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この家どうするの?(52)葬儀屋さん今昔・28「生きた証明」

区役所でA葬祭・社長さんと、まちあわせ。手続きのあれこれのサポートをしてくれる。ありがたいことです。最近の葬儀屋さんはタイヘンですね、こんなことまで……。
(1215文字)



父の生まれてから死ぬまで

「生まれてから死ぬまで」戸籍がいるなんて、まったくわからない。
ひとが死ぬと、こんなことを明るみにするとは。証明みたいなものかしら。生きていたことの。


きのう、前日確認の電話がA葬祭・社長さんからあり。わたしの戸籍は取れましたかと。
細かい配慮だ、葬儀は終わっているのに。
秘書のようだと感心しきり。


社長さんのいわれるまま区役所内の窓口へ。
「この書類です」
「ここに記入するのは……。」
「ハンコはいりません」
てきぱき。窓口の担当者さんに、サッと書類提出。


窓口のひとと、みんな知りあいのような雰囲気。いつも同行しているのがうかがえる。ありがたいことだ。


じつは、わたしには
ひとつ不安なことがある……。

父が生まれてから死ぬまで。


もしも

 父が、こっそり再婚してたら?


見知らぬきょうだいが、
いるかもしれない

弟とか、妹とか。


父が離婚してからの戸籍。
なにか書き加えがあるかもしれない。
それだけが面倒で、こわかった。





再婚はしていない

戸籍の除票。
とくに再婚したとかはナシ。
無罪だった。うたがって悪かった。


内縁のナントカ、子どもがナントカ、世の中の裏側。いろいろあって、あたりまえ。何もなくてよかった!
胸のつかえが取れた。

父は、ずっと大阪市民と思っていた。
じつは大阪市から転出して他府県に住んでいる期間があった。2年ののち、また大阪に転入。そして死ぬまで大阪市民。

その間の戸籍は?




 空白は追跡する

「この県の市役所から取り寄せます」
A葬祭・社長さんはバッグから【全国・県庁所在地・住所録】と、茶封筒を取り出した。
パラパラ、ページをめくりササッと封筒に県庁の住所を記入。
つぎは、返信用の茶封筒だというやいなや、オモテにわたしの住所を記入していた。


「申請のための、住民票コピーと郵便局で為替・代金分700円を買って、封筒に入れればいいです」
「あ、切手もいりますね」


わたしは、なにもしていないのだが、ドンドン手続きはすんだ。
いつのまにか、死亡見舞金 (自治体により火葬手当金など名称はちがう) の支給・振り込みも申請ズミに。


「あとは【年金事務所】です。待ち時間に予約を入れてます。
年金事務所へは車で移動します。どうぞこちら。」


えっ、いつのまに?
とにかく早い。わけがわからない。
あれよあれよと、申請がすむ。
駐車場には父が最後に乗った黒い車があった。また乗せてもらった。


つぎは、年金事務所。
わたしやオットが死んだら、娘の仕事が増える……こうなるんだ。
これは面倒くさいかも。


あとにのこる者は、
なにもわからない。



これが、いつやってくるかさえ。


(つづきます)

毎週金曜日は
「親の持ち家」の日


いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに


さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。

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