free「前編 もうすぐ結婚するんです…!」

 前置きに「波乱万丈のShizukaさんには言い辛いんですけど、、、」と付いてた。インタビュイーに気を使わすなんて、ホント最悪だわ。咄嗟にそう思ったけど、聡明なこの人は気づいている。自分のことを話して、相手にも話をさせるタイプだと。だから遠慮することはない、と知っていて話し始めた。いや元々遠慮なんか、お互いにこれっぽっちもしていない。二人で話すのは初めてだというのに、このインタビューには固いところも、柔らかすぎるところもない。おたがい、できる準備はすでに万端だった。だから安心して話をしていたし、引き出していた。アラサーの保育士、でもその人の語る文字や文章は、知的かつユーモアがあり、考えすぎるところのあるもの。誰もがそのつぶやきを気に留める。私もその中の一人だった。だから、インタビューの申し出に飛びついた。文字通り飛び上がって喜んだ。すでに、2時間弱話していたが、本当に始まったのはここからだった。

 私が波乱の30代を実感したのは、今の彼女と同い年だった。当時結婚を考えていた人の母が亡くなった。その数日後、最愛の祖母を亡くした。忘れもしない、新しい年を迎えたばかりの寒さの厳しい頃のことだった。不幸続きで結婚は来年以降に延期することになり、そこからは坂を転げ落ちる勢いでいろんなことがダメになった、と話した。そんな雑談まじりの話をした。女の30代は、本当に大変なんだと伝えたかった。だからもし、何か不安なことを抱えているのなら、、、と付け加えて彼女の言葉を待った。すると、想像もしていないオメデタイ言葉が返ってきたのだ。

 珍しく言葉を失う。かろうじて、おめでとう!、、、と言えただろうか。言えたと思う。なるほど、それが言いたかったのか。でも納得はできなかった。まだまだ隠している何かを、引き出すには時間がかかる。こちらも長期戦を覚悟する。何かしてあげたい思いが湧き上がってくる。

 それから数度、時間の合う時は、ずっと推しの話をした。どんな芝居のどんな表情がよかったか、昨日よりも今日がどう素晴らしいか、、、想像よりも数百倍、感性の一致。観てるところも感じるところも共通点が多い。そして、推し活が楽しければ楽しいほど、心の奥底にある不安。

 結婚したらどうなるのか。仕事、推し活、好きなものと、新しい家族。会話の端々に、たまに現れる彼女の不安、、残念ながら結婚も出産もしたことがない私にできること。はじめてのインタビューからずっと考えてたが、ずっと迷っていた。別に彼女は何かを求めてるわけでも、助けを求めているわけでもない。でもしたいことがあった。

 それは、現役の主婦であり、仕事を持っていて、なおかつママでもある同担と引き合わせること。きっと何かしら、彼女のチカラになってくれると…!心の中で手を合わせて、、、。それを明日むかえる。何かしらの進展があることを願って。。。


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