静大生錦画深読み

静大生錦画深読み

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地域学び 23年度授業成果公開

はじめに言語文化学科に所属、というと、文学か語学かの研究・教育をしている、と想像される。静岡大学は人文学部人文学科時代から、文化系の総合学科として、かなり学際的で自由な学問を展開してきた。私自身、文学研究と歴史研究のあわいで生きてきて、特に法人化以降は地域研究担当という側面が強くなった。 ただ、学生たちの多くは、元々文学語学指向が強いので、地域研究の授業を開講しても需要が少ない。それでも、定年間近になって、少しは悪あがきをしてみようかと、23年度後期「日本言語文化各論Ⅴ(シ

    • 静大生錦絵深読 2020(1)市ヶ谷

      画題:江戸乃花名勝會 六番組  市ヶ谷 絵師:①都鏡 ②歌川豊国(3世)(歌川国貞(1世)) 版元:加藤屋 清兵衛 改印:亥十一改(文久3年11月、1863) ①タイトル周り(上段右) ―翻刻ー ①「笹や」 ②「蓮の団子」 ③「□イ紅葉川仕入」④「粟焼」 ―解説ー 上段右ではタイトルと当地にある有名な食べ物が書かれています。 ①と④は一つのものであり「笹やの粟焼」だと思います。 詳細は以下のリンクを参照しました。 国立国会図書館 紫草 江戸商標集 国立国会

      • 静大生錦絵深読 2020(3)麹町

        画題:江戸乃花 名勝會 さ 五番組 絵師:①都山 ②歌川国貞(1世) ③河鍋暁斎(惺々狂斎) 版元:加藤清 改印:亥十一改(文久3年11月、1863) 翻刻・詳細の解説は4つに分けて紹介します。 ①タイトル周り(上段左) 【翻刻】 ①おてつ牡丹餅  ②岩 仕入 ③菊一 ④乙女寿し ⑤丼 さくら 【解説】 ①おてつ牡丹餅 「3丁目の北どなりの角 御用地の一劃におてつとしてある ごま、あん、きなこの三種で明治十五年頃まであった」(『江戸町づくし稿』 上巻 p.68 より

        • 静大生錦絵深読 2020(4)喰違

          4枚目は所蔵していないので、東京都立図書館所蔵画像へのリンクです。 基本情報 画題:江戸廼花 名勝会 ま 五番組 絵師: ②河鍋暁斎 ③歌川広重(3世) ④歌川豊国(3世) 版元:加藤清 改印:亥十一改(文久3年11月) 翻刻 【①上左】 江戸廼花 名勝会 ま 五番組  「三色ぼたん餅」「御休所いせ卯」「伊吹艾」 【②上右】 はておそろしきお岩かじうねん也することなすことみんな喰違                             狂齋 【③下右】 赤坂喰違の土橋

        地域学び 23年度授業成果公開

          静大生錦絵深読 2020(0)はじめに

          あらためて。年度末になったので、全部の記事を公開します。 色々不備はあると思いますが、2020年度後期日本文学演習の学生たちの成果物をweb公開します。アンケートも用意していますので、御意見をいただけましたら幸いです。 趣旨説明など 2020年度後期、静岡大学人文社会科学部言語文化学科日本アジア言語文化コースの「日本文学演習Ⅵ」は、受講生3名と少人数だったため、対面授業を行いました。テキストは架蔵「江戸の花名勝会」(不揃い)のうち、上のタイトル画像になっている3枚を使用。多

          静大生錦絵深読 2020(0)はじめに

          静大生錦絵深読 2020(2)四ッ谷

          画題:江戸の花 名勝会 く 五番組 絵師:【上段】都遊、【下段右】歌川豊国(3代目)、【下段左】歌川貞秀 ※都遊:未詳 ※歌川豊国:3代目(1786-1865年)。 「国会図書館デジタルコレクション『江戸の花名勝会(梓元序文)」に、「豊国翁が描き終わって亡くなった」という旨が記されていることから、3代目と推測しています。 翻刻は、以下の記事にて。 ※歌川貞秀:1804-1872年か。(「Wikipedia |歌川貞秀」より) 版元:加藤清 改印:亥十一改(文久3[186

          静大生錦絵深読 2020(2)四ッ谷

          くずし字判読ひとりまなび

          独習用教材を公開します。 補足情報を随時下に追加します。 若干情報を補足します。(最新:20230618) 前口上 2021年1月13日付、日経新聞に「東大など、東アジア最大の漢字字形データベース公開」という記事が出て、少し話題になりました。ニュース記事なのでいずれリンクが切れてしまうかも知れませんので、最初と最後だけ引用します。  この引用、あるいは記事を読んでも、何に使うのか、どう使うのか、一般の人には関係ない世界? と言う疑問もあるかも知れません。「一般」と言って片

          くずし字判読ひとりまなび