短歌と徒然なる小話1

散らばった髪と一緒に6畳に散らばった愛ともさよならをする


永遠なんてものはない。心のどこかでそれを分かっているのに、私は求めてしまった。あなたが愛してくれた時間の全てが幸せで、それが私を生かしていたことを、あなたは知っているんだろうか。

あなたとの時間が心地よくて、私はずいぶん弱くなってしまった。だからせめて、髪と一緒にこの部屋ともさよならさせて。じゃないとあなたを思い出していつまでもがんじがらめだ。

あなたがいない6畳でゴロンと転がり物思いにふける。しばらくして、軽くなったはずなのに重たい頭を持ち上げて、ダンボールだけが置かれた無機質な部屋を見渡す。すると6畳から吹き込んだ柔らかな風が頬を撫でた。私は何故か無性に悲しくなって泣いてしまった。この狭い狭い6畳には、もう拾いきれないくらいたくさんの愛が散らばっていたことに、やっと気がついた。