということは…
ええっと…起きてる時間が16時間ぐらいだから…
何日かは、適当に4回、目薬を、さしていましたが、だんだん面倒に。
まぁいいか。
そして、とうとう朝の一回だけになってしまいました。
3ヶ月後、眼科の定期検診です。
「アレルギー、まだ出てますね。目薬、まだありますか?」
「あ、なくなりました」
「では、また3ヶ月ぶん、出しときます」
「お願いします」
眼科のスタッフの女性は、5人ぐらいいて、毎回担当が変わります。
女性が変わっても、このやりとりだけは、おんなじでした。
わたしの目薬が、なくなるはずありません。だって1日1回しか、さしてないのですから。たまる目薬。どんどん。どんどん。
一年たっても続く目薬。
一年たっても減らない目薬。
目薬、足りてます。いりません。とか、言えばいいのに。毎日1回しか、さしてないと言えばいいのに。わたしが、いけないのです。
そして、またいつものように眼科検診のあと、会計待ちをしていました。
わたしと同じように、目薬を処方されている人が。
ついつい、視線がそちらに向かっててしまいましたよ。
「目薬は1日4回さしてください。
まず・・・」
ここまでは、わたしとおんなじ説明だ。「まず…?」
まず、朝起きたときに1回。
つぎに、お昼ごはんのときに1回。
そして、晩ごはんのときに1回。
さいご、おやすみ前に1回。
計4回、さしてください。
わ、すごい! わかりやすい!
具体的。説明上手!
なるほど。そういえば いいのか。
うまいこと いう。
それにしても、
わたし、目薬さしてない説明すら、しなかった。
また、コトバの退化。反省。
わかりやすい。
うまいこと いう 。
目薬、さしてないけど、コンタクトレンズが、ぶわっと浮いた。
目薬、うまいこと減るようになりました。
いつも こころに うるおいを。
水分多めの おはなし。
最後まで、お読みくださり、
ありがとうございます。
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