ゲームの仕様はプランナーだけで考えない方がいい話
こんにちは!
「仕様です。」(@shiyoumasayume)という名前でSNSをやっているゲームプランナーです。
普段は都内でコンシューマーゲームの開発をしており、ふわっとしたイメージを具体的なゲームデザインにおこす仕事なんかをやっています。
今日は個人的なゲームの仕様を決めるときのやり方について書いてみようと思います。
仕様となるアイデアの出し方というよりも、仕様内容の決め方に焦点を当てた話となっています。
業界の片隅にいるいちゲームプランナーの例と思って読んでいただけると幸いです。
「仕様」って何さ?
ざっくりとした言葉になりますが、ゲームに使われる素材の設計図と思っていただくとよいかもしれません。
1本のゲームには、カッコいいフィールドとか、ゲームをもりもり動かすプログラムとか、派手なBGMなどたくさんの素材が使われています。
これらはすべてその道のプロが作成しているのですが、そういった素材をただ集めただけでは、当たり前ですがゲームは完成しません。
「どんなことをするフィールドが必要なの?」
「どんな処理をさせたいの?」
「どんな感じのBGMが必要なの?」
ゲームに使う素材はその目的が決まっていることが前提で、上記でいう「どんなこと」を主にゲームプランナーと呼ばれる人たちが考えています。
「こんなことがしたいので、こんな挙動をする○○を作ってください!」
「こんな挙動をする〇〇」というのが素材の設計図、つまりは仕様と呼ばれるものというわけです。
仕様を決められない人やチームの傾向
ゲームプランナーが決めた仕様をもとに素材が作られるというのはここまで述べた通りですが、これはつまり、仕様が決まらなくてはちゃんとした素材が作れないということでもあります。
仕様を決めるのが遅くなると素材の納期が圧迫されたり、仕様がないまま素材を先行して作ったとしても、ちゃんとした設計図がないため作り直しが起きたり。
逆に仕様が早くに決まれば、その分作り込む時間が増えたり、もしその仕様に問題があったときに別の仕様を考える余裕が生まれます。
なので仕様を手早く用意できるかはとっても重要で…。
それらを踏まえて、ここで記事のタイトル「ゲームの仕様はプランナーだけで考えない方がいい話」に戻ってきます。
僕は仕様を決められない人やチームの傾向があるとすれば「自分(プランナー)だけで仕様を考えようとする」なんじゃないか…と思っています。
1人の視点じゃ不十分
プランナーがひとりで考えた仕様は、たいていの場合デザイナーさんやプログラマーさんからツッコミを受けるものです。
ゲームに使う素材の作り方はけっこう複雑で、十分な知識の無いプランナーが設計図を書いたって、色々な問題点や課題が出てくるのは当たり前ですよね。
そしてそれはその道のプロたちにしてみればすぐ見つかってしまうわけで。
なので僕は、よっぽどの事情がない限り、プランナーは実際に素材を作る人と一緒に仕様を考えると良いんじゃないかと思っています。
プランナーはゲーム全体の要素のつながりや、目指す方向性についての情報を持つポジションですから、その視点と素材についての詳細な視点をかけ合わせて仕様を作り上げていくのがよいのではないでしょうか。
ちょっと参考まで、僕が仕様を相談する時の流れをざっくり書いてみます。
仕様相談は「要求仕様」と「本仕様案」のセットで
仕様を噛み砕くと、要求仕様と本仕様という2つの要素になります。
「こんなことがしたいので、こんな挙動をする○○を作ってください!」
最初の方に述べたこの言葉を使って説明すると、
【要求仕様】
「【こんなことがしたい】ので」
【本仕様】
「【こんな挙動をする〇〇】を作ってください」
こんな感じになります。
僕の場合、デザイナーさんやプログラマーさんに仕様を相談するときは、要求仕様と本仕様の案をセットにして持っていくようにしています。
【要求仕様】
「【こんなことがしたい】んですよね。
【本仕様案】
「【こんな感じなら要件を満たせると思う】んですが、どうでしょう?」
もし自分が出した本仕様案で問題ないのならそのまま作業が進みますし、抜けている部分があればそこの修正を実際の担当者さんたちと相談して、本仕様を決めていくような具合です。
不足のある部分を指摘された後は自分で持ち帰るのではなく、何かいいやり方がないか相手の方を巻き込んでいくようにしています。
思考を放棄するのはよくないんですが、本仕様が早く固まることも大事なので、本仕様案がまったく検討もつかなければ要求仕様をもって素直にさっさと相談しに行くのも良いと思います。
(要求仕様がきちんと伝えていれば、相手の方もどの方向に向かって意見を出せば良いかがわかりやすく、きっと力になってくれるはず…)
■仕様相談の流れ まとめ
・クライアントやディレクターから要件を受け取る。
・要件をふまえて要求仕様を書き出す。
・要求仕様をもとに本仕様案を考える。(思いつく目処があれば)
・要求仕様と本仕様案(あれば)をもって関係者に相談、共有
・共有した結果問題があれば関係者と一緒に本仕様を検討。
問題なければ共有した内容で作業へと進む
というわけで
ゲームの仕様はプランナーひとりで考えないほうがいい話、でした。
相談相手から求められる仕様案の粒度はばらつきはあると思いますが、個人的にはプランナーに完璧な仕様を求めてくるデザイナーさんやプログラマーさんはそう多くない…という印象です。
完璧な仕様を出さないと相手に迷惑がかかると考えて頭を悩ませるよりは、「やりたいこと」と「自分なりの案」を持って素直に相談し、一緒にゲームを作っていくほうがお互いにやりやすい部分もあるのではないでしょうか。
プランナーの大事な仕事は仕様を決めて責任をもつことであり、仕様を考える部分ではプランナー以外も巻き込んでいったほうがよい気がしています。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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