日本一喫茶さん・戦前は「西の心斎橋」この地で110年
大阪市西区。大阪港開港・外国人居留地・大阪で初の市電が走る…ここは、明治~大正時代の時代の大阪の中心地でした。
日本一喫茶さん
日本一喫茶は「にっぽんいち・きっさ」と読みます。大阪では、日本橋という地名もあるので独特な読み方ですね。
「日本一喫茶」は戦前から昭和30年代まで大阪に多くあった、喫茶店のチェーン店です。
「喫茶・玉一」「木村屋」そして「日本一喫茶」など。
この「日本一喫茶」さんは、創業1932年とあります。
昭和7年。110年も営業!すごい老舗。
明治時代から大阪市西区は、大阪港開港・外国人居留地・大阪府庁設立…文明開化の風が吹く最先端の町。
ここは、大阪の政治・経済の中心でした。
日本一喫茶さんの南側の大通り「みなと通り」に、たくさんのバスや車が通っています。
ここは九条新道交差点。|花園橋とよばれていた時代もありました。
1903年(明治36)に大阪で初めての市電が開通したのです。
花園町(ここ大阪市西区)~築港埠頭(大阪市港区)・約5キロの距離でした。
総車両5と、2階建てのカッコいい電車1両が、港までパレードのように走っていたそうです。
車もない時代、市電で港まで魚釣りに。
市電の運転手さんも、商店街の人もお客さんも、きっと皆、どや顔でしたね。
ゴトンゴトン どやどや ゴトン…どやさ…
そして、市電の路線が広がり、洋食・中華料理・洋服屋・演芸場・映画館・百貨店などができ「西の心斎橋」とよばれる繁華街になりました。
いまの「キララ九条商店街」と「ナインモール商店街」です。
賑わいは戦争とともに終わりました。
その近くで元気に営業する、日本一喫茶さん。ステキです。
大阪が大きく発展した時代
現在のターミナル・大阪梅田駅と、難波駅をつなぐ目抜き通りの地下鉄「御堂筋線」開通は、1933年(昭和8)。
日本一喫茶さんの方が1年早い創業です。
当時は、洋装のモダンボーイ・モダンガールが珈琲を味わいにきたのでしょうね。
出前も大盛況
店内に入ります。驚いたのが、ひっきりなしの電話コール。
「ミックスジュース、出前!」
出前というのがいいですね。
マスターらしき紳士が、トレンチ(おぼん)にミックスジュースを、数本乗せてサッと出ていきます。
近隣は商店街のお店・会社・町工場が多く出前も普通に、懐かしい喫茶店の光景です。
いま流行りの自転車の配達は取り扱っていないようです。
それも、すごいです。
安心の喫茶店メニュー
喫茶店のソファーと大理石のテーブル、居心地がいい喫茶店です。
モーニングからランチ、デザートやまで。喫茶店の守備範囲は広い。
メニューには、やはり「珈琲」の文字。
隣に座った男性「焼きめし、エビ抜きで」
注文を受けてから、ザクザク、ガコンガコン、中華鍋?の音。
冷凍チン・ピラフじゃないのだ。絶対、美味しい!
思えば、喫茶店でカウンターに座ると、冷凍庫からガサガサと固まりを取り出す音が聞こえたりしてしまう。
そう冷蔵庫から野菜を取り出すときの、軽いカシャカシャ音ではなくて、冷凍食品の質量ともに重い音。
無防備な丸い冷凍グラタンと目が…あったりすると、悲しい。じぶんから入店してるのに。
見なかったことにするが、あのフィナーレ音が聞こえない電子レンジから湯気とともにやってきた、シチューとか。
別の中華料理屋さんでは、オバチャンがうっかり、チーン!…聞こえた、シュウマイを知らん顔でモグモグしたり。
わかって食べてる外食、だから文句はないです。作ってくれるだけでもありがたや。食べるぞ、わたし。
厨房から流水音や包丁の調理音。ついつい、聞き耳たててしまいます。
チーズトーストとコーヒー
「チーズトーストのパンのフチ(ミミ)、切っときましょか?」
不意打ち、キレイなママさんだ。70代ぐらいの。若いときモテただろな。
「切らないでください」
へぇ、サンドイッチやトーストなどパン類は、ミミを落としてくれるのか。
わざわざ、聞いてくれるとは、感動的。わたしは、食べる派です。
最近のカフェなどのトーストは、具やチーズの量が決まっているのか、もう少しかけてほしいな、少ないなと思うこともある。
これは嬉しい! 喫茶店ならではの自由さ。
ケチケチしたらアカン、トーストの声が聞こえる。
珈琲も運ばれてきた。ベージュや茶色いマーブルのテーブルに白い食器。
コーヒーカップの、スッキリ赤ラインがモダン。上品です。
そして珈琲に花も咲く。さすが西の心斎橋。
いい気分で、いただきました。
老舗の喫茶店の伝票って、イラストが書いてあったりするのでチェック。うふふ、やっぱり。
すっかりモガの気分です。百貨店で呉服を見に行って、お土産に箱寿司と、鰻でも買って帰りましょ。
あかん、財布の中身を見てモガきました。
ここは西の心斎橋。 そんな妄想珈琲。
いつも こころに うるおいを。
水分補給も わすれずに。
最後までお読みくださり、
ありがとうございます。
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