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相手に尽くすよりも、まずは自分を大事にする。

先日、3回目の結婚記念日を迎えた。

その数日前のこと。最近婚活中の友人に記念日はどうするのかと聞かれ、
「美味しいものでも食べようかなと思って…」
と答えたら、
「しずかちゃん、どんなご馳走を作るの?」
とキラキラした目で聞かれ、ちょっとびっくりしてしまった。

え…平日だよ!?
2人ともようやく仕事から疲れて帰って来て、どんなに早くても6時台。そこからご馳走を作る…??
しかも、記念日は2人のための日。2人で準備するならまだしも、なぜ私…??

?マークがいくつも飛び交いつつも、「友人は相手に尽くしたいタイプなのかなぁ…」と感じた瞬間であった。
もしかすると、それは彼女の理想でもあるのかもしれない。

「最近オープンして気になってたレストランに行こうかと思ってるよ」
何の後ろめたい気持ちもなく答える私。
「あ、そうなんだ」
友人は、ちょっぴり残念そうだった。

無理して相手に尽くさない。
このことを、私は夫に教えてもらった気がする。

付き合い立ての頃は、ややもすると、自分のことを多少我慢してでも相手に喜んでもらいたい、と頑張りがちだった。
例えば、平日仕事から帰って来て疲れているのをおして、好物のお菓子を焼いてみたり。ちょっと疲れていても我慢して、手のかかる料理を作ってみたり。

そうして得られるものは、相手の反応に大きく依存していた。
そこでもし、相手の反応が微妙だった時。
「こんなに頑張ったのに、どうして喜んでくれないの」
「もっと褒めて、もっと感謝して…!!」
といった黒い気持ちがムクムクと湧いてくる。

でも、ちょっと落ち着いて考えてみて欲しい。
頼まれもせず、自分がやりたいから自分で決めてやったことなのだ。
それについて、必ず良い反応をして欲しいと思うのは一方的な期待と言える。
相手への思いやりだったはずが、気持ちの押し付けになってしまっていることに気づく。

相手も生き物だから、いろんな可能性がある。
もし体調が悪かったら…?
ちょうど仕事で悩んでいてそれどころではなかったら…?
実は好きなものが違っていたら…?

彼は大抵喜んでくれたけれど、その度に、
「頑張りすぎてない?」「しずかが疲れない方が大事」「疲れる前に休んでほしい」
と、無理せず休む必要性を渾々と説いた。
そして私はだんだんと「私が頑張りすぎて疲れると、パートナーにも負担がかかるんだ」ということを理解していった。

婚活中の友人は、結婚したら仕事と家事を両立できるのか、ずっと悩んでいる。
一人暮らしでも日々忙しくて疲れ切ってしまうのに想像できない、と。

私もかつて同じことで悩んでいた。
いわゆる良いお嫁さんとは、家族の食事を毎日作り、家事と子育てを完璧にこなすものだという昔からの価値観。
こうでなくてはいけないのか、自分のやりたいこととのギャップに悩んだ。
この悩みが具体的に体現されたのは、当時の彼氏に「結婚したら毎日ご飯を作ってほしい。できれば仕事も辞めてほしい」と希望された時だった。

母親が専業主婦だったからという理由で、その身近な背中を見て、同じ像を自分や相手に投影するケースは多い。
ところが、私は不思議とそうはならなかった。どちらかと言うと「自分はあんな風にはとてもできそうにない」と小さい頃から薄々思っていた。
(後に、「しずかに専業主婦は向いてない」と家族全員の意見が一致していた。。。)

専業主婦で毎日の家事をこなし、複数の子供に日々向き合っていた母親。
きっと母親は、自分のことを我慢して家族のために尽くしたことが、圧倒的に多かっただろう。


家事、特に料理で「楽をする」ことは、一般的に“悪いこと“扱いされている。
少しでも楽をすれば、疲れず心に余裕が生まれるのに、なぜだろう?

私も以前は、楽をすることに対する抵抗や、後ろめたい気持ちを持っていた。
この認識を変えたきっかけの1つに、他国で経験した価値観がある。

イギリスにホームステイした時、日々の“料理“が本当に手軽なことに驚いた。
例えば、学生だった私でも準備できた夕食メニューは…
1) 買ってきたパックのスープを鍋で温める。
2) 冷凍のキッシュをオーブンで温める。
はい、完成!パチパチパチパチ…

その環境によって、“料理”の範囲が異なることを知った瞬間だった。
日本ではいわゆる「楽をした」「手抜き」料理かもしれないけれど、ホストマザーがそれを後ろめたく思っている様子は微塵もなかった。
何よりも、ホストマザーと話しながら食事を楽しんだ沢山の時間は、とても貴重な時間だった。


話を戻すと、平日の仕事終わりに記念日ディナー作るのは、私にとってはズバリ頑張りすぎだ。
夫に教育され続けた私には、正直そんな選択肢も思い浮かばなかった。

記念日だからこそ、できるだけ楽をして、心の余裕を持って会話を楽しみたい。
もっと言うと、平日でも限りなく楽をして、疲れをこれ以上蓄積せず、毎日笑顔で家族に接したい。

その方がずっと楽しく暮らせそうだと、今は思えている。



Schönen Tag noch! 😄