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濃ゆいコーヒー

濃いコーヒーがすきです。
大阪弁で「こゆいコーヒー」。コーヒーと書くより「珈琲」と書くような。


やっぱり喫茶店

おんなじ値段なら濃いほうがトク。大阪人のケチ根性が丸出し?

コーヒーチェーン店の、背が高くて縦筒のような椅子。軽そうでおしゃれなイスは・・・
もうだめだ。
背中、もたれられない。

ふかふかソファー

足も床に、とどかない。わたしの短い脚。地に足をつけたい。いや、それより座りづらいだけ。
低い椅子、できたらソファー求む。

コーヒーは紙のカップより、陶器。
白いのが、いい。

ピッチャー(ミルク入れ)やお砂糖入れは銀。
シルバーの光沢。スプーン。
顔も何もかも、しぼんできたお年ごろ、艶が欲しい。こんな些細なレフ板効果も、あてにする。

そして、わたしは喫茶店の「背もたれのある重心の低い椅子」に落ち着くのだ。

歴史ある商店街。お散歩コース。
ここは天満宮の門前町。この辺りが一番栄えていたらしい。昭和の戦前のころ。
休憩しよう。コーヒー飲もう。
喫茶店が三軒もある。
「珈琲」と漢字で。いい雰囲気。



―昭和九年 伝統の味―

ここに決めた。
「イブキ」さん。聞いたことあるような。
入り口にメニューが提示してあり、
「コーヒー(濃いめ)」の文字。
昭和9年…1934年。
じぶんの母親が生まれた年の創業。

フクザツな家庭に育ち、家族のいい思い出もなく。
じぶんがそう思っているだけかもしれないな。言い訳として。
気がつけば、還暦ちかくの歳になってる。

いまごろ家族のカケラみたいのを、かき集めたり、こじつけや関連ありそな所に行ったり。なんで?

看板の文字。
伝統の味か。家族がいたから、家族の協力あっての伝統。

― 伝統の味 ―


こゆいコーヒーが運ばれてきた


喫茶店では、家では思い浮かべないこと、じぶんで沈めてたり、静めてた気持ちが沸き上がる。
コーヒーの湯気みたいに。
こゆい思い出となって。

祖母が喫茶店、すきだったからだ。
両親の代わりに、わたしを育ててくれた。

そうして、きょうもコーヒーを。
「コーヒー(濃いめ)」を。
まずはミルクも砂糖も入れず、そのまま。

「このこゆいコーヒー、丸福まるふく珈琲店さんのコーヒーみたいやな」
つぎは、ミルクを多めに入れてみよう。濃厚さが引き立つはず。お砂糖は・・・
たのしむじかん。

わたしのコーヒー時間。おいしいコーヒーを飲みほしたら
 思い出も終わる。
すこしばかり、子ども時代を思い出した。


帰宅。さっきのコーヒー屋さん調べてみよ。
・・・どこもフクザツ。みんなフクザツ


琥珀色より濃く。
わたしの みんなの人生よ。


いつも こころに うるおいを。
水分多めの おはなし。


最後までお読みくださり、
ありがとうございます。

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