見出し画像

なんだかなぁ、な一日

少し寝坊をした。
あれやこれやしたいことがあったのに、朝から予定が狂ってしまった。

「寝坊した!」と思い飛び起きた時が、一番目が覚めている。
見ていた夢も吹き飛ばすほどの勢いだ。

朝ご飯を手早く済ませながら、今日の予定を立て直す。
寝坊した分の時間を取り戻すべく、朝から頭はフル稼働だ。

ちゃきちゃき動くはずだった。

そう、人生とは何事も予定通りにはいかないものだ。


寝起きの冴えわたった頭はどこへやら、しばらくしてから猛烈な眠気に襲われるようになった。

何をしても眠い。

眠くて眠くて寝ること以外考えられない。

再びベッドに行きたい誘惑をなんとかなだめすかしはしたものの、一向に眠気は去ってくれない。

「そうだ、外へ行こう」

困り果てた末に思いついた苦肉の策だ。

外の空気に触れ、刺激を受ければ眠気も去ってくれるだろうという、安直といえば安直な考えだ。

それならば、勉強していることの本を買おう。
レジ袋有料になってから本屋との縁は切っていたが、調べたところ近所の本屋は百貨店商品券が使えるらしい。

これは一石二鳥だ。


百貨店商品券ほど、もらって困るものはない。

もう単体の商品券はやめてほしい。アトレでもどこでも使える、共通の商品券にしてほしいものだ。

デパートに昔の価値はない。


そんな私にとっては迷惑でしかない百貨店商品券を握りしめ本屋に行ったものの、欲しかった本はすべて取り寄せだった。

肩透かしをくらってしまった。

ネットで買うことも頭をよぎったが、商品券を使いたかった。


でも、念のため使えるか確認しようと思いレジで確認したところ、使えるとの回答だった。
それならばと、手ぶらで帰るのもしゃくなので何か買って帰ろうと思いレジから離れかけたところ、おばちゃん店員に「こっちから並んでくださいね」と言われた。

見れば大きく入口と書かれていた。

初めてのお店だった上に、お客さんもいなかったので気づかなかった。
入口ではないところから、私はレジに侵入してしまったようだ。

「すみません」

と答えながらも、もやもやした。

他にお客さんもいないのに、わざわざ言われないといけないことなのか。
注意をされるようなことをしたとは、今でも思っていない。


最近は、お店に行くと息苦しさを感じるようになった。

きっと細かいマニュアルが存在するんだろう。
店員は、マニュアルにそっているだけ。
でも、だったら人間がそこで働く意味ってなんなんだろうと考えてしまう。

マニュアルは万能ではない。

クレーマーに対しては有効だが、ほとんどの客はクレーマーではない。

マニュアルは、人間から考える力を奪ってしまう。
依存心が強い人には特にそうだろう。そんな人にとっては、心強い存在なのかもしれないが。
そして、人間の自由を奪う。
まじめな人ほどマニュアルに縛られ、臨機応変に対応できなくなる。

結果、マニュアルに忠実に働いている店員は、客に不快感を与えるようになる。


今、みんなが求めているものは「白か黒」の世界のようだ。

全てにおいて、遊びがなくなっているように思う。

遊びのなくなった世界は、私にはとても息苦しい。


きのこは洗わないでと、少し前からスーパーでやたらと言われるようになった。
毎回洗っていたので、とても驚いた。
洗うとうま味が流れるそうだ。

そんなことが定着してきたある日、きのこ売り場で旦那さんが奥さんに、それはもう汚いきつい言葉でののしられているのを目撃したことがある。
その原因は、きのこを洗うこと。

「どっっちでもいいじゃん」と、一人胸の中でこたえていた。
洗いたければ洗えばいいし、うま味が流れたことが分かるほど繊細な舌を持っているのであれば、洗わなければいい。


想像力の欠如とは言われているが、それだけだろうか。

人間力が足りないと思う。

生き抜くために必要な力が弱まっているのかもしれない。
誰かから助言をもらえることがあたりまえで、それを自分の頭で考えずにまるごと受け入れてしまう。

だから周りの与えた、正しいか間違っているか基準でしか判断できない。

そして、一番はバブルがはじけてから閉塞感が続き、器の小さい人間が増えたことだろう。

小姑のように重箱の隅をつつくような人間が増えた。


本屋のおばちゃんに言われたことから、結局もんもんと一日考えてしまった。おかげで眠気は去ったが、心があさってを向いてしまい何も手につかず一日が終わってしまった。

だけど、本屋や洋服屋などの実店舗はいつまで存在するのだろうか。

店員とのやりとりが面倒くさい上に、むきだしで渡される不快感。
それがいやで、ネットで買い物するようになった。

おかげで、レジ袋の比にならないゴミにしかならないゴミが増えてしまった。
パッキンやらぐるぐる巻きのやら、段ボール。
これのどこが環境にいいんだか。

あの本屋もそう遠くないうちに潰れるだろう。
そうしたら、あのおばちゃんもお払い箱だ。

そんなことを妄想して、彼女に私の中だけで復讐していた、そんな一日ももう終わる。


今日はもう早く寝よう。

明日、今日できなかった分を取り戻そう。

明日は、いい日になる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?